魚肉たんぱく同盟コラムVol.8

【特別対談】長友佑都 × 鈴廣かまぼこ社長 鈴木博晶:『魚肉たんぱく同盟』の神髄 ~「かまぼこの未来と使命、そして両者が挑み続けるワケ」~

2021.08.03

かまぼこの歴史はとても長い。900年以上も前の歴史文献の中に、すでに当時の貴族のパーティー料理の絵図にかまぼこが登場しているという。大昔から高級食材として朝廷内で楽しまれていたのだろうか。

そんな歴史と伝統をもつかまぼこの奥深い世界に、新しい風を吹かすべく実現したのが、創業156年の歴史を持つ老舗・鈴廣かまぼこと、サッカー日本代表の長友佑都選手による「魚肉たんぱく同盟」だ。この同盟はなぜ生まれたのだろうか。
鈴廣かまぼこ代表取締役社長・鈴木博晶と4度目のワールドカップ出場を目指す長友佑都。時代を跨ぎ、世代を超越して挑戦を続ける2人の対談は、長友佑都が鈴廣かまぼこを食するところから始まった。

長友佑都×鈴廣かまぼこ

鈴木:まずは私どものかまぼこを改めてお召し上がりいただきたいと思っております。

長友:(パッケージを見て)格好良いですね! そして僕の大好物です。

〜実食〜

長友:うん、美味しい!

鈴木:どうもありがとうございます。歯応えはもちろん、スッと入るような喉越しを大事にしています。そして、味や香りは、インパクトが強すぎないように。飽きない美味しさを追求しています。

長友味や香りが強いと量も食べれないですからね。本当に飽きないです。

鈴木:他に似た食べ物がないのかもしれません。

長友:確かにそうですね。僕はフランスでも鈴廣かまぼこを食べていますが、これまで、一つのものを毎日食べるということはなかったんです。いまでは、家族みんなでかまぼこを楽しみながら頂いています。

長友佑都×鈴廣かまぼこ

― 「食する」とは

鈴木:長友さんはアスリートとして「食べる」ことをとても大切にされていますよね。ご自身で特に実践していらっしゃることはありますか?

長友:たんぱく質をしっかり摂ることと、糖質を摂りすぎないということを意識しています。

鈴木:なるほど。著書の中には「ファットアダプト」というキーワードがありましたが、これはどのようなものなのでしょうか。

長友:ファットアダプトは、糖質を上手に管理しながら、良質なたんぱく質や脂質を摂って、脂肪をもエネルギーにするという意識で取り組んでいる食事法です。

鈴木:脂肪と言ってもさまざまですが、どのような脂質がエネルギーになるのでしょうか?

長友一番はお魚の脂だと思っています。もちろんお肉からも、脂質はたくさん摂れますが、一番自分に合っているのは、お魚の脂なんです。

鈴木:お魚の脂とたんぱく質との関係ということですね。たんぱく質を活かすためにも、脂が必要だという理論をお持ちでいらっしゃるんですね。

長友:脂質は必要なものですが、本当に良いものじゃないと体には浸透していかないと実感しています。

鈴木たんぱく質は、血や肉になるもので、特に筋肉や骨格を作るという役割があります。また、エネルギーとなって体の新陳代謝を促進させるという役割もありますが、長友さんは、このどちらも上手に自分の中に取り入れていこうとされていますよね。

長友:僕たちは、毎日激しいトレーニングをしながら試合を重ねていくので、筋肉が消耗しやすいんです。だから、良質なたんぱく質を取れないとリカバリーが追いつかないんです。それは年齢を重ねるごとに身にしみて感じるようになりました。若い頃は、それほど食のことを考えなくても、怪我なくやれていましたが、歳を重ねてくると怪我が増えてきたんです。そこで、自分の体の中に入れるものを、根本から見直していこうと考えて、シェフとともに食の改善に取り組んできました。取り組み始めてからは、本当に怪我をしなくなりました。その中でも、もっとも重要だったのが、たんぱく質の摂取でした

長友佑都×鈴廣かまぼこ

― 食育への考え方

鈴木:長友選手は良きパパであるというイメージを持っています。お子様の食生活というものはとても気を付けていらっしゃると思います。外国に住んでいらっしゃるから、調達できる食材も限りがあると思います。そのような環境下で、どのような点を気を付けてお子様に食事をとらせているのでしょうか? また奥様とはどんな会話をされているのでしょうか?

