加齢により、骨・筋肉・関節の働きが低下して、要介護や寝たきりのリスクが高くなる「ロコモティブシンドローム」。
予防のためには40代からの対策が必要と言われています。
最近ではメタボ予防と同じ位、ロコモ予防が叫ばれるようになってきました。適度な運動と適切な食事が大切なのですが、ここではロコモを予防する食事についてお伝えします。
ロコモティブシンドロームとは、骨・関節・筋肉・神経などの運動器に障害が起こり、立つ・歩く・座るといった移動機能が低下した状態を指します。
身体を思うように動かせなくなり、日常生活に支障が生じ、要介護になる原因とも言われています。
以前TV番組で、メタボ予防のため食事を減らさないといけないと思い込んで、低栄養状態になってしまう事例が紹介されていました。
現代のシニア世代によくある、ロコモにつながってしまう食事の特徴は、
などがあげられます。
食事量の不足、偏った栄養バランスによって筋肉、骨がおとろえるなどの原因からロコモへとつながってしまいます。
偏りがち、不足しがちな食べ物に注意して「炭水化物」「脂質」「タンパク質」「ビタミン」「ミネラル」の5大栄養素をバランス良く摂るように心がけましょう。
主食(ご飯)の他に、主菜・副菜・汁物など毎食3~4皿用意すると、バランスが取れてきます。後は、筋肉と骨の素となる栄養素を積極的に摂るよう心がけましょう。
食事でタンパク質・ビタミン・カルシウムが十分に摂れないときは、サプリメント(栄養補助食品)を活用しましょう。とくに筋肉や骨をつくるタンパク質の原料である、アミノ酸が大切です。
なお、アミノ酸サプリメントは、アミノ酸が数個固まったペプチド状のものを選ぶと良いでしょう。魚肉ペプチド・大豆ペプチド・乳ペプチド・魚肉ペプチド等があります。
ペプチドとは、たんぱく質が消化酵素で分解され、アミノ酸が数個固まった状態のこと。アミノ酸を2~3個まとめて取り込めるため、効率的に体内に補給することができます。肉や魚のたんぱく質からアミノ酸を摂ろうとすると、消化され吸収されるまでに3~4時間かかりますが、ペプチドでは、既に分解された状態ですので30~40分で吸収されていきます。
タンパク質を摂る上で重要なのは、良質なタンパク質を摂らなければならない、ということです。
「良質なタンパク質」とは、必須アミノ酸がバランス良く含まれているタンパク質のことを言います。
必須アミノ酸はバランス良く含まれていることが大切で、上図の小麦タンパクの様に一つでも欠けているものがあると、その値までしか次のタンパク質合成が行われず、他は体外に排出されてしまいます。(実際には、他のタンパク質素材との組み合わせで合成されるので、全て排出されてしまうことはありませんが。)
アミノ酸の含有バランスは「アミノ酸スコア」と呼ばれ、魚肉タンパクの様に理想量全て満たしているものが「アミノ酸スコア100」で良質なタンパク質と言えます。
図の魚肉タンパクの様に全てのアミノ酸がバランス良く含まれていると、効率良くタンパク質の合成が行われるのです。
摂取したタンパク質がどれだけ体のタンパク質として保持されたかの割合をしめす「正味タンパク質利用率」という指標があります。
大豆61、牛肉67に対し、魚は80と他のタンパク素材と比べると良い値ですが、魚肉ペプチドになるとその値は何と97!
魚たんぱくという原料は同じでも、ペプチド状になることによって吸収効率が20%近くもあがったのです。
日頃から歩く事を意識した運動と、メタボにも痩せすぎにもならない、バランスの良い食事でロコモ対策を心がけましょう。