近年のたんぱく質ブームを受け、今、注目されているのがスーパーやコンビニで買えるたんぱく質補給食品。調理の必要がなく、外出先でも手軽にたんぱく質が摂れるとあって市場は拡大傾向が続いていますが、一体どのようなものがあるのでしょうか。
本記事では、スーパーやコンビニで買えるたんぱく質補給食品と、それぞれのメリット・デメリットを比較しています。自分に合うたんぱく質補給食品を見つけるために、ぜひお役立てください。
たんぱく質はかつて、トップアスリートのような筋肉を増やしたい一部の人が意識して摂取する成分と考えられていました。トレーニングの前後に水に溶かしたプロテインをごくごくと飲む、そんなイメージを持っている人は多いでしょう。
それが2015年頃になると、スポーツの筋肉作りだけではなく、生活や健康維持に必要な栄養補給を目的としたたんぱく質の摂取が一般的になり始めました。
たんぱく質には基礎代謝を上げてダイエットの効果を高めたり、サルコペニア(加齢による筋肉量の減少)やフレイル(加齢による心身虚弱)の予防する働きがあることが広く知られるようになったためです。
また、たんぱく質は筋肉だけではなく、髪や皮膚、爪の原料にもなる成分です。女性を中心に、美容目的で積極的にたんぱく質を摂る人も増えてきました。
さらに、たんぱく質は血管や内臓、消化機能に関わる酵素、ホルモン、抗体など、心身の健康を維持するために欠かせません。疲れやすい、気分が落ち込みやすい、体調を崩しやすいなどの原因がたんぱく質不足で起こっている可能性もあるのです。
こうした背景がある一方で、2021年の厚生労働省の調査では、たんぱく質の摂取量は国が定める目標値に対して、全ての年代で不足している人のほうが多いと分かりました。現代の日本人のたんぱく質摂取量は戦後間もない時代と同水準とされ、たんぱく質ブームに沸きながらもまだまだ摂取量は足りていないのが現状です。
たんぱく質には、必須アミノ酸の含有量が多く、体内の吸収率が高い動物性たんぱく質と、動物性たんぱく質と比べてカロリーが低く、サポニンやイソフラボンなどの成分が含まれる植物性たんぱく質に分けられます。
どちらか一方を摂るのではなく、1:1の割合となるのが理想。そのため、たんぱく質補給食品も偏りなく選ぶ必要があります。
ここからは、たんぱく質補給食品の種類とそれぞれのメリット・デメリットを見てみましょう。
コンビニで買えるたんぱく質補給食品の代名詞的な存在で、現在も様々な味が展開されている商品。
鶏むね肉を使用しているため、カロリーは100gあたり108~113㎉と低く、特にダイエット中の方や筋トレ時におすすめです。
サラダチキンに比べてカロリーが低いイメージがありますが、100gあたり104~5㎉とあまり変わりはありません。食べすぎには注意しましょう。
一般的なヨーグルトのたんぱく質含有量は100gあたり3.6g(※2)。たんぱく質の含有量に特化した商品を選ぶと、100gあたり10~12gのたんぱく質が摂取できます。
商品によってたんぱく質の含有量が異なるため、購入前には必ず確認しましょう。
鶏むね肉の代わりに、魚のすり身やサーモン、マグロ、サバなどが使われている商品。食塩やマリネ液などで味付けされているので、そのまま食べられます。
乳糖不耐症の人はソイプロテイン(大豆由来のもの)を、大豆アレルギーの人はホエイプロテインまたはカゼインプロテイン(乳由来のもの)が使われているプロテインバーを選ぶと良いでしょう。
デメリット
たんぱく質を摂る上で特に注目したいのが魚肉たんぱく質です。
先に紹介した「サラダフィッシュ」や「ちくわ」、「フィッシュプロテインバー」は魚肉由来の低脂肪・高たんぱくの食品です。
特に魚肉練り製品は低脂肪・高たんぱくに加え、消化性にも優れたたんぱく質食品であることを知っておきたいです。
魚肉たんぱく質の中でも、魚肉練り製品は消化が速いことが確認されています。いくつかの食材を人口胃液で消化し、消化速度を比較した実験を行った結果、板かまぼこ、揚げかまぼこの消化速度は他の食品よりも速いことが分かりました。
たんぱく質食品を選ぶ際は、消化性もよい魚肉練り製品を選んでみるとよいでしょう。
たんぱく質は体内に溜めておけないため、毎日摂取するのが理想的です。特に、朝食時にたんぱく質を多く摂取すると筋肉量が増えやすいことが、研究によって分かりました。
また、朝食でたんぱく質を摂るときは、以下の食品と食べ合わせるとより効果が得られやすくなります。
ご飯やパンなどに含まれる糖質には血糖値を上げる働きがあり、血糖値が上がるとインスリンが分泌されますが、インスリンにはたんぱく質のBCAA(必須アミノ酸のバリン、ロイシン、イソロインの総称)が細胞に取り込まれるのを促進する作用があります。
ただし、白米や食パンは糖質が高く、血糖値を急激に上げるため健康を害する恐れがあります。雑穀米や全粒粉パンなど、血糖値を上げにくいものを選ぶのが良いでしょう。
特にビタミンB6はたんぱく質の代謝や合成を促す働きがあります。ビタミンB6が多く含まれる食品にはバナナやブロッコリー、くるみなどがありますが、マグロやサケなどの魚類にはたんぱく質とビタミンB6の両方が含まれています。
ビタミンDには筋肉の合成を促す働きがあります。ビタミンDを多く含むのはサンマやイワシ、サケなどの魚類やきのこ類など。
ビタミンDは日光を浴びることでも体内で合成されますが、冬場は不足しがちになります。たんぱく質とともに意識して摂取するのが大切です。
如何でしたでしょうか。「たんぱく質が○g摂れる」「高たんぱく食品」と謳った商品を見かけることが多くなりましたが、商品ごとに差があります。たんぱく質の「質」にも目を向けながら、シーンに合わせて色々と試してみるのもよいでしょう。
美味しくたんぱく質を摂って健康な毎日を送りましょう!