箱根や小田原ではたくさんの木々に出会うことができます。
生きている木も、地面に横たわった木も、それから器や飾りに生まれ変わった木も。
どの木もやさしく、凛々しく、旅の思い出のひとつになっているのではないでしょうか。
鈴廣かまぼこの里「ギャラリー&ショップ千惠」では2024年9月1日から10月6日まで、さまざまな工房の小田原漆器や箱根寄木細工の作品を展示販売いたします。一つ一つ木の表情も手触りも重量も違いますので、どうぞお手にとって、ご自身の好みを探していただければ幸いです。
木路 ~露木 孝一氏の箱根寄木細工~
箱根寄木細工は江戸時代に始まり、ケヤキやクルミ、桜などの異なる色の木々を組み合わせて文様を作る伝統工芸です。
露木孝一氏はモダンな文様を次々と生み出し、現代の暮らしに使いやすい作品を数多く作っています。洋でも和でも、どんな空間にも映えるデザインです。
金指ウッドクラフト ~金指 勝悦氏の箱根寄木細工~
金指勝悦氏は寄木細工に新たな技法を生み出した革命児です。
異なる色の木々を寄せてブロックをつくり、そこからろくろを使って形を削り出す製法を生み出しました。
削り方次第で全く異なる模様が浮かび上がり眼福。今回は日常で使いやすい小皿や小物をセレクトしました。
薗部産業 ~使い続けたくなるうつわ~
木目を生かした、日々の暮らしに使える器を作り続けていらっしゃる工房です。木目の美しさと手のひらに馴染む形を、熟練した職人たちがひとつひとつ丁寧に削り出しています。
今回ご紹介する「めいぼく椀」シリーズは、年輪の曲線も美しく、使い込むほどに趣のある深い色へと変化する同工房の代表作品です。普通は木からタテにうつわをとりますが、めいぼく椀はヨコに木取りすることでより耐久性の高い器に仕上げています。ケヤキ、さくら、クリなど、木の種類も選べるのも楽しいところ。お手に取って違いをお楽しみください。
ラ・ルース ~小田原のヒノキのきもちのよい器~
「木の持つ良さを、気持ちの良さに」を掲げる工房です。「ひきよせ」シリーズのヒノキの器は、木が呼吸した空気のように軽くて滑らか。掌にのせるだけで心寛ぐ名作です。
「ひきよせ」はよく見ると数段の木が重ねられて作られているのがわかると思います。それは一本の太い木からうつわをくり抜くのではなく、いくつかの木材を組み合わせて寄木をつくり、それをろくろで成形しているから。こうすることで、小さな木材も廃棄することなく、すべて器の材料として使うことができるようになります。
小田原中心の間伐材も積極的に使っており、森里海を次世代に残したいという強い意志をお持ちです。
大川木工所 ~大川 肇氏の小田原漆器~
小田原漆器は伝統的に小田原のケヤキを使い、その木目の美しさを活かした漆塗りを行います。
今回は朱や黒の漆作品の他に、緑やグレーといった色彩鮮やかで、形も珍しいものをお持ちいただきました。使うほどに色合いが変わり、艶やかになってゆくのが漆器の魅力。生活の営みの中に溶け込む器です。