魚肉たんぱく同盟コラムVol.40

箱根駅伝を目指しながら、世界で戦える選手へ―。第101回箱根駅伝を走った中央大学・白川選手に聞く、箱根路の思いと“食”へのこだわり

2025.02.18

2025年1月2日~3日に開催された第101回箱根駅伝。1区からトップを快走したのは、昨年はシード落ちと辛酸を舐めた中央大学だった。箱根駅伝の象徴のひとつである小田原中継所を目指して走った4区・白川陽大選手に、陸上そして箱根駅伝に懸ける思い、アスリートとしての食への取り組みを訊いた。

白川陽大選手プロフィール
2004年1月26日生まれ。大阪府出身。2年次(第100回大会)に9区を走り、3年生となる今年(第101回大会)は4区を任される。トップで受け取った襷を、そのままの順位で5区に繋いだ。

――第101回箱根駅伝での快走、お疲れ様でした。白川選手にとっては2年連続の箱根となりましたが、振り返っていかがですか?
100回大会はチームとしてはもちろん、僕個人としても「楽しく走れなかった」という印象が強く残っていました。どちらかというと直前まで苦しくて、眠れなくて、走りたくなくて…。でもそれって、走れない人がいる中で申し訳ないことですし、最後の箱根となる4年生にも申し訳ないことをしたという思いが残りました。だからこそ、今年は楽しく走って、4年生にも笑ってもらえる大会にしたいと思っていました。実際に当日は自信を持って臨むことができましたし、それは100回大会の悔しい思いがあったからこそのいい変化だと感じています。

――レース後にXでも「あの負けがあって、僕らは変われた」という発言をされていましたね。
僕たちには100回大会の悔しい結果があり、101回大会に向けてはチームの立て直しを図ってきました。ただ、その過程も決して良い流れではなく、4年生が苦しんでいる姿もそばで見てきました。「人材は揃っているのに、練習はできているのに、なぜ結果が出ないのだろう」というもどかしさが大きかったですね。でも、そうやって頑張ってチームを立て直そうと取り組んだ集大成でもあったので、真っ向勝負で臨めた大会となり良かったと思います。

――襷を繋いだ小田原中継所の印象は何かありますか?
本番の日の話ではないのですが、コースのラスト5キロを歩いて下見した際にお邪魔させていただいて。下見後にしばらくマネージャーと合流できなくて、店内で少し暖を取らせていただきました。だから、暖かいなっていう印象があります(笑)

――少し白川選手自身のことに話を移すと、陸上には長い間取り組んできたのでしょうか?
そうですね。実は母も陸上をやっていて、世界ジュニア選手権大会で優勝をしたような選手でした。その背中を見ていたので、自分も小学生の頃から週2回ほど、地域の陸上スクールで走るようになりましたね。中学校からは陸上部で活動を続けてきました。

――その頃から箱根駅伝も意識されてきたのでしょうか?
はい、毎年お正月はテレビで箱根駅伝を見ていました。それで自然と「自分も出られたらいいな」と思うようになっていましたね。

――中央大学を選ばれたのには、何かきっかけがあったのですか?
高校時代に竹澤健介さん(早稲田大学OB)の指導されている大学で練習をさせていただいた時期があったのですが、その時に竹澤さんから勧めていただいたのが中央大学でした。吉居さん(大和さん・駿恭さん)兄弟の活躍などでますます強くなっていくだろうと感じていたのもあって、進学先として興味を持つようになりました。
それを高校の顧問の先生に伝えたところ、実際に中央大学へ連絡してくださいました。連絡後、わずか2日後には藤原監督が私の学校まで挨拶に来てくださったんです。わざわざ大阪まで来てくださった監督を見て、中央大学に進めば、競技力だけじゃなくて人間的な行動力も身につくのだと思いました。人間的に成長できると実感したことが、進学先選びにおいて一番大きな決め手となりました。

――食生活についてもお話をお聞きしたいのですが、普段はどのような食事を取られていますか?
朝夕は寮食で、昼は全体のバランスを見て決めています。実は1年生の時から、毎日の食事を母に写真で欠かさず送り、不足している栄養素についてのアドバイスを受け取っています。この習慣を3年間続けてきたことで、次第に自分でも「練習の後はこれを食べた方がいいな」「こういう練習の日はこれを選んだ方がいいな」といった感覚が身につくようになりました。実は入寮したての頃がホームシックで(笑)。その際に食事の写真を送り合ったのが始まりなのですが、気が付けばアドバイスをもらうきっかけになりましたね。

――何か意識して摂取している栄養素はありますか?
強度の高い練習のあとはタンパク質やビタミンKが不足するので、しっかり補うように意識しています。ただ、無理に1回で摂るのではなく、3日間くらいかけて焦らずに、バランスを見つつ摂取するというのが大事かなと思っています。加えて、タンパク質を中心に、必要な栄養素はサプリメントやプロテイン等になるべく頼らず、食材から摂るように心掛けています。特に肉や魚といった動物性たんぱく質は意識して、食材から摂るようにしています。

――魚という言葉が出ましたが、かまぼこを普段召し上がることはありますか?
親戚が練り物のお店をしていたので、実家にいた頃はおせち料理などで毎年かまぼこを食べていました。馴染みはありますし、鈴廣製品の中だとチーズが入っているものが美味しそうです!

――ありがとうございます。最後に、白川選手の今後の目標をお聞かせいただけますか?
‟箱根駅伝で優勝“というのが大きな目標の一つではあるのですが、そこに集中しすぎてしまうと、箱根が終わった時に燃え尽きてしまうかもしれない、という心配もあります。
元々は、母が世界で活躍している姿を見て陸上を始めたので、箱根駅伝という存在も目指しながら、母のように世界で戦える陸上選手になれたらと思っています。

――次の箱根でも、白川選手の走りを期待しています!
はい、昨年復路、今年往路と走りましたが、どちらも重要で、どちらも同じように盛り上がってほしいと思っています。来年もチーム貢献できる場所で走れるように頑張ります!

河合萌花
フリーライター。教育系出版社、大手広告代理店を経て現職。インタビューライティングを主とする他、看護師資格やサッカー指導者ライセンスを生かしたスポーツ・ヘルスケア領域の執筆も多い。