2021.06.18
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シニアのタンパク不足解消!良質なたんぱく質の選び方~補助食品編~

「寝たきりにならないためにタンパク質を!」とか「免疫力アップには良質なタンパク質が大切ですよ!」などと最近よく耳にしませんか?

肉や魚、牛乳、大豆がタンパク質が豊富と言われますが、食が細くたくさん食べることのできない高齢者はどうしたらよいのでしょうか。

前回は、どの食材が「良質」なのか、どのくらい食べれば「しっかり」なのかなど、素材の違いによるタンパク質の特徴について解説しました。

  シニアのタンパク不足解消!良質なたんぱく質の選び方~食材編~

今回は、タンパク質の不足分を補うサプリメントの選び方や特長の見比べ方についてご説明いたします。

タンパク質補給にサプリメントを使うメリット

ずばり、①タンパク質中心に、②効率的に、③素早く摂れる、からです

タンパク質が豊富といわれる肉や魚に含まれるタンパク質の割合は20~30%程度です。ですから必要量を摂るにはある程度の「しっかり食べること」つまり食事量が必要です。

しかし高齢者の中には、食が細く、肉や魚も苦手、という方も多くいらっしゃいます。

そこで活用したいのがタンパク質が摂れるプロテインやペプチドなどのサプリメントです。

サプリと聞くとスポーツマンや不健康な方が摂るものと思われがちですが、タンパク不足とされた高齢者の方にこそ活用していただきたいアイテムです。

それは食品とちがい脂肪など余計な成分を摂ることなく、少量で多くのタンパク質を摂ることができるからです。

量を食べられなかった時、忙しくておにぎりだけだった時など、偏りがちな食事を補う意味で使うのが良い方法だと思います。

何を基準に選べばいいの?

美味しさ、飲みやすさ、効率性、手軽さなど、選び方は千人十色ですが、ざっと基準になりそうな項目を挙げてみました。

①形状 (錠剤/粉末/ゼリー状/飲料)

「どれもOK!」という方は良いのですが、飲み込みが苦手、お腹が一杯にならない、食事と一緒に飲みたいなど好きなこと苦手な摂り方があれば、この時点で候補落ちです。

タンパク質は毎日欠かさずというのが基本ですので、無理せず長く続けられるスタイルにしましょう。

【錠剤・タブレット】

軽くて場所や時間を選ばず手軽に摂れるのが特長ですが、水分がないと飲みにくいです。

【粉末】

水分に溶かしたり料理に混ぜたりして使うので摂り方を自在に変えることができます。

【ゼリー・ドリンクタイプ】

ゼリー状や飲料は美味しくアレンジしてあるものがほとんどですが、錠剤や粉末に比べて水分が入るのでたんぱく質量はよく確認しましょう。飲みやすい反面、味に飽きてしまいやすいこともあります。

②タンパク質含有量

タンパク質の含有量とは「その製品1食あたり何グラムのタンパク質が摂れるか」です。

ポイントは「1食あたり」。

商品パッケージの裏側には一括表示と呼ばれる栄養成分表が書いてありますが、まずは本品「100gあたり」「1本あたり」「1袋あたり」など、記載項目の分母に注目しましょう。

たとえば、「タンパク質が○gも入ってる!」と喜んでいたら、それは100gあたりの数値であって、製品1袋20g入あたりに換算するとたった5分の1だった...とか、よくあります。

また「単位」にも要注意。

1000mgと1gは、実は同じ量です。よくある表記「アミノ酸1,000mg配合」とは「アミノ酸=1.0g」のことです。

パッケージのオモテ面に書いてあるコピーにグッと惹かれても、しっかり一括表示を比べてどちらがたんぱく質が豊富かを冷静に判断しましょう。

③原材料

「何から作られているのか」はとても重要な選び方です。

良質なたんぱく質の選び方その1でもご説明したように、タンパク質製品の多くはホエイ、カゼインなどの乳由来やソイと呼ばれる大豆由来に大別されます。

植物性に比べて動物性たんぱくのほうが吸収効率に優れているとされているので、同じタンパク質量の場合は体内で利用できるたんぱく量は動物性のほうが多いです。

それ以外で大きく影響するのは、値段。

大豆製品は比較的安価な商品もあるのでお財布には優しいですし、より少量良品を基準にするなら動物性の商品を選ぶと良いと思います。

④タンパク質/ペプチド/アミノ酸

実はこれらは栄養素としては同じ物です。

違うのは分子の大きさ。大きい方からタンパク質>ペプチド>アミノ酸であり、吸収スピードと関わりがあります。

分子量が大きいと分解を経て取込まれるので、吸収はゆっくりと時間がかかります。

一方、既に分解された状態であるアミノ酸や小さなペプチドはそのまま取込まれるので、吸収はスピーディーに短時間に行なわれます。

ペプチドとは、タンパク質が消化酵素で分解され、アミノ酸が数個固まった状態のこと。アミノ酸を2~3個まとめて取り込めるため、効率的に体内に補給することができます。肉や魚のたんぱく質からアミノ酸を摂ろうとすると、消化され吸収されるまでに3~4時間かかりますが、ペプチドでは、既に分解された状態ですので30~40分で吸収されていきます。

