今年も暑い夏がやってきました。
夏以外の時期ならば難なくこなせる運動メニューも暑さで体力が奪われてしまい、続けることに心が折れそうになる方もいるのではないでしょうか。
今回は、夏のトレーニングに励むあなたに夏だからこそ気を付けたいことや食事面からの情報を紹介していきます。
トレーニングによってウェアと体の間に熱がこもり、熱中症を引き起こすことがあります。
夏場のトレーニングの際は、汗が乾きやすく身体の外へ熱が逃げやすい通気性のよいウェアを選びましょう。
屋外でトレーニングをする際は、直射日光の熱を防ぐため、通気性のよい生地の袖付きのシャツや帽子を着用するのもよいでしょう。
最近では、紫外線対策に特化したUPF(紫外線保護指数)加工のあるウェアも見かけるようになりました。夏のトレーニングを快適に行えるウェアを探してみるのも楽しいでしょう。
熱中症の多くは、10時から18時の気温の高い時間帯に発生しています。
暑い夏の時期は、早朝のなるべく涼しい時間帯を選んで、トレーニングをするのも手です。
暑さになれるまでは、涼しい時間帯に軽いトレーニングを短時間から始め、徐々にトレーニング強度や時間を増やしていきましょう。
熱中症を回避する為にも、直射日光を避けた場所で運動したいところです。
なるべく屋内の施設で運動し、屋外しか使えない場合は、日陰での休憩時間を確保しましょう。
また真夏にウォーキングをするのであれば、プール内で行う「水中ウォーキング」もおすすめです。
室内プールを歩くのは涼しく、水中ならではの浮遊感も楽しめます。
その上、水の抵抗を体全体で受けながらウォーキングをすることで、通常のウォーキングではあまり使われていない腹筋や背筋なども鍛えることができ、より多くのカロリーを消費することも可能です。
1時間あたりの消費カロリーは、陸上でのウォーキングが約150kcalなのに対し、水中ウォーキングは約300kcalと約2倍の違いがあります。
涼しい水中で効率よく、トレーニングしてみては如何でしょうか。
夏場のトレーニングにおいて、注意が必要なのは熱中症です。
熱中症は、汗によって体内の水分や塩分が失われることで起こります。
症状は、めまいや頭痛、吐き気、全身倦怠感などです。
ひどい場合には脳や臓器がダメージを受け、意識障害やけいれんが起こることもあります。
汗からは水分だけでなく、塩分も排出されます。
「まだいける!」と思っていつもの運動メニューを続けていても、本人が自覚している以上に夏場は水分と塩分が失われています。
こまめな水分と塩分の補給がリスク回避の秘訣です。
トレーニング中やトレーニング後はもちろんですが、トレーニングの前にも水分と塩分補給を忘れずに!
日常のトレーニング時にアイシングを取り入れている人はまだ少ないのではないでしょうか。
アメリカなど海外では常識といってもよいほどスポーツシーンでアイシングが浸透しています。
アイシングの効果として、筋肉の緊張を和らげることで筋肉痛の予防が行えます。
また猛暑日には、暑くなりすぎた身体のクールダウンと「冷たくて気持ちいい」というリラクゼーション効果も期待できます。
アイシングで用意するのは、氷水とスポーツ用品店で取扱のある専用のアイスバッグです。
注意したいのは、食品用の保冷剤は使用しないことです。カチカチの保冷剤を使って冷やしすぎてしまうことにより、関節などを痛めてしまう恐れがあります。アイスバッグが無い場合は、タオルで代用可能です。
気温・湿度が高い日はそれだけで体力が奪われていくもの。 疲労した身体も熱中症につながりやすいです。
水分補給と同様に、運動メニューの間に休憩時間を挟み、意識して身体を休めましょう。
そして、しっかり確保したいのが、睡眠時間です。
「寝る子は育つ」と言われているように、睡眠中には成長ホルモンが多く分泌されています。
特に眠りについて1~3時間後に成長ホルモンの分泌が活性化されます。
成長ホルモンは体内の新陳代謝を促進し、身体の疲労回復に欠かせないもの。
よく休み、よく眠ることで翌日の運動に集中できる状態を維持できるでしょう。
暑さや湿気により食欲が低下する夏。
汗とともに体内の塩分が失われ、消化液の分泌が少なくなることで消化能力が落ちると考えられています。熱中症を防ぐ為に水分補給はもちろん大切ですが、水分ばかり摂りすぎるとさらに食が細くなりがちです。
強い身体をつくるためには運動だけでなく、栄養バランスの摂れた食事をしっかり摂ることを意識しましょう。
夏の暑さに負けない強い身体を作るために欠かせない栄養素を3つ挙げてみました。
①良質なたんぱく質
②ビタミンC
③ビタミンB1
それでは、順に見ていきましょう。
人間の身体は約60%の水分と20%のたんぱく質でつくられています。
筋肉や皮膚、臓器、血液もたんぱく質でつくられているのです。
強い身体をキープするには、たんぱく質が不可欠といえます。
暑さで食欲が低下すると、水気のある食べ物やあっさりした料理に偏り、食事量も減ってしまう方が多くいます。
