近年、毎年のように台風、豪雨、地震、火山などの自然災害が繰り返されています。
日頃から緊急避難を想定し、非常時に備えることが大切ということがマスコミ等でも伝えられ、家具の配置や避難経路の確認、安否確認方法について話し合われている家庭も多いでしょう。
今回はもう一歩踏みこんで、非常時に大切な役目を果たす栄養素として、たんぱく質にフォーカスして解説していきます。
災害発生直後から被災地に支援物資が届くまでに“約3日”はかかることを覚えておきましょう。
災害の規模にもよりますが、被災時は食料だけでなく、ライフライン(電気・水道・ガス)も麻痺してしまうことを想定しておく必要があります。
また、被災時には、温度調整がしにくい環境に置かれたり、栄養バランスが崩れることで、筋力や活力が低下し、免疫力も弱まることから、健康被害が蔓延することが多いといわれています。そこで重要な栄養素として注目したいのがたんぱく質です。
非常時にたんぱく質が大切な理由を2つご紹介します。
通常、私たちの身体のエネルギー源は、血糖(血液中のグルコース)や筋肉、肝臓に蓄えられているグリコーゲンが使われています。これらが不足した場合、脂肪や筋肉中のアミノ酸(BCAA)がエネルギー源として使われます。非常時には、エネルギーの消耗が激しいことが想定され、すばやくエネルギーに変換されるBCAAを含むたんぱく質を補給する必要があります。
また、グリコーゲンが枯渇し、筋肉中にあるアミノ酸も使いきると、筋肉を分解することでできたアミノ酸をエネルギー源としようとします。たんぱく質の補給が充分でないと、筋肉が分解され筋肉量が減っていってしまいます。
たんぱく質は私たちの身体の組織や器官、血液などを構成し、人体の乾燥重量の3/4を占めています。つまり、筋肉・体調を維持するためにたんぱく質を補給し、維持することが被災時の健康維持にとって非常に大切だといえるのです。
身体が弱り、免疫力が低下すると、感染症や様々な疾患に罹りやすくなります。
免疫細胞をつくり活性化させるのに必要な栄養素はたんぱく質です。
また、免疫細胞の70%が存在し、最大の免疫器官ともいわれる腸管のエネルギー源となるのもたんぱく質(アミノ酸)です。
免疫力維持の観点からも、非常時こそたんぱく質(アミノ酸)を意識して摂ることが大切なのです。
地震などは事前に察知することが難しいため、物資を日頃から備蓄し、「持出袋」として袋に詰めておき、いつでもすぐに避難できる状態にしておきましょう。
ここ数年「持出袋」は中身がセットになった物も多く販売されており、高齢者や幼児がいるか等、家族構成に合わせた内容物の「持出袋」もセットで購入できるようになりました。
しかし、ご家庭で用意している「持出袋」を覗いてみてください。被災時に摂りたい栄養素、特にたんぱく質が補給できる食品は入っていないのではないでしょうか。
下記が一般的な「持出袋」の入っている物のリストです。
「持出袋」に入れておく食料品を選ぶ際、賞味期限が長いことや、満腹感を得られる物、できるだけ調理が不要な物を、といった基準で選ぶことが多いのではないでしょうか。
ここにさらに、被災時の過酷な状況での栄養補給という視点を加えてみては如何でしょうか。
加工や包装方法の技術が進歩し、災害食の種類は増えてきていますが、依然としてカレーやご飯など炭水化物中心の傾向があります。
避難所で提供される食事もおにぎり、パン、弁当など炭水化物に偏りがちといわれています。
前章でも紹介したとおり、非常時こそたんぱく質を摂りたいですが、「持出袋」の食料品を確認すると、たんぱく質の必要量(※)を満たしていないかもしれません。
※一般的に成人男性の1日に必要なたんぱく質摂取量は、体重1kg当たり1gとされています。 体重が60kgであれば、一日に60gのたんぱく質を摂りたいということです。
「持出袋」の中身にたんぱく質が足りない方は、たんぱく質が摂れる食品を加えてましょう。
たんぱく質を補給できる非常食としては、缶詰(大豆水煮や魚)、乾物(高野豆腐)、レトルト食品等でたんぱく質を重視した食品が販売されています。
ただ、「缶詰などを更に増やすのは重くてかさばったり、調理が必要な物はできるだけ避けたいのだけれど・・・」という方も少なくないのではないでしょうか。
さらに、タンパク質なら何でも良いかというとそんなことはありません。
身体が弱っているときは、タンパク質の代謝も弱っているので、吸収しやすい物の方が望ましいです。
そこでオススメしたいのが、たんぱく質を補給できるサプリメントです。
鈴廣かまぼこ開発「非常用 サカナのちから」は、調理不要で水で飲むだけでたんぱく質を補給できます。
また、「サカナのちから」はペプチド状であるため、非常時の弱った身体でもアミノ酸が吸収されやすいのが特長です。
ペプチドとは、たんぱく質が消化酵素で分解され、アミノ酸が数個固まった状態のこと。アミノ酸を2~3個まとめて取り込めるため、効率的に体内に補給することができます。肉や魚のたんぱく質からアミノ酸を摂ろうとすると、消化され吸収されるまでに3~4時間かかりますが、ペプチドでは、既に分解された状態ですので30~40分で吸収されていきます。
錠剤タイプの「サカナのちから」であれば、缶詰などと比較すると「持出袋」に追加してもかさばって重くなるという心配はないでしょう。
今回は主に、被災時のたんぱく質の重要性について説明し、「持出袋」にたんぱく質を加えることを提案しました。
いつやってくるか分からない災害に備え、私たちができることは、これまでの災害の教訓を活かしながら、日頃の準備をしっかりしておくことです。
被災時にたんぱく質不足に陥らないよう、「持出袋」にたんぱく質補給食の準備もお忘れなく!