魚肉たんぱく同盟コラムVol.26

「女子アスリートとかまぼこの相性は抜群!」 パナソニック女子陸上競技部の管理栄養士堤彩乃さんが考える、食べて勝つことの重要性。

2023.02.08

パナソニック女子陸上競技部は、女子アスリートにしっかり食べ、しっかり動いて消化することを推奨する「食べて勝つ ! 」の活動を推進している。そんなパナソニック女子陸上競技部「パナソニックエンジェルス」で管理栄養士を務める堤彩乃さん。今回の魚肉たんぱく同盟コラムでは、女子アスリートに対して栄養指導をする際に大切にしていることやお魚たんぱくの魅力について話をお伺いした。

堤彩乃さんプロフィール
1987年東京都出身。昭和女子大学卒業後、管理栄養士を取得。中学・高校では陸上、大学ではトライアスロンに励む。給食委託会社に勤めた後、トライアスロンでお世話になっていた中山俊行さんのご紹介で、Office LAC-U代表石川三知さんのもと、スポーツ栄養を学び、2012年からマネージャー兼管理栄養士としてパナソニック女子陸上競技部に携わっている。

――堤さんが管理栄養士を目指したきっかけを教えてください。

元々食事がとても好きで、自分自身もトライアスロンをやっていたこともあり、高校生の頃から食事と体作りに興味がありました。そのような背景で、栄養について学べる大学へと進学し、管理栄養士の資格を取得しました。純粋に食べるのが好きだったこと、スポーツを通じて食事や栄養の大切さを感じたこと。その2つが栄養士を目指すきっかけになりました。

――管理栄養士の資格を取得してから、現在に至るまでのキャリアについて教えてください。

スポーツと食事をテーマに活動する中で、フィギュアスケートの高橋大輔選手や浦和レッズの食事をサポートされている石川三知さんに出会う機会があり、スポーツ栄養を学ばせていただきました。しばらくして、パナソニック女子陸上競技部のマネジャーを探しているという話が石川さんに届き、かつ栄養士の資格を持っている人材を希望されているということでご縁をいただきました。パナソニック女子陸上競技部に関わらせていただいてから今年で10年目になります。最初は栄養士というよりもマネジャーの業務が大半でしたが、徐々に栄養士としての活動が広がっていった形です。

――パナソニック女子陸上競技部はしっかり食べながら競技結果を残すことを目指す「食べて勝つ!」の活動に取り組まれていますが、具体的にどのような取り組みなのでしょうか。

一般的に、糖質制限をはじめ様々なダイエット法が広く流行している影響で、アスリートや成長途中の学生でも「痩せたいからご飯を残す」「不必要な食事制限をする」という選手が多くなっている傾向にあります。

したがって、パナソニック女子陸上競技部に関わらせていただいた当初から、選手たちにはしっかりご飯を食べてもらえるように働きかけてきました。

糖質制限は、もともと糖尿病などの食事療法でアスリート向けではありません。その意味でも、エネルギー源である糖質をしっかり摂る事が身体作りには大切という事を浸透させたいと思っています。筋肉・骨・血液は日々身体の中で作られ、生まれ変わっているので、その材料となる栄養をきちんと揃える事が大切です。しっかり食べて、いい筋肉を作る。いい骨を作る。いい細胞を作る。質の良い身体を作る。その中でも、タンパク質はアスリートにとってポイントになります。

――どのような経緯で「食べて勝つ!」の取り組みが始まったのでしょうか。

「食べて勝つ!」というようにスローガンを掲げたのは、2016年に安養寺さんがチームの監督に就任されてからのことです。以前は、私自身がマネジャーの仕事と栄養士の仕事を行ったり来たりしながら奔走していたこともあり、注力しきれていない状況がありました。

安養寺監督が就任された時に、監督自ら「食べて勝つ!」と食に対してアプローチを強化することを宣言されて「堤の力が必要だから」とおっしゃっていただき、それからは食事に対してより力を入れて、チーム全体で意識するようになったと思います。

具体的な取り組み内容としては、食べることは大好きだけど、体重が増えてしまうからといって、ご飯を減らしたり残したりする選手が多かったので、まず選手たちに「食事を残さず食べてもらう」ことから始めました。しっかり食べることが競技力を高める身体作りに繋がるんだよということを繰り返し伝えていきました。

「食べて勝つ!」の合言葉も段々とチーム全体に浸透してきて、その効果を選手自らも体感し始めています。しっかり食べても太らないし、食べたからこそパフォーマンスが上がって自己ベストが出た選手も多くいます。そのように選手たちが実感することを通じて、徐々に食事への意識が高まっていることを感じています。

――女子の陸上選手ならではの悩みや、栄養面で特に気をつけている点は何かございますか?