素麺などが続くと、たんぱく質の摂取が不足してしまいます。意識的にたんぱく質を食事に取り入れましょう。
たんぱく質は、植物性たんぱく質と動物性たんぱく質があります。
植物性たんぱく質は、豆腐や穀物に含まれるたんぱく質です。
植物性たんぱく質は動物性たんぱく質と比較すると栄養価が劣ります。
一方、動物性たんぱく質は、畜肉、鶏卵、魚介類などに含まれるたんぱく質を指します。
たんぱく質に含まれている20種のアミノ酸の内、ヒトが合成できない9種のアミノ酸を必須アミノ酸と呼びます。
動物性たんぱく質はアミノ酸バランスがよい食材が多く、動物性たんぱく質の中でも、特におすすめしたいのが、魚肉たんぱくです。
魚肉たんぱくは、20種のアミノ酸をバランスよく含み、必須アミノ酸の含有率も理想的でアミノ酸バランス100です。
さらに、たんぱく質が豊富でありながら、脂肪分が少なく低カロリーな点にも注目です。
夏場は肉よりもあっさりとした魚料理の方が食が進むかもしれません。
また、ダイエットを目的に運動している方にも低脂肪の魚肉たんぱくに注目してもらいたいです。
ビタミンCは抗酸化力が強く、免疫力アップが期待できる栄養素です。
暑さで疲労を感じると、ストレス軽減のためにビタミンCを原料とするホルモンであるコルチゾールが大量に分泌されます。
コルチゾールには以下のような働きがあり、トレーニングをする際に必要不可欠なホルモンです。
・血糖値の上昇
・エネルギーの産生
・炎症やアレルギーの抑制
コルチゾールが不足すると、疲れやすくなりますので、暑さでコルチゾールが分泌されやすい夏場は特に、ビタミンCを意識して摂取する必要があります。
トレーニングで疲労感を感じたら、積極的にビタミンCを摂取しましょう。
ピーマンやブロッコリー、じゃがいもなどがビタミンCを多く含んでいます。
注意したいのは、ビタミンCは水に溶けやすく、調理すると失われやすいという点です。
野菜の中でも、ビタミンCがデンプンで覆われており、ビタミンCの流出の少ないじゃがいもを食べるとよいでしょう。
夏場になると途端にトレーニングでの疲労感が増え、トレーニングを長く続けられないという方は、ビタミンB1が不足しているのかもしれません。
ビタミンB1には疲労物質を分解したり、糖分をエネルギーに変換したり、食欲を増進させたりする作用があります。
しかし、ビタミンB1には水分に溶けやすく汗と一緒に流れやすいという性質があるので、汗を多くかく夏場はビタミンB1が不足しがちです。
トレーニングでの疲労感を減らし、他の季節同様のトレーニング量を維持するためにも、豚肉や卵、アボカド、玄米などから、ビタミンB1を摂取しましょう。
最後に、上記で紹介した栄養素を豊富に含むメニューを紹介します。
簡単にできるメニューばかりなので、気になるメニューは試してみてはいかがでしょうか。
カツオとブロッコリーのさっぱりサラダには、たんぱく質とビタミンCが非常に多く、たんぱく質は約25g、ビタミンCは約140mg含まれています。
暑さで食欲がないときには、さっぱりとしたサラダで栄養を取りましょう。
<主な食材>カツオのたたき/ブロッコリー/さしみ醤油/オリーブオイル/すりごま/
にんにく/生姜
1.ブロッコリーを食べやすい大きさに切り、ゆでます。
2.にんにくと生姜をすりおろします。
3.流水で冷ましたブロッコリーとカツオのたたき、別の容器で合わせた調味料を混ぜて、お皿に盛り付ければ完成です。
夏でもたくさん食べたいという方には、マグロ&アボカド丼がおすすめです。
ボリュームがある上に、たんぱく質が約40g、ビタミンCが約10mg、ビタミンB1が約0.7mg含まれており、夏に取りたい栄養素をまんべんなく摂取できます。
<主な食材>玄米/マグロの刺身/卵/アボカド/しらす/さしみ醤油/料理酒
1.アボカドを食べやすい大きさに切ります。
2.玄米の上にマグロの刺身とアボカド、卵の黄身を盛り付けます。
3.別容器で合わせた調味料としらすをかければ完成です。
自炊する時間がないというときには、レンジで簡単に作ることのできるサケ&ジャガイモの蒸し焼きはいかがでしょうか。
たんぱく質が約20g、ビタミンCが約30mg含まれており、手軽に夏に取りたい栄養素を摂取できます。
<主な食材>サケ/じゃがいも/醤油/料理酒/オリーブオイル/塩コショウ
1.じゃがいもを食べやすい大きさに切り、レンジ600wに3分かけます。
2.サケの両面に塩コショウをふり、料理酒を加えます。
3.耐熱容器にサケとじゃがいも、別容器で合わせた調味料を入れ、電子レンジ600wで5分かければ完成です。
今回は夏場のトレーニングのリスクについて、対策も含めてお伝えしました。
夏場は疲れがたまりやすく、熱中症のリスクもあります。
トレーニングの疲れを翌日にもちこさず、安全にトレーニングができるよう、夏に合ったトレーニングの方法と食事に気を配りましょう。