不思議だらけの魚の子育て

ぷちかま記者:

こんにちは!ぷちかま記者です。かまぼこ界のスクープを追って、かまぼコラム、始まりました。第6回のテーマは、魚の親子についてです。先日かまぼこテレビも拝見はいけんしましたが、かまぼこカリブさんは、本当にたくさんの魚の赤ちゃんの映像えいぞうをお持ちですね。

かまぼこカリブ:

そうですね。岸壁幼魚採集家がんぺきようぎょさいしゅうか、別名ギョリコンとして、これまで600種以上の魚の赤ちゃんの写真や映像えいぞうり、ときには育てて観察もしてきました。

記者:

そんなに!

カリブ:

魚って、成長過程がドラマチックで魅力みりょく的なんですよ。生態せいたいがガラリと変わるものがたくさんいますし、すばらしい親子愛を見せてくれる魚もいます。

記者:

卵を生むだけじゃなくて、子育てもするのですか?

カリブ:

実は子育てをする魚は、たくさんいます。イクメンもいますよ。

記者:

イクメンですか!

カリブ:

例えば、ネンブツダイのオスは、口の中で卵を育てます口内保育こうないほいくと言われていて、卵がかえるまで口の中で守るんです。他にも、ジョーフィッシュという魚も同じ方法で子育てします。やはり、オスが担当です。

口の中で卵を大切に育てているジョーフィッシュ

記者:

メスが産卵、オスが孵化ふか、それぞれを担当しているんですね。

カリブ:

ちなみに、タツノオトシゴはオスが赤ちゃんを生みます

記者:

え、妊娠にんしんするんですか!?

カリブ:

正確にいうと、メスはオスの「育児嚢いくじのう」という場所に産卵します。オスは卵が孵化ふかするまで、赤ちゃんをお腹の袋で守るんです。

左:保育中のタツノオトシゴのオス
右:孵化ふかした、タツノオトシゴの幼魚ようぎょ

記者:

産卵のイメージが大きく変わりますね。

カリブ:

産卵といえば、感動的な魚の親子愛のストーリーがあります。いきなりですが、ここでクイズです。サケは白身魚だと思いますか?それとも赤身魚だと思いますか?

記者:

ん〜。サーモンピンクですよね……。赤身魚かなぁ。

カリブ:

答えは、白身魚でした。サケがきれいなピンク色なのは、食べているエサの影響えいきょうです。エビやカニにふくまれるアスタキサンチンという栄養素が、サケの色を作っています。

記者:

食べ物の影響えいきょう力、すごいです!

カリブ:

サケは4〜5年かけて、アスタキサンチンを身にたくわえていきます。海から川にもどり、そして産卵をするとき、お母さんサケはこの栄養素を一気に卵に移します。そのため、産卵後のサケはまた白くなるんです。イクラがオレンジ色をしているのは、お母さんサケが人(魚)生をかけて集めた栄養を、すべて卵にあたえているからなんです。親子愛ですね。

記者:

そんな感動的なストーリーが、イクラにあったとは知りませんでした……!

カリブ:

三月ヒラメは猫(犬)も食わない」ということわざがありますが、これもヒラメの産卵時期に関係していると言われています。ヒラメは 3〜6月頃に産卵するのでその前後の身はやせてしまっているんです。

記者:

昔の人も、魚の美味しい時期を知っていたのですね。あ、では最後に、私からかまぼこカリブさんにクイズです。いくらのお母さんはサケですが、かまぼこのお母さんは誰か知っていますか?

カリブ:

かまぼこのお母さんですか……!?グチではなくて?

記者:

答えは、ちくわでした!かまぼこが初めて歴史に登場するのは、平安時代(1115年頃)の古文書なのですが、そこで登場するかまぼこは、ちくわのような形です。竹の棒にすり身を付けて焼いたものが、かまぼこのご先祖様でした。

「類聚雑要抄(るいじゅうぞうようしょう)」に記された料理を再現したもの。
1115年に藤原忠実ふじわらのただざねという貴族がひらいた祝宴しゅくえんの料理に「蒲鉾」が登場する。

カリブ:

板かまぼこは後から登場したんですね。

記者:

そのようです!今日は魚の育児と親子愛についてうかがいました。かまぼこカリブさん、ありがとうござました!