筋トレの効果を上げるためにサプリが気になっているものの、どれを選んだらよいか、高齢者にも効果はあるのか疑問に思っている人もいるでしょう。この記事では、高齢者の筋トレにおすすめのサプリや飲み方、注意すべきポイントを解説します。
筋トレを行ううえでサプリは必須ではありませんが、必要に応じて取り入れると筋トレの効果アップに役立ちます。ここでは、筋トレで筋肉がつく仕組みと、サプリがどのように関わっているかを解説します。
筋肉は、合成と分解を24時間常に繰り返しています。食後は合成が分解を上回り、空腹の間は分解が合成を上回ります。食事から十分な栄養をとることで、1日を通した筋肉の合成量と分解量が同じ量になり、筋肉量は維持されるのです。
筋トレを行うと筋肉の収縮をスイッチに、筋タンパク質の合成を促進させる酵素が活性化され、筋肉の合成を促します。筋肉の合成が分解を上回ることで、筋肥大につながります。
高齢者は、食後の筋タンパク質の合成反応が一般成人に比べて弱まっています。原因については研究途中ですが、高齢者は筋肉の合成を促す酵素の活性化が妨げられているためと考えられています。
高齢者が筋肉量を増やすには、筋トレによって筋肉合成にかかわる酵素を活性化し、筋肉合成の反応を高めることが重要です。
タンパク質が不足すると、筋トレをしても筋肉合成より分解が上回り、筋肉が減ってしまいます。特に高齢者が筋肉を増やすには、一般成人よりも多くのタンパク質摂取を必要とします。必要なタンパク質を食事からとり切れない場合は、プロテインサプリで補うのがおすすめです。
また、最近注目されているのが、筋トレなどの運動パフォーマンスを高める「エルゴジェニックエイド」と呼ばれるサプリです。筋力や持久力の向上、疲労回復などの作用がある成分が配合されています。
筋肉の成分として欠かせないタンパク質は、筋トレで筋肉を増やすために最も重要な栄養素です。効率よく筋肉を増やすためのプロテインの選び方や飲み方を解説します。
プロテインは、その原料によって大きく3種類に分かれます。種類ごとに特徴が異なるため、目的やタイミングに応じて使い分けるとよいでしょう。
牛乳を原料に、脂肪分やカゼインなどの固形成分を除いて作られたプロテインです。水溶性のタンパク質であるため他のプロテインより消化吸収が早く、運動直後のタンパク質の補給に最適です。
牛乳に含まれる固形タンパク質から作られたプロテインです。水に溶けにくく、ホエイに比べてゆっくりと消化・吸収されます。体内に持続的にタンパク質を補給し、筋タンパク質の分解を抑制するのに役立ちます。
大豆に含まれる植物性タンパク質を原料としたプロテインです。消化吸収の速度はホエイとカゼインの中間といわれ、持続的なタンパク質の補給に適しています。牛乳由来のプロテインに含まれる乳糖で、お腹がゴロゴロする人にはソイプロテインがおすすめです。
プロテインの効果的な摂取タイミングはいくつかあります。目的によっても異なるため、自分に合ったタイミングで取り入れましょう。
筋トレ直後は、筋肉の合成作用が最も高まっている時間帯です。この時間帯に最も吸収の早いホエイプロテインを補うことで、筋肉のタンパク質合成を促します。
筋タンパク質の合成感度は筋トレによって高まった後、約24時間持続します。しかし、就寝中は筋肉の合成が刺激されず、分解が起こりやすい時間帯です。トレーニングを行った日の寝る前にプロテインを摂取すると、筋肉分解を抑制でき、筋肉を増やす効果が期待できます。
寝る前に摂取するプロテインの種類は、ゆっくり吸収されるカゼインプロテインやソイプロテインがよいでしょう。
食間にプロテインをとる場合に比べ、食事と一緒にプロテインをとるほうが体脂肪の量が減少しやすいことが示されています。食事と一緒に摂取する場合はプロテインによるエネルギー摂取量を踏まえて食事量を調整でき、カロリーオーバーになりにくいためと考えられています。
筋肉をつけながら脂肪を減らしてダイエットしたい場合は、食事と一緒にプロテインをとるとよいでしょう。
プロテインは、食事によるタンパク質摂取を補うために使用します。1日に必要なタンパク質の摂取量から、食事によって摂取できるタンパク質の量を引くと、プロテインの必要量が分かります。
ここで、高齢者の筋トレに必要なタンパク質の摂取量を把握しておきましょう。
厚生労働省によると、1日のタンパク質摂取の推奨量は65歳以上の男性で60g以上、女性では50g以上です。1食あたりのタンパク質量は20gが目安とよくいわれるのは、この数値がもとになっています。
ただし、これは体タンパク質を維持するための最低限の摂取量です。筋トレを行い筋肉量を増やしたい場合は、さらに多くのタンパク質をとる必要があります。
高齢者が筋肉合成を高めるためには、毎食25~30g程度の摂取が必要と考えられています。体格やトレーニング内容によって異なりますが、1日75~90gの摂取がひとつの目安になるでしょう。
必要量のタンパク質をとるにあたって、ドリンクタイプのプロテインが飲みきれない場合や粉末の取り扱いが面倒な場合は、錠剤タイプで取り入れるのがおすすめです。
鈴廣かまぼこの「サカナのちから S for シニア」は、魚肉タンパク由来の良質なアミノ酸を錠剤で手軽にとれる商品です。高齢者の若々しく活動的な日々をサポートします。
