江戸から続く、おそば屋さんの粋なたのしみ方「蕎麦前(そばまえ)」。
おそばが出てくる前に、日本酒とともにおつまみをいただく文化です。このシリーズでは、鈴廣営業マンが、各エリアのおそば屋さんを訪問。蕎麦前の良さを知る店主のみなさんにインタビューしながら、名店の逸品に触れていきます。
2回目の今回は、日本橋で半世紀以上の歴史を紡いできた親しみやすいおそば屋さん「人形町松竹庵」(東京都中央区)をご紹介。女将の鮫島光恵(さめしま・てるえ)さんにお話を伺いました。
江戸から続く、おそば屋さんの粋なたのしみ方「蕎麦前(そばまえ)」。
おそばが出てくる前に、日本酒とともにおつまみをいただく文化です。このシリーズでは、鈴廣営業マンが、各エリアのおそば屋さんを訪問。蕎麦前の良さを知る店主のみなさんにインタビューしながら、名店の逸品に触れていきます。
2回目の今回は、日本橋で半世紀以上の歴史を紡いできた親しみやすいおそば屋さん「人形町松竹庵」(東京都中央区)をご紹介。女将の鮫島光恵(さめしま・てるえ)さんにお話を伺いました。
―― 松竹庵さんは、先代が若くして開いたお店なんですよね。
そうなんです。先代である父が、神田淡路町にある「松竹庵」の支店として、20歳のときにこのお店を開きました。当時はたった一人での創業でしたが、町内の方々からかわいがっていただけたようです。おかげさまで50年以上、この土地で営業を続け、現在は夫が2代目としてお店を継いでいます。
―― 半世紀以上、地域密着で歩んできたんですね。
はい。庶民的な、元気で明るいお店だと思います。どなたにも、気取らずのれんをくぐっていただける雰囲気が特徴ですね。私もお客さまとお話をするのが毎日の楽しみです。
また、「お客さまにお腹いっぱいになってほしい」という思いがあるので、どのメニューもボリュームは多め。その一方で、素材は上質なものを使うようにしています。
リーズナブルなものはたくさんありますが、そば粉をはじめ、みりんや醤油、鰹節などの調味料も、厳選したものを使用しています。
―― 板わさも、鈴廣を選んでいただいていますね。
鈴廣のかまぼこは、いつ食べても、誰にとっても最高においしいと思います。先代の頃からずっと鈴廣です。
味のバランスも、弾力もちょうどいいし、他の料理を邪魔しない。「変なものは入っていないな」「身体にいいものを食べているな」と実感できるんです。
当店の板わさには、味わいのアクセントになるわさび漬けを添えています。
―― ありがとうございます。蕎麦前にぴったりの日本酒はありますか?
「大関 上撰金冠」ですね。こちらも先代のころから変わらない定番で、飽きのこない味わいが特徴です。
お客さまからも「おいしいね。どこのお酒?」とよく聞かれますよ。甘さと辛さのバランスが取れていて、料理を引き立ててくれますし、気取らず飲めて、板わさとの相性も良いお酒です。
――おすすめの「蕎麦前」のひとつは、「焼き油揚げ」ですね。
蕎麦前には、シンプルな料理を好まれるお客さまが多いんです。
なかでも「焼き油揚げ」は人気。我が家の朝ごはんの定番メニューだったんですが、お店で出したら好評をいただいて(笑)。
昔ながらの油揚げをふっくらと焼いて、刻んだ千住ネギをたっぷり添えたシンプルな料理です。お醤油をかけて食べてください。
―― これはお酒が進みますね! 「ごま和え」も、とてもやさしい味わいです。
ほうれん草は、お店で毎日湯がいています。味付けは、当店の「ごまそば」で使用しているつゆに、練ごまを加えて甘めに。
やっぱり野菜は摂りたいですし、蕎麦前にはぴったりだと思います。お昼に来店するお客さまの中にも、おそばと一緒に注文する方がいますよ。
――締めのおそばは、冷やしとり天を選んでいただきました。
九州出身の夫のアイデアをもとに、2年前に加わった新メニューなんですが、とても人気があるんですよ。柔らかくてジューシーなとり天は、贅沢に3枚。
近隣にある専門店「鳥近」さんから仕入れた鶏もも肉を使用しています。そして、LL玉の卵、薬味としてカイワレと大根おろしを豪快にトッピング。野菜もしっかり摂れます。上からおつゆをかけて食べてくださいね。
――とり天がサクサクでおいしいです!おそばもさっぱりといただけますね。
おそばには、北海道産のそば粉を使っています。
飽きずに楽しめるおそばを提供するために、毎日、私が実際に食べて味をチェックしているんです。ぜひ安心して食べてほしいですね。
――女将さんは、生まれ育った日本橋にとても愛着をお持ちなんだとか。
私だけでなく、地域の人たちはみんな日本橋を愛していると思います。
日本橋はひとつのブランドだし、「自分たちはその伝統を受け継いでいる」というプライドを持っている。それが街の活力にもつながっています。
当店はそんな地元の方々に支えられていますし、遠くから来てくださるお客さまもいます。
サラリーマンから親子連れまで、さまざまな層の方にごひいきにしていただいているのは、ありがたいですね。ありきたりですが、これからも日本橋の伝統を守りつつ、進化を続けていきたいと思います。
―― 最後に、読者のみなさんにひとことお願いします。
当店は年中無休で、休憩時間も設けていません。いつでも気楽に行ける「あなたのそばの そば屋」です。新メニューも続々加えていきます。
みなさまに愛されるお店を目指していきますので、ぜひお越しください。
Photography ・Written BY Fumichika Sato
■今回いただいたメニュー ※価格は税込み
板わさ(550円)
大関 上撰金冠(500円)
焼き油揚げ(450円)
ごま和え(500円)
冷やしとり天(1,100円)
■店舗情報
人形町松竹庵
〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町1-15-5(東京メトロ日比谷線・都営浅草線 人形町駅下車 A2出口徒歩1分)
TEL 03-3661-3995 営業時間 平日11:00~22:00 土・日・祝11:00~20:00
※新型コロナウイルス感染拡大状況により変更の場合あり
定休日 年中無休
日本橋で鈴廣かまぼこの板わさが楽しめるお店をご紹介いたします。
板わさをたのしむin日本橋はこちらから