「若い頃よりも運動をしても痩せにくくなった」「おなか周りの脂肪が気になる」「食べる量は昔と変わっていないのに太りやすくなった」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
加齢とともに代謝が落ち太りやすくなります。しかし、生活習慣に気をつけるだけで代謝は維持することができ、太りにくい身体に近づけることができます。
この記事では、代謝が悪いとどのような影響がもたらされるのか、そして代謝をあげる方法を紹介していきます。
基礎代謝とは、人が生きていく上で最低限の必要なエネルギーです。運動しなくても、安静にしている状態でもエネルギーは消費されます。呼吸をしたり、心臓を動かしたり、体温を維持したりするなどの生命維持に必要なことでも、エネルギーが消費されていくのです。
基礎代謝量は、性別や年齢、筋肉量によって異なります。とくに基礎代謝量と筋肉量は相関関係があり、筋肉量が落ちると基礎代謝量は低下します。筋肉量を維持するために、日頃からの運動は欠かせません。基礎代謝量と筋肉量は加齢によって低下するため、若いときと同じ量を食べても太りやすくなります。
基礎代謝が悪くなる原因は、以下の5つです。
それぞれ詳しく解説します。
基礎代謝が悪くなる原因の一つが、加齢や性別によるものです。
基礎代謝のピークが、小学生高学年〜中学生くらいの成長期を迎える時期です。その後、加齢とともに基礎代謝は下がっていきます。
年齢だけでなく、性別によっても基礎代謝は変わります。一般的に女性より男性は筋肉量が多く、基礎代謝が高い傾向です。女性は男性より筋肉量が少ないため、脂肪が蓄えやすく、太りやすくなります。
筋肉量の減少が、基礎代謝が悪くなる原因の一つです。
私たちが1日に消費するエネルギーのうち、6〜7割は基礎代謝に使われています。全体の基礎代謝のうち、各臓器にどのくらい消費されているのか、以下の表に表しました。
引用:エネルギー消費量の測定方法 | 健康長寿ネット
骨格筋つまり筋肉量が基礎代謝に大きな影響を与えやすくなります。筋肉量が減ってしまうと、基礎代謝に消費される量も低下します。よって筋肉量の減少が、基礎代謝を悪くする原因になるのです。
参考:身体活動とエネルギー代謝 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
ダイエットによる不規則な食事は、かえって代謝を悪くさせ、太りやすい原因になります。
1日に消費するエネルギーは、以下で構成されています。
事誘発性熱産生は、消費するエネルギーのうち約10%ですが、何を食べたかにより変化します。食事をとり、栄養素が身体に吸収され分解されると、体熱が発生します。食後に身体が温かくなるのは、食事誘発性熱産生によるものです。
栄養素により、食事誘発性熱産生でどのくらいエネルギーが消費されるかが異なります。たんぱく質を摂取すると摂取エネルギーの約30%、糖質のみ摂取すると約6%、脂質のみ摂取すると約4%です。代謝をあげ、太りにくいカラダにするには、食事内容に配慮する必要があるのです。
栄養が偏り、不規則な食事が続くと、食事誘発性熱産生も低下し、結果として代謝を低下させます。
参考:食事誘発性熱産生 / DIT | e-ヘルスネット(厚生労働省)
活動量不足も、代謝を下げる要因になります。
1日に消費するエネルギーのうち、身体活動量による消費が約30%を占めます。活動量とは、運動による活動量と、力仕事や家事仕事による活動量のことです。
一般的に、運動を行うことで身体活動量は増えますが、力仕事や家事仕事を行うことでも身体活動量は増え、代謝が亢進します。習慣的に運動している人だけでなく、家事や立ち仕事をしている人でも活動量が増え、代謝が高い傾向にあります。
1日中あまり動かず座り仕事が中心な人は、身体活動量が低く、代謝が低下し、太りやすいカラダになるでしょう。
基礎代謝が悪くなるとどのような症状が出るのか。以下のような症状が現れやすくなります。
代謝が低下すると、脂肪が蓄積しやすくなり、肥満の原因になります。生活習慣病を誘発するきっかけにもなるのです。
基礎代謝をあげて太りにくい身体にするために、今日からできる6つの方法を紹介します。
順番に詳しく解説します。
水を多めに飲むことで、基礎代謝をあげることができます。
人間の身体は、約60%が水分でできています。体内の水は、体内の酸素や栄養素を血液と通して細胞に届ける重要な役割を持っています。適切な量の水分を飲むことで、血液の巡りがスムーズになり、細胞に酸素と栄養素が届けやすくなるのです。細胞運動が活発になり、代謝が上がります。水分が不足すると、血液の巡りが悪くなり、結果代謝が悪くなってしまいます。
