夏休み中の子どもには、時間を有効に使って普段はできないことに取り組んだり、色々な体験をしてほしいですね。しかし、この時期ならではの体調不良である夏バテや熱中症は気にしてあげなければなりません。
そこでこの記事では、子どもが夏休みを元気に過ごせるように、食事の面からサポートする方法を紹介します。特に夏休みの期間中は、朝昼夜の3食を家庭で用意しなければなりません。お腹にたまるだけのものでは、毎日たくさん活動する成長期まっさかりな子どもの食事には不十分です。
子どもの成長に必要な栄養や、夏の体調管理に配慮した食事を作り、子どもと一緒に夏を元気に乗り切りましょう。
まずは子どもの成長を助け、体調を整えるために気をつけたい、食事面のポイントを紹介します。
暑くて湿度が高い屋外と、エアコンが効いた室内の温度差が大きくなりやすい夏。この温度差に適応しようとして、体の自律神経が消耗し、うまく機能しなくなってしまった状態が「夏バテ」です。自律神経は体温調整以外にも、体のさまざまなはたらきを担っています。そのため夏バテになると、疲労や食欲の低下、胃腸のはたらきの悪化などの症状が見られます。
特に体の機能が未発達な子どもは、自律神経も乱れやすいので注意が必要です。屋外と室内の気温差が大きいと体温調整がうまくできず、大人以上に疲れやすくなります。さらに食欲がないからといって、食べやすいアイスクリームやジュース、そうめんといった冷たいものを摂っていると、内臓が冷えて体調がより悪化してしまいます。
屋外で活動することが多い子どもは大量に汗をかき、水分やミネラルが失われやすいため、「熱中症」も心配です。遊びに夢中になった子どもは、水分補給を忘れてしまいがち。身長が低い分、地面からの照り返しで大人以上に熱の影響を受けるため、子どもは熱中症にかかりやすいといえます。
夏特有の不調を予防する栄養素に加えて、子どもの成長を助ける栄養素も食事からしっかり摂りましょう。子どもに与える夏の食事で摂取したい栄養素として、ビタミンB群・ミネラルから解説していきます。
ビタミンB群は、体の調子を整えるはたらきがあります。なかでも夏に摂取してほしいのは、ビタミンB1です。ビタミンB1は糖質をエネルギーに変える作用があるため、夏の暑さで低下した体力を効率よく回復させる効果があります。
ミネラルには、汗で失われやすいナトリウム・カリウム・鉄分・亜鉛などが含まれます。これらは体を構成したり、体の機能を助けたりするはたらきがある栄養素です。特にカルシウムとマグネシウムは骨の形成に関わるため、子どもにしっかり摂らせましょう。
これらの栄養素を効率的に摂取できる、おすすめの食材はこちらです。
上記以外にも、トマトやかぼちゃ、オクラといった夏野菜を食事に取り入れましょう。多くの夏野菜には、太陽光の紫外線から体を守る抗酸化作用があり、水分もたくさん含まれています。夏野菜の鮮やかな彩りは、見た目から食欲をかきたててくれるでしょう。
夏バテして食欲が落ちてしまったときは、料理に酸味や香りを取り入れてみてください。お酢や梅干しで酸味をプラスしたり、にんにくやしょうがで香りをつけたりすると、食欲アップに効果的です。
たんぱく質は肌や髪、筋肉、内臓など体のあらゆる組織を作るのに必要な栄養素です。体がぐんぐん発達している子どもに、たんぱく質の十分な摂取は欠かせません。
特に身長を伸ばす作用がある成長ホルモンの分泌には、たんぱく質が関わっています。成長ホルモン自体もたんぱく質から作られているうえに、骨が伸びる部分にあたる骨の先端の軟骨細胞は、たんぱく質を原料としています。子どもの背が伸びるには、たんぱく質が必要なのです。
たくさん遊んで疲労した筋肉の修復にも、たんぱく質は使われます。激しい運動をすると筋肉の繊維が壊れてしまいますが、筋肉のもとになるたんぱく質が十分にあれば、筋肉は修復されます。たんぱく質が不足していると筋力が衰え、運動能力が低下してしまうかもしれません。
子どもにはたんぱく質をしっかり摂取させたいところですが、子どもは胃腸が小さく一度にたくさんは食べられません。効率のよい栄養摂取のために、良質なたんぱく質を含む食品を選びましょう。
良質なたんぱく質とは、「必須アミノ酸」をバランスよく含むたんぱく質のことです。たんぱく質は、アミノ酸がいくつもつながって構成されています。アミノ酸には種類があり、なかでも体内で合成できない9種類は「必須アミノ酸」と呼ばれています。必須アミノ酸がバランスよく含まれているたんぱく質は体内で効率よく利用されるため、子どもには良質なたんぱく質を摂らせましょう。
魚肉たんぱく質は、良質なたんぱく質のひとつです。アミノ酸の質を評価する指標に「アミノ酸スコア」があります。魚類のアミノ酸スコアは、肉類に匹敵する高値を示します。魚と肉はどちらも、良質なたんぱく質を含む食品なのです。
しかし脂質に注目すると、魚と肉には違いが見られます。肉の脂質は飽和脂肪酸と呼ばれ、取りすぎると血液中の中性脂肪やコレステロールを増やすおそれがあります。一方、魚に含まれる脂質は、中性脂肪やコレステロールを減らす作用がある不飽和脂肪酸です。不飽和脂肪酸のなかでもDHAと呼ばれる成分は、脳を活性化させることがわかっています。子どもにDHAを与えると、脳の発達をサポートして、学習能力を向上させる効果が期待できるでしょう。
以上のことから、子どものたんぱく質摂取は魚肉の利用をおすすめします。子どもの健康管理と健やかな成長のために、夏の食事に魚肉たんぱく質を取り入れてください。
夏の体調管理に必要な栄養素を摂取できる、おすすめの子ども向けレシピを紹介します。
鱈:3切れ
卵:1個
塩こしょう:少々
小麦粉:大さじ1
塩、こしょう:少々
サラダ油:適量
簡単に作れるおかずでクセもなく、お子様に受け入れられやすいピカタです。
ケチャップなどをつけて食べましょう。
温かいご飯:400g
豚ひき肉:100g
枝豆(冷凍):50g
とうもろこし(水煮缶):50g
にんにく:1片
しょうゆ:小さじ2
塩、こしょう:少々
サラダ油:小さじ1
枝豆ととうもろこしの鮮やかな色合いと、にんにくの香りが食欲をそそる一皿です。冷凍枝豆やコーン缶を使用すれば、手軽に作れます。生の枝豆やとうもろこしをゆでた残りがあれば、それを使用してもかまいません。
豚肉(こま切れ):100g
木綿豆腐:100g
オクラ:5本
トマト:1個
かぼちゃ:100g
だし汁:500ml
味噌:大さじ2〜
サラダ油:小さじ1
夏野菜をたっぷり食べられる、アレンジ豚汁です。味噌によって塩分量が異なるため、味噌の量は味をみて調整してください。かぼちゃを加えた味噌汁は甘みがあり、子どもでもおいしく食べられます。冷たいものを食べて冷えた体を、味噌汁で温めましょう。
食べ物の好き嫌いがある子どもは多く、さらに暑さで食欲も失せてしまいがちで、献立を考えるのに悩んでしまう方も多いでしょう。
長いようで、終わってしまうとあっという間の夏休み。
栄養が摂れて、気に入ってもらえる食事を毎食用意するのは大変ですが、3食すべてをパーフェクトにしようと気を張りすぎず、家族で楽しい夏の食卓を囲めるとよいですね。