「板わさをたのしむ in日本橋」参加店でいただく、鈴廣のかまぼこ ~江戸前寿司 蛇の市本店~

11月から開催中の「板わさをたのしむin日本橋」。日本橋エリアの飲食店の料理人がつくる、「鈴廣のかまぼこを使ったお料理」を楽しめるキャンペーンです。今回は、参加店のひとつ「江戸前寿司 蛇の市(じゃのいち)本店」を訪問。五代目にあたる代表・寳井英晴(たからい・ひではる)さんに、かまぼこ料理を紹介していただきました。お店が守り続ける信念や日本橋への思いなどにも迫ります。

明治の文豪・志賀直哉も通った、江戸前寿司の名店

―― 蛇の市さんは、130年以上の歴史をお持ちなんですよね。
当店の創業は1889(明治22)年。屋台「蛇の目鮨」としてスタートしました。初代・市太郎の時代によく来店していた小説家・志賀直哉氏が「蛇の目の市ちゃん」と呼んでいたことから、現在の「蛇の市」という名前になったんです。

―― 2020年には、現在地に移転・新装オープンされました。
そうなんです。店内の設えは、半世紀ほど前の蛇の市をイメージしました。白木を使い、付け台には朱と黒の塗りを施しています。テーブル席からは、中庭の緑を望めますよ。目指しているのは、お寿司を気軽に食べられるお店。接客は節度を持ちながら、堅苦しくない雰囲気づくりに努めています。

厳しい眼で、選りすぐりの食材を追い求める

―― 食材選びにあたって、どんなことに気をつけてらっしゃいますか?
当たり前のことですが、魚は毎日豊洲に行って調達し、その日仕込んだものを提供しています。冷凍品は使いません。

私たちは130年以上寿司屋をやっていますが、米や酢、醤油や塩など、日々使っていたものが仕入れられなくなる日は必ず訪れます。そのときはよく吟味して、新たな食材を選ぶ必要があります。大切なのは、全体のバランス。伸びが良すぎる醤油は煮切り醤油(寿司醤油)には不向きですし、旨みが強すぎる塩は酢飯には合いません。なんでも最高級のものを使えば良いというわけではないのが難しいところです。

―― 鈴廣のかまぼこを選んでいただいている理由もお聞かせください。
添加物がたくさん使われているものは提供したくないので、かまぼこも天然素材の鈴廣を選んでいます。旨みがしっかりしていておいしいですし、きちっとつくられているかまぼこだと思います。

赤酢と契約栽培米が織りなす、極上の酢飯

―― 酢飯には、とくに気を使ってらっしゃるそうですね。
当店の特徴は、砂糖を使わない赤酢の酢飯です。赤酢は、「粕酢」とも呼ばれる酒粕からつくるお酢。当店では、熟成の進んだ酢をブレンドすることで、ほどよい旨みとコクを加えています。

お米は、能登半島産の「笑みの絆(えみのきずな)」を使用。全量を契約農家から仕入れています。お米は、寿司屋にとって最も重要な食材です。先代のころはブレンド米を使用していましたが、納得できる品質の単一種のお米をずっと探していました。10年かけてたどりついたのが、「笑みの絆」だったんです。多少の粘りがあり、一粒ひと粒の輪郭がはっきりしていて、ほぐれがいい。硬めに炊いてもおいしいお米です。

―― しかも、手間ひまのかかる無農薬のお米なんだとか。
お客さまに安心して召し上がっていただくために、無農薬で栽培してくれるところを探しました。それがたまたま能登の農家さんだったんです。やはり寿司は生ものなので、お米に限らずしっかりした品質の食材を使いたいと考えています。

鈴廣のかまぼこでつくる「吹き寄せちらし」と「鞍掛にぎり」

――鈴廣のかまぼこは、「吹き寄せちらし」に入れていただいています。
江戸前のちらし寿司には、昔からかまぼこが乗っているんですよ。「吹き寄せちらし」は当店の定番です。酢飯の上には、煮た椎茸と干ぴょう、胡麻と海苔。その日河岸で仕入れた魚を選んでバランス良く乗せ、鈴廣のかまぼこを添えています。新鮮なネタを使うのはもちろん、添えている干ぴょうや芝海老のおぼろも手づくり。その中に入れるかまぼこだから、やっぱり天然素材の鈴廣が良いんです。

――ありがとうございます。お酒にも合いそうですね。
迷わずこれを注文して、ネタとかまぼこをつまみに日本酒を楽しんで、最後に酢飯を味わうお客さまもいらっしゃいます。これが寿司屋にとっての「板わさ」なのかもしれないですね。お酒好きの方にもぜひ召し上がってほしいと思います


―― 続いては「鞍掛(くらかけ)にぎり」ですね。弾力のあるかまぼこと、しっかりした食感の酢飯が絶妙に合いますね。いくらも添えられていて贅沢です。
コースのおつまみとしてお出ししています。ネタが酢飯を包み込むようになっていて、馬の鞍のように見えることから、「鞍掛」という名がついています。鯖やまぐろでこの握り方をすることがあり、数年前にかまぼこを使ったこの品を考案。端に切り込みを入れた鈴廣のかまぼこに、酢飯を挟むように握っています。板わさとはひと味違う、かまぼこのお寿司を楽しんでください。

 

日本橋に根ざし、江戸前の伝統を守り続ける

―― 日本橋という街の良いところを教えてください。
日本橋は長くやっているお店が多くですし、一体感が強い街ですね。みんなで何かやろうというときに結束できる。私が会長を務めている料理飲食業組合「日本橋三四四(みよし)会」も、思いをひとつに活動しています。発足から50年以上経ちますが、催事を行うなど、地域に根ざした取り組みを重ねています。

―― その一体感が、あたたかな日本橋の雰囲気をつくりだしているんですね。最後に、読者のみなさんにひとことお願いします。 
赤酢と塩だけの酢飯、100年継ぎ足している煮詰めの穴子(たれ)など、私たちは江戸前寿司の伝統を引き継いできました。これからも手間を惜しまず、「江戸前の伝統」を守り続けていきたいですね。みなさまには当店へ気軽に足を運び、江戸前寿司を楽しんでいただきたいですね。


終始、柔らかな語り口でインタビューに応えてくださった寳井さん。かまぼこを含め、食材一つひとつを丹念に吟味することで老舗の伝統を守っていました。「板わさをたのしむin日本橋」では、日本橋エリアの26店舗で個性豊かなかまぼこ料理を味わえます。みなさんもぜひ、足を運んでみてくださいね(開催は12月26日(日)まで)。

■今回いただいたメニュー※価格は税込み
吹き寄せちらし(4,400円)
鞍掛握り(660円)

■店舗情報
日本橋 江戸前寿司 蛇の市本店
〒103-0022 東京都中央区日本橋室町1-12-10(東京メトロ銀座線・半蔵門線三越前駅A1出口より徒歩約3分)
TEL: 03-3241-3566
営業時間:  11:30~14:00(LO13:30)/16:30~22:30(LO21:30) ※新型コロナウイルス感染拡大状況により変更の場合あり
定休日: 日曜・月曜、祝日

板わさをたのしむin日本橋

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