これを料理に喩えると、”食材が小さく刻んである”カレーならパクパクすぐに食べられますが、”葉付き野菜や生肉”だとそのままでは食べられません。

つまり、消化とは食材に料理という手間をかけるようなものです。

分解の手間が掛かる分ペプチドやアミノ酸商品はタンパク質商品に比べて値段が張るものも多いのですが、効率重視なら試してみるのもよいでしょう。 

ペプチドの中でも、特にお勧めなのが、魚肉ペプチドです。
魚肉ペプチドは、人の体をつくる20種のアミノ酸をパランス良く含んでおり、畜肉や卵と比べると高タンパクでありながら、低脂質なので、体型を気にする方にはピッタリです。

アミノ酸はバランス良く含まれていることが大切で、図の小麦たんぱくの様に一つでも欠けているものがあると、その値までしか次のタンパク質合成が行われず、他は体外に排出されてしまいます。
図の魚肉たんぱくの様に全てのアミノ酸がバランス良く含まれていると、効率良くタンパク質の合成が行われるのです。

一般的にアミノ酸バランスは、植物系より動物系たんぱくの方が優れていますが、動物系たんぱくの中でも肉や卵、乳製品は脂肪分が多いのがカロリーを気にされる方には心配なこと。
その点、魚のタンパク質は、低カロリーで高たんぱく。
魚肉タンパク質を摂ることで、カロリーも抑えられ、効率よく身体づくりに活かすことができます。

⑤甘味料

現在流通しているタンパク質/プロテイン/ペプチド/アミノ酸商品には、甘味料を含むものが多いです。

そもそも素材となるタンパク質成分はそれぞれクセがあり美味しくないのですが、少しでも飲みやすいように、また美味しく感じるようにとメーカーの試行錯誤の結果とも言えます。

その代表が人工甘味料ですが、その名の通り人工的に合成した物質で、砂糖の数百倍の甘さを持っているので少量添加でよく、またカロリーもほぼゼロなのでよく使われています。

代表的なのは、アスパルテーム、アセスルファムK、Lーフェニルアラニン化合物、スクラロースなどです。しかしこれらは危険性を指摘する声もありますので、避けたい方は人工甘味料不使用の製品を探すしかありません。

人工以外の甘味料とひとくちにいっても、たくさんの種類があります。

一般に糖といわれる甘味成分には、ブドウ糖、ショ糖、オリゴ糖などがありますし、天然由来のものでは蜂蜜やメープルシロップなどがあります。

さらに天然に存在する甘味料としては、ステビアやソルビトール、トレハロース、羅漢果や、キシリトールやパラチノースといったものもあります。

甘味料無添加で!の声もありますが、味や飲みにくさには多少の我慢と慣れが必要かもしれません 

最後に

タンパク質サプリメントについてご紹介してきましたが、なにより一番いいのは朝昼晩の食事から食べることです。

「食べる」には栄養素を摂るという他にも、噛んだりだ液が出たり、消化運動で胃や腸を動かしたりなど、生きる上で重要な意味があります。

さらに家族や友人と囲む食卓は、会話を生み新しい情報やコミュニケーションが広がる大切な場でもあります。

タンパク質をしっかり食べる食事を目指しながら、どうしても足りない分をサプリメントで補ってあげる気持ちが大切。

そしてサプリメントも「どれが効果的か」という視点だけでなく、ライフスタイルやその時その時のシーンに合せて、使い分けができるとなお良いと思います。

まだお子さんが小さかったころ、自転車の”補助輪”をつけてあげましたよね。

嬉しくて目の届かないところへ行ってしまう我が子を、危ないときだけそっと両側から支えてくれる補助輪は、とても心強い存在だったのではないでしょうか。

生きている限り摂り続けなければならないタンパク質ですから、年齢や生活にあわせて賢く上手に摂れるよう工夫していきましょう。

 

監修:白柳 貴子(しらやなぎ・たかこ)管理栄養士
鈴廣蒲鉾本店 社員。社員の健康管理のためのメニュー提案・監修を行なう。
豊富な栄養知識をもとにウェブ記事や冊子の編集も担当。

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