魚のたんぱく質の話

ぷちかま記者:

こんにちは!ぷちかま記者です。かまぼこ界のスクープを追って、今日も始まりました。第8回は前回に引き続き、かまぼこのたんぱく質の秘密ひみつさぐるため、今日は魚肉たんぱく研究所へ来ました!魚肉博士、よろしくお願いします。

魚肉博士:

よろしくお願いします。魚のたんぱく質は、まだまだわからないことも多い研究課題です。鈴廣はここ「魚肉たんぱく研究所」を立ち上げて、専門的せんもんてきな研究を進めています。

記者:

いろんな実験器具がありますね。

博士:

かまぼこは、魚のたんぱく質のかたまりです。かまぼこ作りには、それぞれの魚の成分をしっかり理解したうえで、たんぱく質をうまくあやつり、よい状態で加工するのが大切です。

記者:

ちなみに、どんな工夫があるんですか?

博士:

まず、海のなかで生活している魚たちのたんぱく質は、温度に対してとてもデリケートです。海から工場に運ぶ間にいたんだり、変性へんせいしたりしないように、とても気を使っています。陸でらす牛や豚のたんぱく質とも、全然違う仕組みなんです。

記者:

牛や豚のお肉とも、魚は違うんですね。

博士:

家畜かちく化されている牛や豚は、おいしく食べるための工夫がされています。魚の養殖ようしょくも増えつつありますが、基本的には天然のものをってきているので、なかなか人間の思い通りにはいきませんし、わからないことも多いんです。

記者:

たしかに、自然にいる魚をいただいているんですね。かまぼこをつくる過程での工夫もありますか?

記者:

例えば、冷たい海に住んでいる魚は、低温で加工しないとたんぱく質が変性へんせいしてしまうんです。だから、水晒しの工程の温度を低くしています。

研究所で実験するときも、室温ですら魚のたんぱく質に影響えいきょうあたえてしまうので、安定して4℃に保たれている冷蔵庫のような低温実験室を使っています。

記者:

人間にはちょっと寒いですね……!

博士:

逆に、熱帯のあたたかい海の魚は、たんぱく質の熱安定性も高いので、少し高い温度で水晒みずさらしをして、脂肪しぼうかし出す工夫をしています。

記者:

そっか、魚といっても、いろいろいますもんね。

博士:

一言で「魚」といっても、世界には3万種以上の魚がいます。もちろんすべてが食用ではありませんが、思いつく魚だけでも、結構な数がいますよね。

記者:

お寿司のネタだけでも、たくさんいますね。

博士:

魚のたんぱく質が不安定でむずかしいという話をしてきましたが、うらを返せば「魚のたんぱく質は消化されやすい」とも言えるんです。

記者:

なるほど!身体にやさしいたんぱく質なんですね。

博士:

かまぼこの一番の魅力みりょくである弾力だんりょくは、たんぱく質の繊維せんいからみ合い(網目あみめ構造)でできています。魚の不安定なたんぱく質が変わらないようにしながらも、そのたんぱく質をうまく塩でかしだします。そのうえで、しっかりした網目あみめの構造をつくるのが、職人の腕の見せ所です。

たんぱく質が網目のようにからまり、かまぼこの弾力をつくる

電子顕微鏡でみた、かまぼこの網目構造

記者:

わからないことだらけのお魚、まだまだ研究の余地よちがありそうですね。

博士:

そうですね。おじいさんになって引退いんたいしても、研究テーマがなくなることはないでしょうね。

記者:

今日は魚のたんぱく質について学びました。魚肉博士、どうもありがとうございました!