「サカナのちからS forシニア」は、魚の良質なタンパク質から作られた魚肉ペプチドを手軽に摂取できるサプリメントです。健康で若々しく暮らしたい方をサポートします。
筋トレの効果をさらに高めるためのサプリには、どのような成分があるのでしょうか?ここでは国際スポーツ栄養学会の示した見解に基づいて、筋力向上に役立つサプリの成分と飲み方について解説します。
必須アミノ酸とは、タンパク質を構成するアミノ酸のうち、人間の身体で合成できない9種類を指します。必須アミノ酸をバランス良く摂取することで、筋肉などの体タンパク質が効率よく合成されます。
EAAはプロテインより消化吸収のスピードが速く、すぐに栄養として体内で活用できます。筋トレ中に筋肉にアミノ酸を補給し、筋肉の合成を促進するのに効果的なサプリです。また、筋トレ中のエネルギー補給にも役立ちます。
1回に10g前後、プロテインの摂取量の一部をEAAに置き換えて取り入れるとよいでしょう。
HMB(β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸)は、筋肉中の酵素を活性化し、タンパク質の合成を促す働きがあります。同時に筋タンパク質の分解も抑制することから、筋量の増加や筋力増強に効果が期待できる成分です。
高齢者を対象とした研究でも、HMBが筋力を改善させ、体力の衰えを防ぐのに役立つ可能性が示されています。
ただし、長年トレーニングを行っている人やスポーツ選手では効果が小さいことも知られています。これからトレーニングを始めたい人や、始めたばかりの人におすすめのサプリです。
筋トレに効果的な摂取量の目安は、1日に約3gです。1日に数回に分けて摂取すること、2週間以上摂取を継続することが推奨されています。
クレアチンは筋肉を収縮させるエネルギーを作り出す能力を高め、筋トレのパフォーマンスを向上させる成分です。筋トレと合わせてクレアチンを摂取することは、年代を問わず筋肉量の増加に役立つことが示されています。
クレアチンの効果を早く高めるための摂取方法として、最初の5~7日間は1日に体重1kgあたり0.3g(体重70kgの人では21g)を摂取し、その後は1日に3~5gを摂取することが推奨されています。
カフェインは、筋疲労を軽減して持久力を高める働きがあります。筋肉に働きかけるのではなく、脳が筋肉の疲労を感じる部位の感受性を低下させ、疲労を感じるまでの時間を長くすることでパフォーマンスの向上につながります。
筋トレに効果的なカフェイン摂取の目安量は、1日に体重1kgあたり3mg以上(体重70kgの場合210mg以上)です。
ただし、カフェインをとりすぎるとめまいや不眠、吐き気などの健康被害につながります。目安として、1日400mgまでの摂取にとどめましょう。コーヒーやエナジードリンクなどと合わせて過剰摂取にならないよう、注意が必要です。
β-アラニンは、筋肉に働きかけて筋疲労を軽減する働きがあります。筋トレを繰り返せる回数が増える、トレーニング量が増えるなどのパフォーマンスアップに役立つサプリです。高齢者でも、β-アラニンが筋疲労の改善につながる可能性が示されています。
β-アラニンの効果的な摂取量は1日あたり4~6gとされ、数回に分けて摂取することが推奨されています。また、2週間以上の継続した摂取が必要です。
サプリを健康被害なく安全に使用するには、気をつけるべきポイントがあります。特に高齢者では、持病によって薬を飲んでいる、体の機能が低下しているなどの理由から、健康への影響が大きく現れてしまう可能性があります。
ここでは、サプリをとる場合に注意したいポイントを3つ解説します。
サプリは商品ごとに摂取の目安量が決められています。パッケージを確認し、目安量を守って飲みましょう。
プロテインサプリの場合、商品によっては摂取しすぎるとエネルギー過剰による肥満を引き起こし、生活習慣病のリスクを高める恐れがあります。また、腎機能が低下した高齢者では、高タンパク質の摂取により腎臓病のリスクが上がることも知られています。
その他のサプリでも、過剰摂取は予想しない健康被害につながる恐れがあるため、適量摂取を心がけましょう。
また、筋トレ目的以外のものも含め、さまざまな種類のサプリを合わせて大量に飲むのも避けましょう。優先順位をつけ、最低限の種類に絞るのがおすすめです。
サプリと薬の成分の組み合わせによっては、薬の効果を弱める場合や、反対に効きすぎてしまう場合があります。薬を飲んでいる場合は、サプリを使用する前に医師や薬剤師に相談しましょう。
筋トレのための栄養摂取は、食事からが基本です。筋トレに必要なエネルギーを十分にとるためにも、3食の食事は欠かせません。
ご飯・パン・麺などの主食、魚・肉・卵・大豆製品からタンパク質がとれる主菜、野菜やきのこ・海藻がとれる副菜の3つを揃え、バランスのよい食事を心がけましょう。
高齢者の筋トレにサプリは必須ではありませんが、目的や状況に応じて取り入れると効率よく筋肉を増やすのに役立つでしょう。食事からのタンパク質摂取が不足する場合は、プロテインで補うことで筋肉の分解を抑え、筋肉合成を高められます。
また、筋力向上や筋肉量増加、疲労回復などに働くサプリを取り入れることで、筋トレのパフォーマンスアップが期待できます。飲む量や薬との飲み合わせに注意しながら、自分に合ったサプリを取り入れましょう。