魚肉たんぱく同盟コラムVol.4
ラグビー現役日本代表・藤田慶和が活躍を誓う東京の舞台 そのカギは食にあり
2021.06.13
高校時代は全国大会三連覇を達成。7人制、15人制ラグビー日本代表にそれぞれ史上最年少で選出されるなど、エリート街道を歩んできた藤田慶和選手。大きなストライドで、長い距離を駆け抜ける姿に、日本ラグビー界の明るい未来を想像したファンも多いことだろう。
藤田選手は、現在、東京オリンピックを目指し、7人制日本代表の活動に専念している。そんな彼が本腰を据えて取り組んでいるのが、食事だという。15人制とは異なるプレーが求められる中、彼の食事にはどんな変化があったのか。そこには、東京オリンピックでの活躍を誓う藤田選手ならではのこだわりがあった。
藤田慶和選手プロフィール
1993年9月8日生まれ。小学3年生からラグビーを始め、東福岡高校時代には全国3連覇を果たす。早稲田大入学直後の2012年5月に行われたアジア五カ国対抗戦の対UAE戦で、日本代表最年少出場記録を更新。同年にBarbarians世界選抜選出、さらには 2015年W杯イギリス大会に日本代表として出場するなど、順調にキャリアを重ね2016年にはパナソニック ワイルドナイツに加入。日本ラグビー界の未来を背負う逸材としてその動向に注目が集まっている。
どのようなきっかけでラグビーを始めたのでしょうか?
F:もともとは、友達のお兄さんから誘ってもらったことがきっかけで、野球をやろうと思っていたんです。体験をしに行くとハンバーガーをもらえるということだったので、喜んで体験に行きました。体験をしに行くと、コーチの方々が「上手いね」と言ってくれるじゃないですか。その言葉にのせられて「野球をやりたい」と父親に相談しました。すると「野球もいいけどラグビーもいいところあるから見てみないか」と言われ、スクールウォーズのモデルになった伏見工業の山口先生のところに連れて行ってもらったんです。そのときに山口先生に遊んでもらい、ラグビーの楽しさに触れたことがきっかけです。
これまで数々の実績を積み、ラグビーをやっている人なら誰もが認めるようなエリート街道を歩んできたと思うのですが、挫折した経験はありますか?
F:もちろんです。経歴だけを見ると凄いと思われるかもしれませんが、特に、2016年のリオデジャネイロ・オリンピックの時に代表メンバーから落選(バックアップメンバーとして、日本代表チームに帯同)した時は、すごく悔しい思いをしました。
オリンピックでは、7人制が採用されています。15人制で求められる役割との違いはありますか?
F:15人制では外側のポジションでのランニングを得意としていましたし、トライを狙いにいくポジションでした。一方で、7人制では司令塔として、チームを動かしながら自分でも攻撃をしにいくポジションです。15人制では周りに使われる立場ですが、7人制だと使う立場と使われる立場の両方を求められるというのが大きな違いでしょうか。また、体づくりにも大きな変化がありました。15人制では、パワーが必要になってくるので、体を大きくし、筋力をつけなければいけません。一方で7人制では、走り続けることが求められます。何も考えずに食べてしまうと、体脂肪がついて動けなくなってしまうので、食事の質や量の面は変化しました。
食生活に大きな変化があったということですが、東京に向けて、具体的にどのように変えたのでしょうか?
F:お肉よりも、魚をベースにして食事を取るようにしました。 あとは、何かに偏った食事ではなく、バランスよく食べることを意識していますね。
肉よりも魚を食べることを意識したのは、何かきっかけがあったのでしょうか?
F:「肉の脂より、魚の脂の方が疲労回復に良い」という話を聞いたことがきっかけです。7人制ラグビーでは、1日3試合を2日間に渡って行うこともあるので、疲労回復がすごく重要になってくるんです。年齢を重ね、少しづつ身体に気を使うようになったことも、魚を取り入れるようになった理由の一つかもしれませんね。
実際に取り入れてみて、効果は実感していますか?
