富士・丹沢連山に育まれた、とてもまろやかで上質な名水「箱根百年水」を使って鈴廣がつくる「箱根ビール」ブランド。
通年商品の「箱根ピルス」や「小田原エール」に加え、毎年、季節に合わせた限定ビールがつくられていますが、3〜5月の春季に登場するのが「春めきペールエール」です。清らかな雪解け水を思わせる快い苦味と、早春の草木の芽生えを連想させるさわやかな香りが春らしさ全開。華やかで上品な味わいなので、お花見やお祝いの席にもぴったりです。
「アジア・ビアカップ」で4度受賞、2017年には銀賞を受賞した本物の味をぜひお楽しみください。
アロマホップと麦芽、エール酵母の”香りの共演”
ビールの個性を決めるのは、「水」「ホップ」「麦芽」「酵母」の4つです。
まずは小田原が誇る名水「箱根百年水」。もともと、かまぼこづくりに使用していたこの水を、かまぼこ同様おいしい水が欠かせないビールというジャンルに取り入れたのが鈴廣のビールづくりのはじまりです。この水はビールのえぐみのもととなる鉄分を含まず、カルシウムやマグネシウムをほどよく含んでいることから、鈴廣の目指す「雑味がなくきれいな味わい」のビールづくりに不可欠です。
きれいな味わいの中で引き立つ香りと苦みを決めるのがホップの役目。「春めきペールエール」には、香りをつけるのが特に得意なアロマホップの中でも、柑橘系のさわやかな香りと苦みが少ない” アメリカンカスケードホップ”を採用。職人たちの熟練の技で使う量とタイミングを見極めて、このホップの香りを最大限に引き出しています。
麦芽(モルト)は発酵に必要な糖を含み、ビールの色、味わい、コクを決めます。「春めきペールエール」にはアロマホップの高い香りに負けずしっかりと味わいが感じられるよう、ほかのビールより麦芽を多めに使っています。
こうしてつくった麦汁に酵母を加えると、酵母が麦芽の糖をエサにアルコールを生み出しビールができあがります。「春めきペールエール」には、他の酵母と比べてビールを香り高く、そして味わい深く仕上げるエール酵母を使用。発酵の具合を職人が細かく調整することで、ホップと麦芽、エール酵母のそれぞれの魅力をバランスよく際立たせた極上の一杯が完成します。
8~10℃くらいで上品な香りを楽しんで
ペールエールは、イギリス発祥の伝統的なビール。ホップや麦芽の豊かな香りが特徴で、ピルスナーより味わい深いけれどエールよりもライトな飲み口という、シンプルで偏りのない美味しさが魅力です。そんなペールエールのなかでも「春めきペールエール」は、特に繊細。ひと口飲んだ瞬間にふわりと鼻に抜ける華やかな香りと、舌に感じる麦芽の旨み、キレのよい後味と、何層にも広がる奥深い味わいが楽しめます。
上品な香りを楽しむため、温度は冷やし過ぎない8〜10℃くらいがベスト。グラスに注いだ時の黄金色が目に鮮やかで、光に透かせてみるとほのかに濁っていることに気付きますが、この濁りこそが旨みの証しです。まずはゴクゴクとクリアな喉越しを楽しんで、その後は、じっくりと香りや旨みを感じてみてください。後味はすっと穏やかで、飲み飽きることもありません。
かまぼこはもちろん、スパイス料理、揚げ物とも相性抜群
くせのない味わいはどんな料理にも合わせやすいので、さまざまなペアリングを楽しんでみましょう。
ここで「春めきペールエール」におすすめのレシピをご紹介します。白身魚のすり身にイカやホタテ、ハーブやスパイスを加えてジューシーなフランクフルトにした「シーフランク」のじゃがいもマスタード炒めです。ハーブやスパイスを使った香りの強い料理と合わせても、「春めきペールエール」ならビールの力強い美味しさと、柑橘の香りをしっかりと感じられるはずです。また、天ぷらや唐揚げなどの揚げ物と合わせれば、ペールエールの快い苦みが油っこさをすっきりさせてくれます。
ビールの美味しさと鮮度を逃さない瓶のボトル入りでありながら、栓抜き不要なタイプなので、ピクニックや行楽のお供にも最適です。また、かまぼこの里「CAFE107」では、できたての「春めきペールエール」をテラスで楽しむこともできます。青空の下で飲むビールは格別ですよ。
Photography by Hiyori Ikai, Written by Tomoyo Tsuchiya