ロコモティブシンドロームとは立つ・歩くなどの機能が衰えた状態で、要介護の原因にもなります。健康に長生きするためには、運動や食事で身体の機能を維持し、ロコモティブシンドロームを予防することが大切です。この記事では、運動と食事によるロコモティブシンドロームの対策方法を解説します。
ロコモティブシンドロームとは、骨・関節・筋肉・神経などの運動器に障害が起こり、立つ・歩く・座るといった移動機能が低下した状態を指します。身体を思うように動かせなくなり、日常生活に支障が生じます。
ロコモティブシンドロームが進行すると、要介護状態や寝たきりになる可能性が高くなります。2019年の厚生労働省の調査によると、要支援・要介護状態になった人の約4分の1が運動器の障害が原因であったとされています。
高齢化に伴い、運動器の健康を長く保ち続け、障害を予防することが必要です。
ロコモティブシンドロームの主な原因は、加齢により運動器の機能が低下することです。年齢を重ねるごとに、筋肉や骨の量は徐々に低下していきます。
また、生活習慣が乱れると、筋肉や骨の量を維持するために必要な栄養素の摂取や物理的な刺激が不足し、筋肉量や骨量はより減りやすくなります。
加齢とともにみられる変形性関節症や変形性脊椎症、骨粗鬆症などの病気もロコモティブシンドロームの原因です。足の痛みやしびれから歩行が障害され、移動機能が低下します。
歩きにくくなることで外出を控えるようになり、活動量が減るためさらに筋肉量や骨量が低下する原因となって悪循環に陥ります。
筋肉量や骨量の減少は40代ごろから始まります。早いと40代からロコモティブシンドロームを発症する可能性もあるといわれています。ロコモティブシンドロームを予防するには、若いうちから対策を始め、筋肉量や骨量の低下を防ぐことが大切です。
若いうちからロコモティブシンドロームを予防する重要性が分かったところで、まずは現在の「ロコモ度」を確認し対策に役立てましょう。
「ロコチェック」は7つの質問に答えるだけで、運動器の能力を簡単に確認できる指標です。1つでも当てはまるとロコモティブシンドロームの可能性があります。
続いて「立ち上がりテスト」「2ステップテスト」「ロコモ25」の3つのテストでロコモ度を確認しましょう。ここでは、立ち上がりテストと2ステップテストをご紹介します。
脚の筋力を測るテストです。座った姿勢から立ち上がれるかどうかでロコモティブシンドロームの進行度を判定します。40cm、30cm、20cm、10cmの台を用意し、40cmの台から始めましょう。
立ち上がれたら、片脚ずつ同様にテストします。どちらの脚でも立ち上がれた場合は、10cmずつ低い台に移動して片脚ずつテストを続けましょう。立ち上がれなかった場合は、10cmずつ低い台に移動して両脚でテストを続けます。立ち上がれた一番低い台がテスト結果です。
ロコモ度1では、移動機能の低下がみられます。進行を予防するために、運動や食事での対策を始めましょう。ロコモ度2以上では、移動機能の低下が進行している状態です。運動器の痛みや病気の恐れがある場合は、整形外科への受診も検討しましょう。
歩幅を調べることで、脚の筋力やバランス力などの歩行能力を測定するテストです。
2回行って良かった方の値を採用し、身長で割り「2ステップ値」を算出します。
足腰を鍛え、いつまでも健康に元気に歩ける身体を作るには運動が欠かせません。ロコモティブシンドロームを予防するための運動として「ロコトレ(ロコモーショントレーニング)」をご紹介します。
どの種目も道具は不要で、簡単にできる運動ばかりです。習慣的に行い、身体作りに役立てましょう。
ロコトレは「片脚立ち」と「スクワット」のたった2種目で構成されています。まずはこの2つの運動を日常生活の中に取り入れて実施してみましょう。
歩くために必要なバランス能力を鍛えます。片脚を床につかない程度に上げ、1分間保ちます。左右それぞれ1日3回の実施が目安です。転倒しないよう、机などつかまるところがある場所で行いましょう。
脚の筋肉を鍛える運動です。足を肩幅に広げて立ち、お尻を後ろに引くように、2~3秒かけてゆっくりとひざを曲げ、ゆっくり元に戻ります。5~6回で1セット、1日3セットが目安です。
