魚肉たんぱく同盟コラムVol.23

「ヨーロッパで、食の重要性を痛感した。」 元サッカー日本代表・稲本潤一の現在地と食事情。

2022.12.08

 元サッカー日本代表MF、稲本潤一選手。2ゴールを決めて日本中を熱狂の渦に巻き込んだ2002年日韓大会を皮切りに3度のW杯に出場。海外7クラブ、国内4クラブを渡り歩き、現在は関東1部リーグの南葛SCに所属している。10代から第一線で活躍し、40代を超えてもなお現役を続けるレジェンドに、現カテゴリーでのサッカー事情、コンディション作りのこだわりを聞いた。

――稲本潤一選手プロフィール
1979年(昭54)9月18日、鹿児島県生まれ。G大阪ジュニアユース、ユースと進み、当時史上最年少でJデビュー。2001年夏にアーセナルに移籍し、欧州の7クラブでプレー。日本代表として日韓、ドイツ、南アフリカと三度のワールドカップに出場し、特に日韓大会ではベルギー戦の逆転ゴールとロシア戦の決勝点を挙げ、日本中を熱狂の渦に巻き込んだ。2022シーズンから関東1部南葛SCでプレー。日本代表で国際Aマッチ82試合5得点。181㌢、75㌔。

――今年、関東1部リーグで1シーズンプレーした印象をお聞かせ下さい。
 
 Jリーグじゃないカテゴリーでプレーするのは初めてで、想像以上に厳しいリーグだなというのが素直な感想です。関東1位になったからといって上のカテゴリーに昇格できないのが難しいカテゴリーと言われる理由の一つです。そこから全国リーグなどを経て昇格が叶うわけです。純粋に試合が多いので、コンディションやチーム状況など、色々な条件がそろわないと昇格できないリーグだと感じました。プロ契約の選手が少ない中で、仕事が終わってから夜の練習に来る人がほとんど。モチベーション、疲労感、コンディションの調整は僕たち以上に、日中働いている選手は難しいだろうなと普段見て感じています。

――先日、4年に1度のサッカーの祭典がカタールで開幕しました。稲本さんが初めて出場された2002年の日韓大会について振り返っていただけますか。
 
 日韓大会に出場できたのは今思うとすごい貴重な経験。年齢も20代前半だったこともあり、当時はその価値をわかっていなかった部分もあります。自分が生きている中で、日本で開催されることはないかもしれないので、出場してゴールを決めることができたのはとても思い出深いです。点が取れたのは周りの人に感謝しなければならないし、サッカー人生の中でも印象に残るプレーの1つですね。当時の日本代表の人気は、日本開催だったからだと思いますが、異常な盛り上がりでした。選手からしたらありがたいですよね。スタジアムの雰囲気は最高でした。

――現在の日本代表についてどうお考えですか。
 
 20年前と比べものにならないくらい技術、戦術のレベルが上がっている。代表選手のほとんどがヨーロッパでプレーするのはある意味理想的。ヨーロッパでの経験、やってきたことは国際大会で生きてくるので、とても楽しみなチームですね。

――日本サッカーの変遷についてはどのように見ていますか。
 
 日韓大会が開催された20年前と比べると、サッカーに興味のある人が増えたと思いますし、サッカーが日本の文化になりつつある。様々な媒体でサッカーを見る機会も増えていると感じます。それ故に、サッカーを見る目が厳しくなって、2002年の頃とは違った見方をする人が増えたことも事実です。着実に日本サッカーのレベルは上がってきていますが、4年に1度の大舞台で勝ち進んでいけばメディア露出もさらに増えるでしょうし、そこで結果を残していくことでサッカー文化はより日本に根付いていくと思います。

――鈴廣かまぼこのアンバサダーを務める長友佑都選手は、フィールドプレーヤーとして初めて4大会連続出場となりました。日本代表で一緒にプレーした印象などをお聞かせ下さい。

  僕は2010年の南アフリカ大会しか一緒にプレーしていないですけど、サッカーに対する姿勢は素晴らしいものがありますよね。身体能力は当時からすごかった。「サッカーがうまい」というイメージは決して強くないですが、そこを本人が一番理解していて、とてつもない努力の積み重ねがあったからこその結果だと思います。フィールドプレーヤーで4大会出るって、なかなかこれから先も出てこないと思います。改めて、とんでもないことです。日頃の体のケアであったりタンパク質をより多く取ったりと、研究熱心な姿勢が実った結果なんじゃないかなと思います。フィールドプレーヤーとして4大会連続出場するということに対して、シンプルにサッカープレーヤーとして尊敬しています。

――稲本選手の食事情についてもお伺いしたいのですが、現在はどのようなことに気をつけていますか。

 年齢とともにどうしても疲れが抜けづらくなってくるので、まずはどう疲労回復するかを一番に考えています。練習が夜なので食事のタイミングがすごく難しい。夜ご飯は家に帰ってから食べることも多いです。なので、練習後にプロテインだったりでタンパク質を補給するのですが、食事は夜遅い時間になりがちなので、消化性と食べる量には気をつけています。

