夏は、暑さによって体力の消耗が激しい時期です。そんな中でもアスリートは試合に向けて、休まずに練習やトレーニングをこなし、良いパフォーマンスを発揮しなくてはいけません。
とはいえ、中には夏バテのような症状で、パフォーマンスが低下してしまうアスリートも多いはずです。
今回は暑い夏を乗り切り、良いパフォーマンスを発揮し続けるための、夏バテ対策を紹介します。
夏バテになると、「体が重い」「食欲がない」「だるい」「すぐに疲れる」などの症状を感じやすくなります。
これらの症状は、単に暑さからくるものではなく、暑さに関連するいくつかの原因によって引き起こされます。
暑さによって大量の汗をかくと、水分と同時にミネラル分も排出してしまい、体内のミネラルバランスが崩れてしまいます。
暑い屋外からエアコンの効いた室内に入るなど、気温差の大きさによって体温調節がうまく働かなくなり、自律神経の働きが低下します。
暑さや水分の摂りすぎなどで、食事がおろそかになってしまい、必要な栄養素が不足しがちになります。
暑さで眠れないことにより、疲労が回復せず、体調を崩しやすくなります。
夏の暑さによって、パフォーマンスは低下してしまいます。パフォーマンスとは、「発揮できる身体能力・技術」のこと。
良いパフォーマンスを発揮するためには、筋力・筋持久力・心肺機能などの身体的能力はもちろん、集中力や判断力など思考のスピードも必要です。
暑さは脱水を引き起こし、体内の水分量(血液量)が減ると、心臓が1回の拍動で全身に送る血液量が低下してしまいます。そうすると、心臓の拍動数が増加することにつながり、疲労感が高まるのです。
また、汗によってミネラル分が失われ、筋肉がうまく動かなくなったり、攣りやすくなるなどの症状も現れます。
暑さによって集中力や判断力の低下も起こりやすくなるため、夏に良いパフォーマンスを発揮するためには、暑さに強い体を作ることが必要なのです。
アスリートが夏でもよいコンディションを維持するためには、どのような対策を行う必要があるのでしょうか。
暑さ対策として4つのポイントを紹介します。
汗を大量にかく夏は、いつも以上に水分補給が必要となります。体内の水分が不足する「脱水症状」は、重度になると命の危険にもかかわるため、徹底して管理する必要があります。
水分を補給する目的は、汗をかくためです。汗が蒸発する際の気化熱によって、体温は下がります。また、体内の水分量が少なければ、体温が上昇しやすい状態となるため、常に体内の水分量を維持しておくことが重要です。
体温を下げるためには、汗だけでなく外部(または内部)から体を冷やすことも必要です。
熱中症の症状が出たとき、首回りや脇、鼠径部あたりを冷やすように言われたことがある方も多いと思います。これは太い血管がある場所で、そこを冷やすことで全身を冷やす効果があると考えられているためです。
もちろん、それらの部分を冷やすのも効果的ですが、実は、腕や手を冷やすほうが胴体部を冷やすよりも効果的であることが研究でわかっています。
体幹部よりも手軽に冷やすことができるうえ、効果も高い手や腕の冷却をこまめに行うことで、体温の上昇を抑えましょう。
暑さは徐々に慣れていきます。これを「暑熱順化」といいます。暑熱順化すると、汗をかきやすくなったり、体内の水分量(血液量)が増加することで、体温が上昇しにくくなり暑さに強くなります。
逆に言えば熱くなりだした初夏の時期は、まだ暑さに慣れていないため、脱水症状やコンディションを崩しやすい時期なので注意が必要です。
暑熱順化は、暑い環境で練習やトレーニングをすることで獲得することができます。
暑熱順化には30℃くらいの環境で、最大心拍数の70%程度の運動強度を1時間、それを1週間程度行うことが必要です。また、涼しい環境での練習でも、体温が上がっている運動後に40℃のお風呂やサウナを利用することでも暑熱順化ができます。この方法は、東京オリンピックの前にアスリート向けのガイドラインとしても紹介されている方法で、実際に活用したオリンピアンたちも多いのではないでしょうか。
4つ目は、自分自身の体の状態を把握・管理することです。
例えば体重。体重は脱水症状を把握するのにも活用できます。
体重は前日に比べ1.5%以上減少があれば、脱水状態が疑われます。起床時など同じタイミングで体重を測定し記録することで、脱水症状を防ぐことができます。1.5%以上の体重減少が続くようなら要注意。いつも以上に水分をとることを意識しましょう。
