「寝たきりにならないために!」とか「免疫力アップには良質なたんぱく質が大切ですよ!」などと最近よく耳にしませんか?肉や魚、牛乳、大豆がたんぱく質が豊富と言われますが、食が細くたくさん食べることのできない高齢者はどうしたらよいのでしょうか。
そこで、どの食材が「良質」なのか、どのくらい食べれば「しっかり」なのかなど、今回は素材の違いによるたんぱく質の特徴について説明しましょう。
たんぱく質の「質」は、含まれるアミノ酸のバランスで決まります。ヒトのたんぱく質は、僅か20種類のアミノ酸の組合わせでできていて、それぞれ身体に理想的な量が決まっています。ですから、食べることによって理想量を満たせばよいのですが、もしそれに満たないアミノ酸がひとつでもある場合、その他のアミノ酸をいくら充分摂っていたとしても、ほんの一部しか使われないのです。
たんぱく質の「質」は、含まれるアミノ酸のバランスで決まります。
「良質なたんぱく質」というのは、たんぱく質を構成するをアミノ酸がバランス良く含まれているたんぱく質のことです。
食べ物からしか摂ることのできない必須アミノ酸の含有バランス(アミノ酸スコアといいます)が良いものは、生体内での利用効率が良く、余分な老廃物となるものが少ないので、「良質なたんぱく質」と呼ばれます。
良質なたんぱく質を含む食品は、肉類、魚介類、牛乳・乳製品、卵類や大豆・大豆製品などであり、豆類以外はほとんどが動物性食品です。
必須アミノ酸はバランス良く含まれていることが大切で、図の小麦たんぱくの様に一つでも欠けているものがあると、その値までしか次のたんぱく質合成が行われず、他は体外に排出されてしまいます。
図の魚肉たんぱくの様に全てのアミノ酸がバランス良く含まれていると、効率良くたんぱく質の合成が行われるのです。
…動物性ならどれも100!バランスよく食べればOK!と言いたいところですが、本当に良質なものを選ぶにはまだポイントがあります。
動物性たんぱくとして優秀な肉や玉子にも弱点があります。いくらたんぱく質が良質であっても、気をつけたいのは「脂肪」の摂りすぎです。
太って体重を増やしてしまっては、膝や腰に負担が掛かってしまいマイナス効果に。ですから、普段からできるだけ高たんぱくで低脂肪な食材を選ぶことが大切です。
特に脂の多い豚や牛なら脂身の少ない赤身肉、鶏ならもも肉より胸肉やささみ肉を選ぶようにしましょう。硬くて噛みきれない場合は、少量の砂糖と塩を揉み込んでおくと柔らかくなり食べやすくなります。
魚もまぐろならトロより赤身を、さんまより鱈やしらすなどを選ぶと高たんぱく低脂肪なので、おすすめです。
一般的にアミノ酸バランスは、植物系より動物系たんぱくの方が優れていますが、動物系たんぱくの中でも肉や卵、乳製品は脂肪分が多いのがカロリーを気にされる方には心配なこと。
その点、魚のたんぱく質は、低カロリーで高たんぱく。
魚肉たんぱく質を摂ることで、カロリーも抑えられ、効率よく身体づくりに活かすことができます。
一般成人にとって、1日に体重1kgあたり1gのたんぱく質が必要と言われています。つまり、体重50kgなら、1日50g、体重60kgなら1日60g、ということ。
1日60gのたんぱく質は、食材に置き換えるとどのくらいの量になるのでしょうか。
豆腐=2丁半
牛乳=瓶9本
鶏卵=7個
ステーキ=150g×2皿
…けっこうな量ですよね。ひとくちに「たんぱく質が豊富な食材」と言われるものでも総重量の20~25%程度しか含まれていませんので、全体の食事量はどうしても多くなってしまいます。ですから少ない量で充分なたんぱく質が欲しい方は、質や効率を考えることが大切です。
ご参考までにタンパク質を多く含む食品を紹介します。
たんぱく質が豊富といわれる肉や魚も、含まれるたんぱく質の割合は20~30%程度です。ですから必要量を摂るにはある程度の食事量が必要です。しかし食が細く、肉や魚も苦手、という方はどうすれば良いのでしょうか。そこで活用したいのがプロテインやペプチドなどのサプリメントです。
食品とちがい脂肪など余計な成分を摂ることなく、少量で多くのたんぱく質を摂ることができるからです。サプリと聞くとスポーツマンや不健康な方が摂るものと思われがちですが、高齢者の方にこそ活用していただきたいアイテムです。
また食欲が充分ある方でも、たんぱく質が不足していることがあります。例えば、「忙しくてランチを食べられなかった」「コンビニでおにぎりだけだった」など、偏りがちな食事を補うように使ってみてはいかがしょうか。
人のカラダは約60%の水分を除くそのほとんど(約20%)がたんぱく質でできています。
活動的でいるための筋肉の主成分でもあるので、とても大切な栄養素です。
歳をとるにしたがって自然と筋肉量は落ちてきます。すると、脚が上がらなくなったり、踏ん張りが効かなくなり、思わぬ転倒・骨折事故に繋がります。この事故がきっかけで寝たきりとなり、認知症に繋がるケースも多いので要注意です。
また、筋肉量が落ちると基礎代謝も低下するため、太りやすくなるので、健康維持にはしっかりしたたんぱく補給することが大切です。
身体に入ってくる病原菌やウイルスに対抗するのが免疫です。この免疫で活躍するのが「抗体」とよばれ、たんぱく質でできています。感染症を防ぐには身体の免疫力を上げておく必要があるのです。
髪の毛の約90%がケラチンといわれるたんぱく質でできています。また肌のハリを保つコラーゲンもたんぱく質でできていますので、美しい髪や肌のためにも、たんぱく質をしっかり摂りましょう。
旅行や趣味、家族団らんも、はつらつと自由に動く身体があってこそです。
たとえ食が細くなってしまっても、良質なたんぱく質をしっかり食べて、健康なからだづくりを目指してください。