フルマラソンで多くのランナーが直面する30kmの壁。特に中年ランナーにとっては大きな課題です。
しかし、適切なトレーニングや栄養補給、レース時の走り方を工夫すれば、30kmの壁を乗り越えることは十分可能です。
本記事では、中年ランナーが30kmの壁を乗り越え、無理なく完走するポイントを、実践的なトレーニングや栄養補給とともに詳しく解説します。
30kmの壁とは、フルマラソンにおいて30km付近で急激に体力が低下し、走るのがつらくなる現象です。
30kmの壁の主な原因は、体内のエネルギー源であるグリコーゲンの枯渇や、長時間の走行による筋疲労です。また、レースのペース配分やフォームの乱れ、脱水なども影響します。
30kmの壁を乗り越えるのに不可欠なのがエネルギー補給。そして、本番前のトレーニングや効率的な走り方がフルマラソン成功のカギとなります。
中年ランナーにとって30kmの壁は、単なる体力の問題ではなく、年齢による代謝の低下や回復力の遅れとも深く関係しています。若い頃より筋力や持久力が落ちるため、適切な準備なしにマラソンに挑むと、30km付近で失速しやすくなります。
年齢に応じたトレーニングや栄養管理をしましょう。
ここからは30kmで失速する原因について解説します。
人間の体は、主にグリコーゲン(糖質)をエネルギー源として利用します。グリコーゲンは筋肉と肝臓に貯蔵されていますが、その総量は約1,500〜2,000kcal分しかありません。
マラソンでは1kmあたり約60〜70kcal消費するとされ、30kmを走ると約1,800〜2,100kcal に達します。これにより、30km付近で筋肉や肝臓のグリコーゲンが枯渇し、エネルギー不足に陥ることが多いのです。
筋肉疲労は長時間の反復運動による筋繊維の損傷や、エネルギー源の枯渇によって起こります。
マラソンの場合、大腿四頭筋やハムストリングスが酷使されて筋力が低下し、ペースの維持が困難になります。
汗によるミネラル(ナトリウム、カリウムなど)喪失も筋収縮に影響し、痙攣や足の重さを引き起こします。
精神的疲労は長時間の集中力維持による脳の消耗が原因です。
血糖値低下により思考力が鈍り、「もう走れない」と感じやすくもなります。
さらに、周囲のランナーに抜かれたり、ペースが落ちたりすることで、モチベーションが低下し、気力が尽きることもあります。
発汗によって体内の水分が失われ、補給が不十分だと血液の粘度が上がり、酸素や栄養の運搬効率が低下します。その結果、筋肉へのエネルギー供給が滞ります。
さらに、ナトリウムやカリウムなどの電解質も汗とともに排出され、不足すると筋肉の収縮が正常に行えず、痙攣や脱力感が発生しやすくなります。
レース序盤に速すぎるペースで走ると、エネルギーを急激に消費し、筋肉に過度な負担がかかります。
オーバーペースはグリコーゲンの消費速度を速め、筋肉の疲労を予想以上に加速させます。
内臓疲労は、長時間の運動による血流の偏りが原因です。
マラソン中は筋肉に優先的に血液が送られるため、胃腸の働きが低下し、消化不良や腹痛を引き起こすことがあります。
また、暑すぎると発汗量が増え、脱水や熱中症のリスクが高まり、失速もしやすくなります。
体調不良の場合には、免疫機能が低下し、エネルギー供給や回復能力が十分に発揮されないため、30km地点で一気に失速するリスクが高まります。
30kmの壁の原因がわかったところで、ここからは30kmの壁を乗り越えるための対策を紹介します。
ロング走(LSD:Long Slow Distance)は、ゆっくりとしたペースで長時間走るトレーニングです。
距離への耐性を高め、心肺機能を向上させる目的があります。
マラソン初心者が、足づくり・体づくりをするためにLSDは最適です。
1km6~7分、早歩きより少し速いペースで、60分〜120分走るトレーニングを週末に取り入れると良いでしょう。
マラソンのスピード練習にはビルドアップ走やペース走があり、心肺機能の向上や筋持久力の強化を目的にしています。
ビルドアップ走は、徐々にペースを上げるトレーニングで、ペース走は、いつもより早めのペースで走るトレーニングです。
フォームを意識して無駄な動きを減らし、省エネでスムーズに走る技術を磨くこともポイントです。
速いペースに慣れることでレースペースに余裕が生まれ、30km以降の失速を防ぎやすくなります。週1~2回取り入れると良いでしょう。
30km走の目的は、長い距離を走ることで筋持久力の向上やエネルギー消費の効率を高くすると言うより、エネルギーが減ってきても、呼吸がきつくなっても、30kmを走り切れたという経験を脳に刻み込み、レース中にかかるブレーキを弱くタイミングを遅くすることにあります。
大会1ヶ月前に一度、30km走を取り入れると良いでしょう。
プランクや腹筋運動などの体幹強化は、長時間安定したフォームを維持し、無駄なエネルギー消費を抑えるのに役立ちます。
スクワットやランジなどの下半身強化は、着地時の衝撃に耐え、筋肉の疲労を軽減するために重要です。
中年ランナーの中には、筋力不足を感じる人も多いのではないでしょうか?