長友:うちの子どもは、炭水化物が大好きで、ご飯やパスタ・うどんなどが大好きなんですよ。でもそればかりを食べていると栄養が偏ってしまうので、魚や肉といったたんぱく質を取らせるように意識しています。かまぼこを炒め物にしたり、味噌汁が好きなのでかまぼこを具材に入れたりして工夫していますね。

フランスでも新型コロナウィルス感染拡大の影響で、外出が難しかったので、かまぼこが家にあったのは本当に助かりました。安心して子どもたちにも食べさせてあげられるという点でも本当にありがたかったです。

鈴木:たんぱく質はかまぼこで摂れていたということですね。あとはお野菜で他の栄養素を摂っていると思いますが、どんなお野菜を食べさせていますか?

長友:野菜はすごく難しいんですよね。野菜が好きではないので、チャーハンに野菜を混ぜてあげたり……。何かと混ぜることによって食べてくれるので、そこは妻と一緒に工夫しながら取り組んでいます。ただ子どもは、一回嫌になってしまうとそのあとは食べてくれなくなるので、日々試行錯誤しながらやっています。

― 現代の食の変化

鈴木:いま、日本ではお医者さんが「歳を取ったら肉を食べなさい」と言うわけですよ。歳を取ったらたんぱく質が吸収しにくいから、肉をたくさん食べなさいと。そうすると、牛か豚か鶏を食べる人が増えるんですね。なかなかお魚を食べてくれない(笑)。

長友佑都×鈴廣かまぼこ

長友:なるほど。

鈴木高齢者も元々はお魚が大好きなはずなのに、畜肉に向かってしまうんですよ。

長友:そうなんですね。

鈴木:長友さんの立場では、いまの高齢者の食習慣をどう思いますか?

長友:アスリートだけではなくて、生きている全ての人にたんぱく質は重要ですよね。特に僕の場合はお魚が自分には合っているので、やはりそこは意識して食べてほしいですよね。

鈴木歳を取ると消化する力も弱くなります。だからそんなに頑張って肉を食べても、体に負担がかかってしまいます。その点でも、お魚は体への負担も少なくて良いんですよね。

長友:そうですよね。スムーズに消化されますからね。お医者さんには「お魚も大事だよ」と言ってもらいましょう(笑)。

鈴木:そうしましょう(笑)。

― 鈴廣かまぼこを選んだ理由

長友:鈴廣かまぼこさんからオファーをいただいた時、まずは栄養面だけでなく、素材や作られる工程のことなどを詳しく知りたいと思いました。そして7匹の魚が入っていることや、たんぱく質が豊富で、しかも化学調味料や保存料を使っていないということを聞いて、「これは確実に体に良いな」と感じました。ただ、美味しくないと続かないと思ったので「まずは食べてみたい!」とお伝えしました。

そして初めて鈴廣かまぼこを食べた時は、本当に衝撃が走りました。正直なところ、かまぼこがそれほど美味しいものだとは思っていなかったんです。確かに幼いころは、かまぼこを食べていたんですけれども、大人になってからは食べる機会がなくて……。でもいざ食べてみたら本当に美味しくて、「コラボさせてほしい!」という熱量に変わっていき、オファーを受けさせていただきました。鈴廣かまぼこに出会えて本当によかったです。

鈴木:こちらこそ、本当にありがとうございます。

長友かまぼこを文化にしたいですよね。暮らしの中に常にかまぼこがあり、みんなが楽しんでかまぼこを食べているようなイメージ。かまぼこを日常に落としていくことに、僕もどんどん協力していけたらなと思っています。

長友佑都×鈴廣かまぼこ

鈴木:そうなれば嬉しいですね。ありがとうございます。

― 長友佑都の挑戦

鈴木:長友選手には「挑戦」というキーワードがあると思います。長友選手にとって挑戦とはどのようなものですか?

長友:まず「何で挑戦しているか」ということなんですが、僕は、「成功するため」よりも「成長するため」に挑戦しているんだと思うんです。結局、自分自身が成長していかないと成功もついてきません。挑戦を続けない限り、成長は待っていないんです。

鈴廣かまぼこの社是に「老舗にあって、老舗にあらず」という言葉がありますが、これは僕自身にも当てはまる言葉だと感じています。「長友にあって長友にあらず」。ベースは保ちつつも、今の自分に満足せず、挑戦してまた新しい自分を作り上げていく。そして、現代フットボールに自分をアダプトさせて、進化していきたいと思っていました。だから、この社是を聞いた時には、すごく心が打たれ、大いに共感しました。

― 鈴廣かまぼこの挑戦

長友鈴廣かまぼこにとって、挑戦とはどのようなものでしょうか?