もちろん栄養に関しても、しっかり管理することが必要です。
夏は食欲が低下し、食事量が少なくなったり、食事が偏って栄養バランスが崩れがちです。
しっかりと栄養を補給することは、夏に強い体を作ることにつながります。
暑い夏に、特に摂取しておきたい栄養素には、どのようなものがあるでしょうか。ここではアスリートが特に重視して摂取したい栄養素を紹介していきます。
ビタミンB群は代謝に関わる栄養素です。摂取したたんぱく質や糖質、脂質などを体のエネルギーに変える働きがあります。
疲労回復や筋肉量の向上を目指して、たんぱく質を多く摂取するのであれば、同時にビタミンB群もしっかり摂取するようにしましょう。
汗とともに体外へ排出されてしまうミネラルも、体の調子を整える重要な栄養素なため、しっかりと補給しておきたいところ。
ミネラルの中でも特にアスリートが意識して夏に摂取しておきたいのが「カリウム」と「鉄分」です。
カリウムは、ナトリウムのバランスを整えたり、体内の浸透圧を維持し、水分を保持・調整する重要な役割を果たしています。カリウムも発汗とともに失われ、不足すると、だるさや脱力感、食欲不振など夏バテのような症状を引き起こします。
鉄分は、取り込んだ酸素を全身に運搬するはたらきを持っています。鉄分が不足すると、体が重く感じる、息がきれるなどの持久力の低下やだるく感じる、力が入りにくくなるなどの疲労感を感じやすくなります。
アスリートはハードなトレーニングを日々こなしているため、鉄分不足に陥りやすいといえます。「長距離走」、「剣道」、「卓球」、「サッカー」、「バレーボール」、「バスケットボール」や女子のアスリートは、特に鉄分不足に注意しましょう。
アスリートに欠かせない筋肉の元となるたんぱく質は、毎食に十分に摂取しておきたい栄養素です。
どんなに激しいトレーニングをしても、筋肉の元となるたんぱく質が不足していると、筋肉は作られません。筋肉は水分量が多く、筋量が低下すると、体内の水分量が低下することにもつながり、暑さに弱い体になってしまいます。
暑さに強い体を作るには牛乳を意識して飲むとよいでしょう。トレーニング後に牛乳を飲むことで、筋肉を作るだけでなく暑熱順化にも役立ちます。牛乳を摂取すると血液量の増加につながったり、血中の水分保持に関係するたんぱく質量が増加することが研究でわかっています。
夏は冷たいものを多く摂取することで、消化機能が低下してしまうことがあります。そんな時は消化吸収の早い魚のたんぱく質がおすすめです。
魚のたんぱく質は大豆やホエイよりも消化されやすく、また、かまぼこなどの水産練り製品は畜肉や白身のゆでたまごなど他のたんぱく食品と比べて速やかに分解され、消化性が高いことも分かっています。かまぼこなどの魚肉たんぱく質はスポーツや疲労時の栄養補給に最適といえます。
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かまぼこよりもさらにスピーディーにたんぱく質補給できる魚肉ペプチドのサプリメント。
速やかにリカバリーしたいアスリートにおススメです。
どんなに気をつけていても、暑さや疲れなどから夏バテになってしまうことがあります。
そんな時は、練習を控え、しっかり休むことが大切です。練習は、コンディションが万全でなければ、効果が低下したり、ケガをしてしまう可能性が高まります。
体調がすぐれないときは、すっぱりと練習を切り上げ、休息の時間に切り替えましょう。
休息中は、栄養をしっかり摂ることを忘れずに。冷たいものばかり食べていると胃腸の調子も悪くなり、消化吸収能力が低下します。涼しい部屋で体調を整えながら、温かい食べ物や栄養素の高い食事を心がけましょう。
また、睡眠環境を整え、睡眠をしっかりとるなど、体の調子を整えることを心がけましょう。
すべてのアスリートが夏の疲労を感じているときに、しっかりと夏バテ対策を行い、良いパフォーマンスを発揮できれば、競技成績も良くなり他のアスリートとの差を広げることができるはずです!
夏バテを防ぐには、徐々に暑い環境に慣れていくことと、日ごろからのコンディションチェックを行い、状態に合わせて食事や水分補給をしっかり管理すること。
夏バテになってしまったら、無理せず「休養」して回復を優先すること。
「運動」「睡眠」「栄養」「休養」のバランスをしっかりとって、暑い夏を乗り切りましょう!