50代になると代謝が下がってきた、体重が増えやすくなったと感じる人も多いでしょう。50代からでも基礎代謝を上げ、体重の増加を防ぐことは可能です。この記事では、基礎代謝を上げるにはどうしたらよいか、手軽に取り入れられる方法を解説します。
基礎代謝とは、生命維持のために使われるエネルギーのことです。人間の体では、安静にしていても体温の維持や呼吸など様々な生命活動が行われています。この活動を維持するためにはエネルギーが必要です。
よく聞かれる似た言葉に「新陳代謝」がありますが、新陳代謝は古いものを排出し、新しいものと入れ替わることを指します。髪の毛が抜けて生え変わる、肌の表面から角質がはがれて新しい皮膚に生まれ変わるなどの現象が代表的です。
基礎代謝は新陳代謝とは異なり、エネルギー消費に着目した言葉です。
エネルギー消費は、大きく以下の3つに分けられます。
1日のエネルギー消費量のうち、6割は基礎代謝が占めています。このことから、人の体は動かなくても多くのエネルギーを必要としていることが分かります。身体を動かすことによる消費量は3割に過ぎません。
基礎代謝量は人によって異なり、正確に測定するには呼気ガスの分析など専門的な装置が必要です。そこでよく用いられるのが、簡単な計算によって基礎代謝量を推定する方法です。
体重1kgあたりの必要なエネルギー量を「基礎代謝基準値」といいます。性別・年齢によって異なる値が設定されています。この値に体重をかけると、1日の基礎代謝量が計算できます。
POINT
基礎代謝量の計算式
1日の基礎代謝量(kcal)=基礎代謝基準値×体重(kg)
下記の表は性別・年齢別の基礎代謝基準値を示したものです。50代では、30代・40代に比べ男性では約3%、女性では約5%低下しています。
50代で基礎代謝量が低下する原因にはどのようなものがあるでしょうか。主な原因を3つ紹介します。
筋肉が消費するエネルギーは、基礎代謝の約2割を占めます。筋肉量は40歳頃をピークに減少していくといわれています。50代で筋肉が減り始め、それに伴い消費エネルギーも減ることが、基礎代謝が低下する原因のひとつです。
基礎代謝のうち約4割は、肝臓、心臓、腎臓などの内臓による消費エネルギーです。加齢が原因でこれらの臓器の機能は低下し、エネルギー消費量も減少することによって、基礎代謝は低下します。
なお、加齢により体脂肪は蓄積していく傾向にありますが、脂肪組織は代謝量が内臓に比べて低く、基礎代謝全体の4%しか消費しないといわれています。そのため、基礎代謝の増加にはつながりません。
女性の場合、50代は女性ホルモンの分泌量が低下し、閉経を迎える時期です。女性ホルモンは性機能だけでなく、エネルギー代謝にも関わり、体脂肪を燃やし体熱を生み出す働きがあります。
そのため50代での女性ホルモンの低下は、エネルギー代謝や体熱産生が抑制される原因となり、基礎代謝の低下を引き起こします。
基礎代謝が上がると、体ではどのような変化が起こるでしょうか。ここでは、50代が基礎代謝量を上げるメリットについて解説します。
基礎代謝が上がることで、消費できる総エネルギー量が増えます。基礎代謝は運動などを何もしなくても消費できるエネルギーであるため、無理なダイエットを続けなくても自然と太りにくくなり、やせやすい体づくりにつながります。
50代では基礎代謝が低下し体脂肪が増えることで、高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病が起こりやすくなります。これらの病気を放置すると、全身の血管に負担をかけ、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などを引き起こすリスクが高まります。
基礎代謝を上げて体脂肪を減らすことで、生活習慣病の予防に役立ちます。これから健康に長生きするための土台作りができるといえるでしょう。
肌が新しく生まれ変わるターンオーバーや、外界からの刺激から肌を修復する仕組みを正常に働かせるためにも、エネルギーが必要です。基礎代謝が上がり十分なエネルギーを生み出せる体をつくることで、肌を健康に保つのにも役立つと考えられます。
体脂肪を燃やしやすい体になりスタイルアップが見込めることと合わせ、美しく元気に年を重ねていくのに役立つでしょう。
50代から基礎代謝を上げるには、筋肉量を増やすことが大切です。ここでは、筋肉量を増やし基礎代謝を上げるために大切な生活習慣のポイントを紹介します。
50代からでは今さら筋肉量は増えないのではないかと思われる人もいるでしょう。しかし、何歳からでも筋肉量を増やすことはできます。研究では、90歳前後であっても、筋トレによって筋肉量を増やすことができたというデータもあります。
諦めずにできることから生活習慣の改善に取り組み、筋力アップを目指しましょう。
筋肉量を増やして基礎代謝を上げるには、まずは運動が大切です。ここでは、50代から筋肉量を増やすために効果的な方法を紹介します。
筋肉量を増やすには、筋トレが欠かせません。特に背中や下半身にある大きい筋肉を鍛えると効果的です。スクワットや腕立て伏せなど、簡単にできる自重の筋トレで十分ですので、日々の習慣にしてみましょう。
同じ運動でも、ゆっくり動作することで筋肉への刺激が増えるため効果が高いといわれています。3~5秒かけて動かし、同様に3~5秒かけて元の体勢に戻るようにしましょう。さらに、膝や肘は伸ばし切らないようにすると、筋肉への刺激をより大きくできます。
