11月のシフォンケーキは、米粉とさつまいも、どちらも優しい甘さの素材を組み合わせておつくりしています。

使用する米粉は、小田原の志村屋米穀店から届く小田原産キヌヒカリのもの。志村屋米穀店5代目・志村成則さんはお米の力を信じ、農薬や化学肥料も使いません。トンボやおたまじゃくし、ナマズなどの生き物で賑わい、土づくりに欠かせない微生物も棲んでいます。こうしてできた米穀は“これがお米の味”なのかと再発見する味わいです。

そしてさつまいもは、神奈川県足柄上郡大井町の農家さんの畑でとれた紅あずまを使用。畑から収穫して、土がついたままの状態で届けていただきます。ふわりと漂う土の香りから、愛情込めてさつまいもを育ててくれた農家さんに思いを馳せつつ、パティシエがひとつひとつ丁寧に処理をします。

さつまいもはオーブンで焼き、丁寧に皮をはがします。そして実を手作業で刻み、米粉を加えた生地に合わせて焼き上げます。様々な種類があるさつまいもの中でも、紅あずまはホクホクとした食感と優しい甘みが特徴。オーブンで焼き上げたさつまいもは、そのまま食べてしまいたいくらい、熱々ほっくほく。ふんわりとしたシフォンの柔らかさをより引き立ててくれます。

米粉とさつまいものシフォンは、まるで焼き芋を食べるかのように、ぜひ大きな口で頬張ってみてください。しっとり、ふんわりとした食感のあとに、さつまいもと米粉の素材そのものの甘みを感じていただけます。