未来を語るリーダー座談会

お魚たんぱくには、
無限の可能性がある。

鈴廣は、創業から150年以上にわたり、かまぼこづくりに真面目に向き合ってきました。これから新たな第四次創業期を迎えるべく、「お魚たんぱくで世界を健やかに」をミッションステートメントに掲げ、「唯一無二のかまぼこ屋になる」「感動を生むコミュニケーション」「魚肉たんぱくの新市場の創造」という3つの軸で、新たなチャレンジを始めています。今回はそれぞれの軸の最前線で活躍するキーマンたちが集まり、鈴廣かまぼこの未来について、それぞれの想いを語り合いました。

  • 植木 暢彦

    植木 暢彦(Ueki Nobuhiko)
    博士(農学)
    研究開発部魚肉たんぱく研究所所長

    熊本生まれ。宮崎大学から東京大学大学院に進学。一貫して水圏生物の研究に従事。卒業後は生命科学系の基礎研究所で2年程経験を積み、自社内で基礎研究を行う魚肉たんぱく研究所の立ち上げのタイミングで鈴廣へ入社。

  • 松井 孝成

    松井 孝成(Matsui Takanori)
    企画開発部兼メディア営業部部長

    小田原生まれ。新規事業企画に関心があり、ベンチャー企業からキャリアをスタート。広告関連会社、事業会社と歩みを進め、営業・デジタルマーケティングを経験。地元への恩返しを目的に満を持して鈴廣へ入社。

  • 青戸 佳予子

    青戸 佳予子(Aoto Kayoko)
    かまぼこ博物館館長

    神奈川生まれ。「本当に良いものを提供する」という鈴廣の企業姿勢に共感し、新卒で入社。接客・サービスを学ぶため1年間アメリカ留学し、現在はかまぼこの里全体を企画するプロジェクトに参加。

日本文化に根づいた
かまぼこのイメージを
アップデートする。

植木さん、松井さん、本日はよろしくお願いします。未来への挑戦なんて言われると、緊張しますが、せっかくの機会なのでお二人と意見交換をすることで、「お魚たんぱくで世界を健やかに」するヒントを持ち帰りたいと思います。
ではさっそく、質問です。これからの鈴廣を考える上で、王道となるのはやっぱりかまぼこの更なる品質向上の追求。ここからいきましょうか。松井さん教えていただいてもいいですか?

松井 孝成

そうですね。かまぼこはすでに成熟したマーケットなので、食べる機会を増やしていただくためにどうするかを、ずっと考えています。一般的にかまぼこを食べるタイミングとして多いのは、お正月やお歳暮の時期です。日常で召し上がっていただく自家需要よりもギフト需要が大きいというのは、マーケティングデータからも証明されていて、このあたりまえをどう変えられるかが大事になってきます。ただ、かまぼこって難しいんですよ。鈴廣に入社する前に、代理広告店で企業のブランディングに携わっていたのですが、当時のクライアント企業様と比較しても、かまぼこは最も難しいプロダクトの一つだと感じます。「おめでたい席で年に一回いただく物」として世の中のイメージがついてしまっているため、固定概念を覆さないといけないんです。

固定概念を覆すという考え方、いいですね。研究者としては燃えます。松井さんの中で、突破口は見出せているんですか?

おぼろげながらではありますが、チャレンジは続けています。「かまぼこを日常に」をコンセプトに、「かまぼこのある暮らし」というメッセージを発信。四季折々の食材と合わせた新商品を開発したり、かまぼこに合うお酒を自社で製造したりしながら、かまぼことの接点を増やそうと試行錯誤しています。

チャレンジの中で発見したのは、「かまぼこから一歩離れて考える」という視点です。かまぼこを軸に考えると思考が限られてしまう。ただ、世の中にとってかまぼこは副菜です。その立ち位置を冷静に受け止め、副菜としてのかまぼこを「食べたくなるシーン」から考え、周辺商品の開発に注力しています。「かまぼこに合うお米は?」「一緒に食べたい料理は?」と考えると、「ものすごく可能性が広がるかも。」と、ワクワクします。個人的には、かまぼこにまつわるお惣菜を作ったり、レシピ開発、SNSでのレシピの発信も増やしたいです。箱根百年水や小田原の食材とのコラボ料理をかまぼこの里にある「レストランえれんなごっそ」で振る舞うといったことも、もっと増やしていけるといいですね。

かまぼこのある暮らしが定着し、お正月に食べるものという固定概念を崩すことができたら、改めて鈴廣の原点であり頂点の板かまぼこをアピールしたいです。食感、風味、栄養価、どれをとってもお魚たんぱくをおいしくいただくとしたら、究極のヘルシーフードは板かまぼこだという自負はありますから、きちんと知っていただき、食べていただきたい。だからまずは、かまぼこのイメージをアップデートすることから進めています。

小田原に
新しい目的地を創る。

つい話しすぎちゃいました。打ち合わせで植木さんが「科学的知見から良いネタをたくさん用意しておきます!」って言ってくださっていたので、大トリをお願いしましょうか。青戸さん、お願いします。

青戸 佳予子

はい!私が担当するかまぼこの里プロジェクトは、小田原を訪れていただいたお客様に「感動体験」をお持ち帰りいただくことをテーマに、数年前から活動しています。かまぼこの里はかまぼこ博物館や鈴廣の全商品が並ぶ鈴なり市場、レストラン、バー、カフェなどがあり、単にお土産を買っていただく場所ではなく、「楽しかった!」という感動体験を味わっていただける、いわばテーマパークのような場所を目指し、運営や開発を進めています。