――疲労回復を意識するようになったのはいつ頃からでしょうか。
 
 試合や強度の高い練習をしても、翌日にはある程度回復していたのが、30代後半になってきて、回復速度が明らかに遅くなってきました。そこは受け入れていくしかない部分なので、どう向き合っていくかを考えて取り組んでいます。重要な要素だと考えているのは特に睡眠、休養、食事の部分ですね。

――当時から日本人離れしたフィジカル面が印象的な稲本選手ですが、どんなトレーニング、食事を取っていたのでしょうか。

 ユースの時も夜練習だったので、夜ご飯を食べずに練習して、練習帰りに母親が事前に準備してくれたおにぎりなどの炭水化物を補給し、家に帰ってから夕食という感じでした。そんなに食に対して考えることもなかったし、当時はそういう風潮でもなかったです。学生時代に筋トレをした記憶はなくて、プロ入った時も若いときは全くやっていなかった。ヨーロッパに移籍してから、試合に出られなくなったときにコンディション調整と共に、食生活も含めてフィジカル面について考えるようになりました。

――具体的にどんな経緯で、体のケアに目を向けるようになったのでしょうか。

 アーセナルなどビッグクラブは当時からしっかり練られたメニューがありましたが、僕が主に所属していたチームに関していえば、在籍当時はまだ全選手が食にこだわっているという訳でもなかった。それでもすごくフィジカルが強くて走力もある選手が多かったので、彼らと同じ生活をしていたら、自分は追いつくことができないと感じましたし、それからは栄養士の方にサポートしてもらいながら、食へのアプローチを考えるようになりました。日本人選手が、体格に勝るヨーロッパの選手に勝つためには、食に対しても個人で努力することが大事だとヨーロッパに行って気づきました。

――海外で意識していた食事はどんなものでしたか。

 食事の質であったりとか、プロテインを飲むタイミングですね。外食が多かったので、油ものを食べないとか、魚やタンパク質をどう摂るかは栄養士とコミュニケーションを図りながら取り組んでいました。

――現在、タンパク質はどのようなものから取っていますか。
 
 基本的には、魚であったり、お肉であったり、納豆はほぼ毎食食べていて、しっかりタンパク質は取っています。どれだけ練習後に回復するかが重要なので、そういう意味でもたんぱく質は意識的に取っています。ビタミン、ミネラルも重要だけど、よりタンパク質が多いものを選ぶようにしています。

――たんぱく源としてのかまぼこについての印象を教えて下さい。

 これまでお正月にしか食べないものでしたし、かまぼこが体に良いっていうのは多分わかっていたと思うんですけど、それなら焼き魚を食べた方がタンパク質を摂取できるのではないかなというイメージでした。

――鈴廣のかまぼこやフィッシュプロテインバーの印象はいかがですか?

 かまぼこの栄養素や機能性を説明いただいて、たんぱく質の取りやすさや消化性の良さであったり、含まれているたんぱく質の量が体に良いことを認識しました。鈴廣かまぼこが提供しているサプリメントの「サカナのちから」は、個人的にはかなり体感が良いです。

 サカナのちからは基本的に寝る前と練習に行く前に摂っています。体感としては、夜練習して疲れた状態で寝ても、朝起きたときにはスッキリと回復している感覚になりました。今まで色々なプロテインやサプリメントを試してきましたが、久しぶりに自分の身体に合っている商品に出会うことができて嬉しく思っています。

――フィッシュプロテインバーは実際に食べていただいて、いかがでしたしょうか。

 プロテインバーは、すごく手頃に美味しくたんぱく質を摂取できますし、おやつ感覚でも食べられる。僕が食べていると、子どもも欲しいと言うので一緒に美味しく食べています。手軽に良質なたんぱく質が摂れる良い商品だなと思いますし、購入できるお店が今後もっと広がっていくと良いですよね。

――お気に入りの味などありますか?
 ガリシア風のタコとアクアパッツァですかね。スペイン風やフランス風など異国風なテイストですが、今度は長友らしい和風の味を作っていただけると嬉しいです(笑)。醤油ベースとか?メイドインジャパン的なものを作っていただけると、海外のアスリートにも喜んでもらえるのではないでしょうか。

五勝出 拳一(ごかつで・けんいち)
広義のスポーツ領域でクリエイティブとプロモーション事業を展開する株式会社セイカダイの代表。複数のスポーツチームや競技団体および、スポーツ近接領域の企業の情報発信・ブランディングを支援している。『アスリートと社会を紡ぐ』をミッションとしたNPO法人izm 代表理事も務める。2019年末にマイナビ出版より『アスリートのためのソーシャルメディア活用術』を出版。