鈴木:私どもは、製品を世の中の方に召し上がっていただいてこそであり、その結果、楽しさとか満足を得ていただくということが成果なんですね。だから、どれだけ大きな成果を自分たちの製品によって成し遂げることができるか。それが一つの挑戦なんです。

長友佑都×鈴廣かまぼこ

長友:まずは製品を届けるということですね。

鈴木:多くの人に製品を届け、そしてポジティブな影響を与える。そのために何をするかを考えることが挑戦かなと思っているんです。これは、一つの事例ですが、多くの方にかまぼこや練製品の素晴らしさを享受していただくためには、様々な製品があって良いだろうと思っているんです。そこで、従来とは全く違った発想の製品を作ってみたんです。それがこの「万能すり身パウダー」というものです。

かまぼこは、熱をかける前は海苔のようなネバネバしたすり身なんです。それを乾燥パウダーにしたものなんですよ。この粉を水でもう一度も揉み直すと、すり身になってしまうというマジックのような粉ができたんです。

これは冷凍・冷蔵の必要がなく、ほぼ常温で持ちますから、必要な時にすぐにかまぼこが食べられるんです。つまり、これはタンパク質の凝縮版なんですね。ちょっとどんなものかお試しいただいて。

〜実践〜

長友佑都×鈴廣かまぼこ

長友:あっ、すごい! 途中から変わってきた!

鈴木:途中からどんどん変わってくるでしょ?

長友:すごっ!あっ!また変わった!

鈴木:これを例えばボールにしてちょっと揚げるとこのようなものになっちゃう。ぜひ召し上がってください。

長友:いただいていいんですか? では、いただきます。

〜実食〜

長友:うん、美味しい!

鈴木:これなら、外国でも保存しやすいでしょ?

長友:そうですね。

鈴木:外国でも「ちょっと練製品を食べたいな」と思った時に、ちょっとこねて、すり身に戻して、熱をかけて調理してもらうだけ。

長友:美味しい!

鈴木ちゃんと弾力も魚の味も出ていますでしょ?

長友:う〜ん。いいですね!

鈴木全世界に通用するんじゃないかと思っています。

長友:かまぼこだと冷蔵庫に入れられる量も限られていますし、長期保存が難しかったりするんですよね。

鈴木:そうです。

長友:へぇ〜、これはすごい!世界に行けますね。

鈴木:ご家庭での需要もありますが、日本料理だけでなく、フランス料理やイタリア料理でも、かまぼこは使われているんですよ。

長友:そうなんですか。

鈴木:例えばテリーヌとかフィッシュプディングとか。

長友:なるほど。そうなんですね。僕らにとってもありがたいですね。

鈴木子どもと一緒に、作るのも楽しいかもしれないですね(笑)。

長友:楽しそうですね!

― 夢を共に

長友僕の夢は、2022年のワールドカップに出場して、日本代表チームに貢献することと、ベスト8以上の結果を出すことです。いまはそこだけしか見ていません。そのくらい腹を括って、強い信念を持って日々を過ごしています。36歳で迎えるワールドカップになりますが、「長友は、20代なんじゃないか?」と言われるくらいガンガン動き回りたいと思っています。

鈴木:こっちにいたと思ったら、もうあっちにいる、みたいな感じですね。

長友:そうですね。「長友って何人いるんだ?」とか「アイツ、本当に36歳か?」と言われるくらいの活躍をしたいですね。

鈴木:我々もそういうイメージを持ちながら応援したいと思います。

長友:これまで4大会で出場した選手が日本にはいないんですよ。だから誰も成し遂げていない目標に向かって進みたいと思います。ぜひ期待していてください。

鈴木我々は食べる物で応援させていただきます。

長友:心強いです。本当に素晴らしいサポートをよろしくお願いします。

鈴木:長友選手が活躍する姿を我々も大いに期待しています。今日は本当にありがとうございました。

長友:こちらこそありがとうございました。楽しかったです。引き続きよろしくお願いします。

本対談の動画はコチラ

書き手:瀬川泰祐(スポーツライター・エディター)

株式会社カタル代表取締役。HEROs公式スポーツライター。Yahoo!ニュース個人オーサー。ファルカオフットボールクラブ久喜アドバイザー。ライブエンターテイメント業界やWEB業界で数多くのシステムプロジェクトに参画し、サービスをローンチする傍ら、2016年よりスポーツ分野を中心に執筆活動を開始。リアルなビジネス経験と、執筆・編集経験をあわせ持つ強みを活かし、2020年4月にスポーツ・健康・医療に関するコンテンツ制作・コンテンツマーケティングを行う株式会社カタルを創業。取材テーマは「Beyond Sports」。社会との接点からスポーツの価値を探る。公式サイト http://segawa.kataru.jp