鈴廣主催の小田原ツアーも始めるって話でしたよね?
旅行会社さんや地元の農家さん、漁師さんにもご協力いただいて。

そうです。協業いただける地元の皆様と連携し、イベント企画も進行中です。

小田原ツアー、いいですね。小田原って、海も山も川もあってすぐそこに箱根温泉もあるんだけど、目的地になりにくい。かまぼこの里がもっと盛り上がって、かまぼこの里を目的に小田原に来てくださる方が増えることで、鈴廣をもっと沢山の人に知っていただけるといいですよね。

さすが植木さん。プロジェクトメンバーでよく話すのはまさにそこです。かまぼこの里を目的地にしていただきたい。来ていただくきっかけは、「かまぼこを食べるため」でなくてもいいんです。子どもを連れて行って楽しめそうだな、デートで一度行ってみようかな、というように、鈴廣を知らない方にも気軽に行きたいと思っていただける場所を目指しています。そして、かまぼこの里でお過ごしいただく中で、かまぼこの存在価値が変わるような体験をしていただき、かまぼこに興味を持っていただきたい。最終的には、より多くのお客様にかまぼこや鈴廣ファンになっていただくことを目指しています。
すでに鈴廣ファンになっていただいているお客様に向けては、「箱根百年水」にフォーカスした企画も検討中です。なぜ鈴廣ならではの蒲鉾の味や食感を生み出せるのか、その一つの答えである「水」の良さを伝えられたらと思っています。どう伝えるかという部分で、企画を練っている最中です。

お魚たんぱく研究の第一人者となり、
世界を健やかにする。

植木さん、お待たせしました!鈴廣がお魚たんぱくに着目するきっかけを作ったとも言える、魚肉たんぱく研究所の取り組み。ご用意いただいたネタと合わせて、存分にお話しください。

植木 暢彦

ネタなんて、そんな話してませんよ。青戸さんまた調子のいいことを言って。話したいことがたくさんあるのは本当なので話します。魚肉たんぱく研究所では、その名の通り魚肉タンパク質の基礎研究を主に行っています。具体的な研究テーマとしては、伝統的職人技の原理解明や原料魚種の特性解明、かまぼこの品質向上・安定化、未利用資源の有効活用、魚肉タンパク質の新規シーズ開発、魚肉タンパク質・ペプチドの健康機能性解明などがあります。いかにお客様が感動する品質を安定して供給できるかを追求しています。中でも最近注力しているのが、お魚資源の完全利用というテーマです。これまで鈴廣は基本的にかまぼこを作るためにお魚資源を利用していましたが、主に身の部分の利用で、骨や皮などは活用法が限られていました。

魚の骨や皮を原料につくった肥料「うみからだいち」も、研究所のアイデアから生まれた商品ですよね。

そうですね。未利用資源を有効活用できないかと実験を重ね、商品開発と協業して商品化にいたりました。これから起こるであろうプロテイン・クライシスを踏まえると、お魚たんぱくが持つべき役割はこれまで以上に大きくなります。牛肉や大豆などと比べてお魚たんぱくの栄養性や健康機能性に関する研究はまだまだ新しい可能性に満ちあふれています。
お魚たんぱくという言葉を聞くと、一種類のタンパク質を想像されるかもしれませんが、魚は数万種以上のタンパク質で構成されています。さらに、現在確認されている魚種は3万種と言われていますから、その可能性は無限大です。特に最近では、低・未利用魚や加工副産物の研究も盛んで、お魚たんぱくの健康機能性に関する論文が次々と発表されています。研究者としては、かなり興味深いテーマに最前線で取り組むことができていると感じています。

うちの研究が、世界的大発見に繋がるなんてこともあるんですか?

あるかもしれませんね。まだまだ有効活用されていない魚種や部位が山ほどありますから。食品に限らず、医薬や美容、日用品など様々な可能性を模索しながら将来の新事業へと繋げていきたいですね。少し別の話になりますが、研究過程で「お魚たんぱくは、お肉など別のタンパク質に比べて消化吸収されやすい」という発見がありました。魚肉タンパク質の構造は緩やかで柔らかいため、とても消化されやすく、胃腸に負担をかけにくいんです。もう少しデータを集める必要はありますが、お魚たんぱくの栄養性・消化性が健康機能性の発現に繋がるという証明ができれば、「お魚たんぱくで世界を健やかに」という言葉が、より一層強いものになるのではないかと思っています。

すごいですね!

さらにその先、私たちにしか出せない鈴廣の味を魚肉タンパクの健康増進効果とともに広く世の中に伝えていきたいと思っています。常温流通や新技術の導入など、まだまだ高いハードルが残されていますが、それを解決するための挑戦を続けていきますよ。

まさに「お魚たんぱくで世界を健やかに」ですね。研究者ならではの観点でおもしろい。

松井さんがマーケット目線で見て、かまぼこは難しいけどおもしろいとおっしゃっていましたが、科学的知見から見ても、かまぼこはとてもおもしろいです。

お魚たんぱくの可能性は無限ですね。かまぼこの里ももっとグローバルな視点で考えようかな。世界中にかまぼこの里をつくるとか。

だったら・・・

確かに・・・

こんなのもアリかも・・・

未来を語るリーダー座談会

かまぼこ談義は尽きませんが、
本日はここまで。

3人が語る鈴廣の未来を通じて、お魚たんぱくが持つ可能性について具体的にイメージできるのと同時に、お魚たんぱくには無限の広がりがあることを理解できました。3人の議論が尽きないのと同じように、今後も鈴廣では新しいアイデアが生まれ続け、「お魚たんぱくで世界を健やかに」の実現に向かっていくでしょう。
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