50代から基礎代謝を上げるには、日々のトレーニングに有酸素運動を取り入れるのもおすすめです。有酸素運動には、加齢に伴い筋肉がつきにくくなるのを改善する効果があります。ただし有酸素運動だけでは筋肉量を大きく増やせないため、筋トレと合わせて行いましょう。
具体的にはウォーキングやジョギング、エアロビクス、水泳などがおすすめです。特にウォーキングは道具が必要ないため、簡単に始められます。早歩きと普通の速度の歩行を3分おきに繰り返すとより効果が高いといわれています。
時間やコンディションの都合で運動が難しい場合は、ストレッチもおすすめです。ストレッチを継続して行うことでも筋肉量の増加が見込めます。また、自律神経を整え、体温を高めることで基礎代謝の増加につながります。
食事で基礎代謝を上げるには、筋肉をつけるのに必要な栄養素をバランスよくとる必要があります。基礎代謝を上げたい人やダイエットしたい人が気をつけるべき栄養素や、とりたい食べ物の目安量を解説します。
タンパク質は筋肉の原料になる栄養素です。タンパク質の摂取量を増やすと、筋トレの有無にかかわらず筋肉量が増加することが知られています。基礎代謝を上げるには、タンパク質は欠かせません。
タンパク質源になる主な食べ物は、魚・肉・卵・大豆製品です。1食につき手のひら1枚分を目安に食べましょう。
特に生活習慣病が気になる50代の人には、肉より魚の摂取がおすすめです。肉類には、飽和脂肪酸と呼ばれる脂質が多く含まれます。飽和脂肪酸は血中のコレステロールを増加させ、動脈硬化を引き起こしやすくする作用があります。
一方、魚は不飽和脂肪酸が含まれ、コレステロールや血圧を下げ健康を保つのに役立つ食材です。
食事からではタンパク質がとりきれない場合は、サプリメントで補う方法もあります。「サカナのちから S forシニア」は、魚肉ペプチドからタンパク質を簡単に摂取するのに役立つサプリです。体内に吸収されやすく、アミノ酸の配合比も優れているため効率よく使われます。
「サカナのちから S forシニア」は、タンパク質不足が気になる高齢者におすすめのサプリ。食が細くなり、食事からの栄養補給がなかなかできていない…と感じていませんか?サプリメントで効率よく補給して、日々の活力につなげましょう。
炭水化物はエネルギー源として重要な栄養素です。炭水化物の多い食べ物をとりすぎると体重増加につながりますが、反対に抜いてしまうと、体にとって必要なエネルギーが不足し、体がエネルギーを節約するため基礎代謝が低下してしまいます。
また、筋肉を合成するには、筋肉に血液中のアミノ酸を取り込む必要があります。そのために必要な「インスリン」というホルモンは、血糖値が上がることで産生されます。炭水化物をとり、食後に血糖値を適度に上げることは、筋肉を作るためにも大切です。
ご飯・パン・麺などの炭水化物源になる食べ物は、1食に握りこぶし1つ分を目安にとりましょう。ダイエットをするにしても、健康面を考えるなら無理な制限は禁物です。
脂質は1gあたり9kcalと、タンパク質や炭水化物に比べ2倍以上のエネルギーを持ちます。とりすぎると体脂肪の蓄積につながるため注意が必要です。
体脂肪が増えることで基礎代謝が下がるわけではありませんが、ダイエットを目的としている場合、せっかく基礎代謝を高めても体重減少につながらないのでは意味がありません。タンパク質や炭水化物と合わせて脂質の摂取量にも気をつけましょう。
脂身の多い肉や加工肉などの脂質の多い食材を減らしたり、揚げ物や炒め物など油を使った料理を控えるのがおすすめです。
腸内環境も基礎代謝に影響します。腸内に棲む善玉菌が増えると、善玉菌の作り出す物質によって交感神経が刺激され、基礎代謝が上がることが知られています。
善玉菌を増やすことで便通を改善し、腸内環境を整えるためには、食物繊維の多い食べ物をしっかりとりましょう。野菜や海藻、きのこを毎食両手1杯分とれると理想的です。また、間食やデザートに果物を取り入れるのもよいでしょう。
睡眠中、特に入眠直後には成長ホルモンが分泌され、筋肉合成を促します。そのため睡眠の質を上げることも基礎代謝改善に役立つと考えられます。睡眠の質を上げるにはどうしたらよいか、簡単にできる方法を3つ紹介します。
朝日を浴びることは、人間の体に備わる体内時計をリセットするのに必要です。光を浴びてから14~16時間後に睡眠を促すホルモンが分泌され、自然な眠気を引き起こします。
寝る前に部屋のカーテンを10cmほど開け、朝になったら日光が入るようにするのがおすすめです。目覚めやすくなり、その日の寝つきを良くすることにもつながります。
夜にテレビやスマホなどから強い光を浴びると、覚醒度が高まり寝つきが悪くなってしまいます。寝つきを良くし睡眠の質を上げるには、寝る前の30分前から画面を見るのを控えましょう。
カフェインには覚醒作用があり寝つきを悪くするほか、利尿作用により睡眠途中で目覚めやすくする働きもあります。摂取してから体内で半分の量が分解されるまでにかかる時間は3~4時間です。寝る時間から逆算し、寝つきが悪い人は夕方以降はカフェインを控えましょう。
50代から基礎代謝を上げるには、生活習慣の改善が大切です。基礎代謝を上げるための行動を継続すると、ダイエットのみならず今後の健康づくりにつながります。運動・食事・睡眠などの基本的な生活習慣を見直し、取り組みやすい方法から実践していきましょう。