F:肉と魚の脂の違いを実感しているわけではありませんが、パフォーマンスは出せていますし、日本代表にも継続的に呼んでいただき、怪我もなくできているので、しっかり疲労回復もできているのだと思っています。
食事の量はいかがでしょうか?
F:基本的には、体重を増やしたくないときは、量を少し抑えますが、日本代表の合宿中は、トレーニングもハードなので、量もしっかりととるようにしています。最近は、糖質を制限するために炭水化物を抜く食事方法を取り入れる人もいますが、僕の場合は、炭水化物を抜くこともなく、バランスよく色々なものを食べるようにしています。また、ミネラルは意識して摂るようにしていて、海藻類は必ずメニューに入れるようにしたり、余計な油を取らないようにするために、サラダは、オリーブオイルと塩だけで食べるようにしたりしています。
食事にもしっかり取り組まれているようですが、栄養士さんのサポート環境があるのでしょうか?
F:所属チームのパナソニックワイルドナイツには、専属の栄養士さんがいるので、アドバイスを受けることはあります。入団1年目には、毎月1回、体重の計測や面談をしてもらいながら食事の基礎を覚えて、2年目以降は自分で管理できるように教育してくれるんです。また、マネージャーが栄養学を学んでくれて、彼からレクチャーをしてもらったり、先輩の実体験を聞いたりしながら、試行錯誤しているうちに、自分のスタイルができてきたのだと思います。
食事のへの関心が高まったのはいつ頃からでしょうか?
F:怪我をしてからですね。それまでと同じように食べていたら太ってしまい復帰に時間が掛かると聞いていたので、栄養士さんに相談しながら食事を取るようにしたのがきっかけですね。
現在は、食生活のスタイルが確立されているとのことですが、普段は自炊されているのでしょうか?
F:元々はあまり自炊はしなかったのですが、新型コロナウィルスの流行をきっかけに自炊をするようになりました。最近は料理にハマっていますね。
自炊するときは、どのような工夫をしているのでしょうか?
F:元々食べることが大好きなので、あまり食事にストレスをかけたくないんです。だから、最低限のことは気をつけながら、しっかり食べるようにしています。
魚肉タンパク同盟のことはご存知でしたか?
F:いいえ、知りませんでした。ただ、魚の脂が体に良いことは知っていましたので、この活動を知ったとき、“かまぼこを取り入れることは、理にかなっているな”と感じました。
普段は、かまぼこをどのようにして食べていますか?
F:先日は、鯖の炊き込みご飯とサラダを作って、かまぼこは、そのまま切って醤油につけて食べました。普段は、主に間食で取り入れています。トレーニングが終わったあと、次の食事までに少し時間がある時にはかまぼこは重宝しています。栄養価が高く手軽に食べることができるのがいいですね。
かまぼこなどの魚を食べた時とお肉を食べた時では、疲労回復やパフォーマンスにどのような違いがありますか?
F:魚の方が疲労は軽減しているように感じています。また、肉を食べた後は満腹感があり身体も重くなったように感じますが、魚を食べた後は、消化・吸収が良いからなのか、身体も軽く、動きやすいと感じています。
オリンピックに向けて、食事は大きなポイントですね!間近に迫った東京オリンピックやその後の目標を教えていただけますか?
F:東京でメダルを取ることを目標に置いています。そのためにも日本代表に選ばれないといけないので、まずはチーム内の競争に勝ち、その上でメダルにチャレンジしたいと思っています。東京での活躍に期待していてください。
書き手:瀬川泰祐(スポーツライター・エディター)
株式会社カタル代表取締役。HEROs公式スポーツライター。Yahoo!ニュース個人オーサー。ファルカオフットボールクラブ久喜アドバイザー。ライブエンターテイメント業界やWEB業界で数多くのシステムプロジェクトに参画し、サービスをローンチする傍ら、2016年よりスポーツ分野を中心に執筆活動を開始。リアルなビジネス経験と、執筆・編集経験をあわせ持つ強みを活かし、2020年4月にスポーツ・健康・医療に関するコンテンツ制作・コンテンツマーケティングを行う株式会社カタルを創業。取材テーマは「Beyond Sports」。社会との接点からスポーツの価値を探る。公式サイト http://segawa.kataru.jp