スクワットが難しい場合、机に手をついて椅子に立ったり座ったりする動作を繰り返します。
さらに筋力アップを目指し、ロコモティブシンドローム対策を強化したい場合は、「ヒールレイズ」と「フロントランジ」がおすすめです。体力に合わせて実施してみましょう。
ふくらはぎの筋力をつける運動です。両脚で立った状態でかかとを上げ、ゆっくりかかとを下ろします。1セット10~20回、1日2~3セットが目安です。
バランスを崩しやすい場合は、椅子の背もたれなどに手をついて行ってください。さらに負荷をかけたい人は、片脚ずつ実施してみましょう。
脚の筋力やバランス能力などを高めるトレーニングです。腰に両手をついて両脚で立ち、脚を大きく前に踏み出します。太ももが水平になるくらいまで腰を深く下げた後、身体を上げて脚を元に戻します。1日5~10回を2~3セットが目安です。
自治体や病院などで、ロコモティブシンドローム予防に向けた独自の運動が実施されています。ロコトレの要素を取り入れ、音楽に合わせて楽しくできるよう工夫されているものもあります。
動画サイトでも公開されているので、自分に合った体操を楽しく日常生活に取り入れてみましょう。
ロコモティブシンドロームを予防するには運動だけでなく、食事から筋肉や骨の材料になる栄養素をとる必要があります。また、エネルギーが不足すると筋肉の分解が進んでしまうため、エネルギー源を食事からしっかりとることも大切です。
ここではロコモティブシンドロームを予防し、健康を保つ食事のポイントを4つ解説します。
筋肉を作る主な栄養素はタンパク質です。魚介類や肉類、卵、大豆製品、乳製品に多く含まれています。
また、筋肉を動かすエネルギー源となる炭水化物や脂質、タンパク質の代謝を助けるビタミンB6も合わせてバランス良くとることが、ロコモティブシンドロームの対策として大切です。
骨の主成分はカルシウムです。カルシウムが多く含まれる代表的な食品は、牛乳や乳製品です。それ以外にも、小松菜などの緑黄色野菜、小魚や大豆製品からもカルシウムがとれます。さまざまな食品を取り入れることで、1日の必要量を満たすのに役立ちます。
さらに、ロコモティブシンドローム対策として骨を強くするにはタンパク質やビタミンD、ビタミンKなどの栄養素も必要です。ビタミンDは魚介類やきのこ類、ビタミンKは納豆やブロッコリー、ほうれんそうなどに多く含まれます。
筋肉や骨を作るために必要な栄養素を十分に摂取するには、さまざまな種類の食品を取り入れることが大切です。多くの種類の食品を習慣的にとっている人ほど、歩行速度が速く、ロコモティブシンドロームのリスクも少ないことが知られています。
「さあにぎやか(に)いただく」を合言葉にすると、身体づくりに必要な食品の種類を揃えられます。ロコモティブシンドローム予防のため、毎日とっている食品の種類が7つ以上になるよう目指してみましょう。
「さあにぎやか(に)いただく」の食品群を組み合わせてバランス良く食べるには、主食・主菜・副菜を揃えた献立にすることが大切です。
さらに乳製品や果物を1日1回取り入れると、ビタミンやミネラルの補給に役立ちます。
ロコモティブシンドローム対策としての栄養の摂取は、1日3食の食事からが基本です。ただし、食欲がなく食事量が十分にとれないなどの理由でタンパク質摂取が不足する場合は、サプリメントで補う方法もあります。
「サカナのちからS」は、健康で若々しく暮らしたい方をサポートします。
魚の良質なタンパク質から作られた魚肉ペプチドを手軽に摂取できるサプリメントです。
ペプチドとは、たんぱく質が分解されてアミノ酸が数個まとまっている状態のことを言います。アミノ酸をまとめて取り込めるので、効率的に体内に補給することができます。
ロコモティブシンドロームは、運動器の障害により移動能力が低下した状態を指します。放置すると日常生活に支障が現れ、要介護状態につながる可能性があります。ロコモティブシンドロームを予防するには、若いうちからの対策が重要です。まずは運動を習慣づけ、身体能力の維持向上を目指しましょう。
また、筋肉や骨を作る栄養素をとるために、バランスの良い食事を心がけることも大切です。ロコモティブシンドロームを予防し、将来にわたって健康的な毎日を送れるよう、今から生活習慣を見直してみましょう。