30km以降でも動く足を目指して、週2~3回筋力トレーニングを取り入れてみてください。
日々のトレーニングや筋力トレーニングを効果的に行うためには、疲れを翌日に残さない日々の筋肉リカバリーが大切です。
リカバリーには、筋肉の元であるタンパク質の摂取が大切。
運動後と就寝中の「筋肉づくりのゴールデンタイム」に合わすために、トレーニング直後や就寝前に、タンパク質を吸収しやすくした、ペプチドのサプリメントを活用すると良いでしょう。
ペプチドとは、タンパク質が消化酵素で分解され、アミノ酸が数個固まった状態のこと。アミノ酸を2~3個まとめて取り込めるため、効率的に体内に補給することができます。肉や魚のタンパク質からアミノ酸を摂ろうとすると、消化され吸収されるまでに3~4時間かかりますが、ペプチドでは、既に分解された状態ですので30~40分で吸収されていきます。
鈴廣かまぼこ開発の「サカナのちから A for アスリート」は、効率的にタンパク質補給ができる、魚肉が原料のペプチドサプリメントです。スタミナ補給には運動前に、リカバリーには運動直後や就寝前に飲むのがおすすめです。
・魚肉だから高たんぱく低脂肪
・魚肉だから理想的なアミノ酸バランス
・ペプチドだから優れた吸収効率
・タンパク質利用率は、97%
レースのペース配分も、30kmの壁を越えるポイントです。
30km走やLSDなどの練習で、自分が余裕で走れるペースを把握しておきましょう。
余裕のあるペースとは、会話をしながら走れるペースです。
レース序盤ではオーバーペースにならないように、余裕のあるペースを心掛けてみてください。
目標タイムをクリアしたい人は、1kmごとにラップタイムを設定してイーブンペースで走れるようにします。
例えば、4時間切りを目指すのであれば、1km5分40秒のラップタイムで走る必要があります。
「1kmを5分切るペースで走ったらオーバーペース、6分台だと目標タイムに届かない」とわかっているだけでも心に余裕が生まれます。
マラソンでは前半のハーフより、後半のハーフの方が速いことをネガティブスピリットといいます。
レース序盤では余裕のあるペースで走り、レース終盤に少しずつペースアップする走りを意識すると30km以降に失速する可能性が低くなります。
30kmの壁を乗り越えるためには、トレーニングだけではなく、栄養補給も欠かせません。
カーボローディングは、エネルギー源となるグリコーゲンを最大限に貯蔵する方法です。
レース1週間ほど前から少しずつ炭水化物の摂取量を増やし、直前の1〜2日は高炭水化物食を中心にして、エネルギーを蓄えます。
レース前はカーボローディングを意識して炭水化物を積極的に摂取しましょう。
レース中のエネルギー補給は、30kmの壁を乗り越えるために重要で、消化吸収が速くて即効性のあるエネルギー補給がポイントです。
エネルギージェルや羊羹は手軽に摂取でき、糖質を素早く補給できます。
スタート後60〜90分ごとに約30〜60gの炭水化物を目安に摂取すると、エネルギー切れを防ぎやすくなります。
レース後のリカバリー食は、消耗したエネルギーと筋肉の修復を助けるために重要です。
炭水化物とたんぱく質をバランスよく摂取すると、グリコーゲンの回復と筋肉の修復が効率的に進みます。
特に翌日の筋肉痛予防のためには、レース直後と就寝前に前述の「サカナのちから」を摂ると良いでしょう。
フルマラソンに挑戦する多くのランナーが直面する30kmの壁。
体力の消耗、エネルギー不足、筋肉の悲鳴・・・まさに心身の限界が試される瞬間です。
しかし、この壁を乗り越えた先には、新たな世界が広がっています。
残り12.195kmは、まさに「意志の勝負」。極限状態の中で一歩を踏み出し続けることで、自分自身の本当の強さを知ることができます。
ゴールが近づくにつれ、湧き上がる達成感と高揚感。そしてフィニッシュラインを越えた瞬間、言葉にできないほどの喜びと誇りが込み上げるでしょう。
30kmの壁の向こうには、これまでの自分を超えた新しい自分が待っています。
30kmの壁を乗り越えるためには、適切なトレーニング、栄養補給、そして戦略的なペース配分が不可欠です。
特に中年ランナーにとっては、適切なトレーニングと栄養補給が成功の鍵となります。
本記事で紹介した方法を実践し、レース本番に向けて準備を整えましょう。
自信を持って30km地点を駆け抜けてゴールの感動を味わうために、日々の積み重ねを大切にしてください。あなたの挑戦が素晴らしいものになることを願っています!