女子陸上の長距離種目はやはり貧血が課題になります。陸上選手は「血で走る」と言われるように、血液の状態が良いと競技結果もついてくる。そのため、しっかり鉄分を摂ることに加えて、タンパク質やビタミンCなどの鉄分の吸収を促す栄養が豊富な食材を食べることも重要です。

激しいトレーニングをしているにも関わらず体重を減らそうと食事制限をすることで、慢性的なエネルギー不足状態になってしまいます。そのことが原因で無月経を引き起こしたり、無月経が続くとホルモン不足で骨粗鬆症を引き起こしてしまう負のサイクルに陥ってしまうのです。

――「食べて勝つ!」の活動を今後どのように広げていきたいですか?

陸上をやっている学生アスリートはもちろんですが、それ以外の方々にもパナソニック女子陸上競技部の食事へのアプローチについて興味を持っていただけるような発信をしていきたいですね。それに加えてチームが良い成績を残していくことで、しっかり食べることが競技結果の向上につなげていきたいです。

――今回、鈴廣かまぼこと連携されましたが、これまでに抱いていたかまぼこの印象をお聞かせください。

これまでもうどんの上にのせたり、お昼ご飯の添え物として選手たちに提供したことはありますが、メインの食材としてかまぼこを扱うことはありませんでした。なので、魚肉たんぱく同盟の取り組みに触れ、鈴廣かまぼこの機能性や美味しさを知った時には良い意味で驚きがありました。

――鈴廣かまぼこをご提供いただいた際の、選手達の反応はいかがでしたか?

主にお昼ご飯の時にかまぼこを提供したのですが、パナソニックの選手たちはみんな食べるのが大好きなこともあって、どんどん食べていました。選手たちの感想としては、もちろん美味しいということに加えて、これまで意識してかまぼこを食べていなかったけれど、自炊する時にも手軽に用意することができるし、時間がない時の+1品に取り入れたいというような声もありました。

――栄養士の堤さんから見て、鈴廣かまぼこの商品をどのように思われますか?

まず何より美味しいことですよね。加えて、大会などで遠征に行くと、ビジネスホテルの朝食は物足りないことが多いのですが、かまぼこの商品を持ち込むことで、美味しくタンパク質を補えるのは良いなと思いました。天然素材を使っていて消化が良いところや、保存料無添加なところも魅力です。手軽にタンパク質を補うことができる食材だと感じています。

――堤さんは、タンパク質の重要性についてはどのように考えていますか。

アスリートにとってタンパク質は欠かせない栄養素です。タンパク質を摂るにはお肉やお魚、お豆腐などが定番ですが、タンパク質が不足する時に、お勧めできる補食として、かまぼこはすごく手軽だし、調理をしなくても切って食べるだけでタンパク質が補えるので、栄養士の私としても発見でした。コンビニやスーパーなどでより手軽に買えるようになると、お魚たんぱくがより身近になっていきそうです。タンパク質摂取の選択肢として、かまぼこやちくわを取り入れていきたいなと思ってます。

――パナソニック女子陸上長距離女子部と、鈴廣かまぼこで一緒に取り組んでみたいことがあれば教えてください!

かまぼこの商品を選手たちに食べてもらって、各大会で着実に結果を残していきたいです。また、パナソニック女子陸上競技部のホームページに「食べて勝つ ! 」の特設ページを設けているのですが、そちらで魚肉たんぱく同盟について取材させていただいたコラム記事を公開していますので、是非ご覧いただけると嬉しいです。それ以外には、女子アスリートや学生アスリートの食育についても何か一緒にアプローチできたら良いなと思っています。


「食べて勝つ!」コラムの記事はこちら

五勝出 拳一(ごかつで・けんいち)
広義のスポーツ領域でクリエイティブとプロモーション事業を展開する株式会社セイカダイの代表。複数のスポーツチームや競技団体および、スポーツ近接領域の企業の情報発信・ブランディングを支援している。『アスリートと社会を紡ぐ』をミッションとしたNPO法人izm 代表理事も務める。2019年末にマイナビ出版より『アスリートのためのソーシャルメディア活用術』を出版。