1日に必要な水分摂取量は2.5Lです。尿や便で1.6L、呼吸や皮膚から0.9Lの水分が体外から排出されます。
1Lの水分は食事から摂取でき、体内から0.3Lの水分が作られますが、残り1.2Lの水分を飲まなければいけません。代謝をあげるには、1日1.5〜2Lの水を飲む必要があります。
代謝を活発にするための水分補給には、糖分が多い清涼飲料水、カフェインを含むコーヒーやお茶、アルコールは含みません。カフェインやアルコールには利尿作用が含まれ、水分を体外へ排出しやすくなるからです。糖分が多い清涼飲料水は、飲みすぎると糖分の摂取が多くなるため注意が必要です。水やカフェインを含まない麦茶がよいでしょう。
筋肉を作ったり、身体を温めたり、代謝を促したりする食べ物は、基礎代謝をあげる食べ物です。
基礎代謝をあげる栄養素とその働き、食べ物は以下の表になります。
この3種類の働きが期待できる栄養素をバランスよく摂ることが大切ですが、中でもタンパク質は筋肉の原料になる重要な栄養素です。タンパク質の摂取量を増やすと、筋トレの有無にかかわらず筋肉量が増加するといわれています。基礎代謝を上げるには、タンパク質は欠かせません。
タンパク質と聞くと、肉・卵・乳製品を思い浮かべる方が多いでしょう。
確かにこれらの食品はタンパク質が豊富ですが、脂肪分が多かったり、摂ったタンパク質が実際に身体づくりに利用される割合が意外と低かったりすることもあります。
そこでオススメしたいたんぱく質が魚肉たんぱくです。
魚肉のタンパク質はアミノ酸バランスがよく、消化性にも優れている上、低脂肪である点に注目です。
魚肉たんぱくで効率良く質のよいタンパク質を摂りましょう。
基礎代謝をあげるためには、腸内環境を整えることが大切です。
腸には細菌が生息しており、さまざまな種類の細菌がバランスよく生息することで、腸内が健康な状態でいられます。腸内細菌には、余分な脂肪吸収を抑えたり、栄養素を吸収したりと、身体にとって大切な機能を果たしています。腸内環境を整えることが、基礎代謝をあげ、健康の指標となるのです。
腸内環境を整えるには、乳酸菌と食物繊維、の摂取が重要です。オリゴ糖は乳酸菌のエサとなり、乳酸菌と一緒に摂取すると、より効果が現れるでしょう。
腸内環境を整える効果があると言われている食べ物を、1日3食にバランスよく取り入れてみてください。
ストレッチを行うことで、自律神経が整い、基礎代謝が上がります。
自律神経が乱れてしまうと、低体温症の原因になり、基礎代謝が下がってしまいます。自律神経を整えることが、基礎代謝をあげるために重要です。まず、朝起きたらカーテンを開けて朝日を浴びて、身体を目覚めさせて自律神経を整えましょう。
朝起きて簡単なストレッチを行うことで、交感神経が優位になって活動モードに切り替わり、基礎代謝が上がりやすくなります。
ウォーキングやジョギング、水中歩行などの有酸素運動から始めるのがおすすめです。
有酸素運動は、脂肪燃焼効果や血流改善効果があると言われています。とくにウォーキングは、体力に自信がない方や激しい運動が苦手な方におすすめです。運動習慣を身につけることが、基礎代謝をあげるための第一歩になります。特別な道具を必要とせず、体力の消耗が少ないため、続けやすい運動です。
呼吸が乱れず早歩きのスピードで、10分間ウォーキングをしてみましょう。難しい場合には、エレベーターやエスカレーターを使わずに階段を使ったり、一駅分歩いてみたり、生活の中に取り入れてみてください。
湯船に浸かって入浴することで、体温が上がり、基礎代謝をあげることができます。湯船に浸かってリラックスすることで、副交感神経が優位になり、自律神経が整います。
不規則な生活や仕事のストレスにより、交感神経が優位になりがちです。自律神経が乱れ、代謝低下の原因になります。
毎日、湯船に浸かり、副交感神経を優位にさせ、自律神経を整える時間を作りましょう。毎日続けると、少しずつ代謝が上がり、太りにくい身体を作ることができます。ぬるめのお湯に10〜20分間浸かるといいでしょう。
代謝をあげ、太りにくい身体にするには、日頃の生活習慣を振り返ることが大切です。加齢に伴い代謝が落ちてしまいますが、水を多めに摂取し、運動習慣を身につけ、基礎代謝をあげる食べ物を1日3食の中に取り入れるだけでも、代謝が上がり太りにくい身体に作ることができます。
この記事を参考にして、太りにくく痩せやすい身体にしてみてください。