オーナーのコアゼ ユウスケさんは、世界中から訪れたゲストたちからレコードを受け取り、集めている。小田原にゲストハウスは数あれど、ここまで多くの国から集まった音楽を聞けるバショはなかなか見当たらないだろう。そんなTipyは小田原駅の近くの古民家やアパートの一室を改修し、このバショに訪れたゲストが音楽と共にゆったりと過ごせる部屋を提供している。
多くの国から集まった音楽がそのゲストハウスを盛り上げる
小田原駅から歩いて5分もしない距離にTipy records innはある。Tipyは4棟8部屋からなるゲストハウスで、空き家や古民家を改修して様々なテイストの部屋を用意している。
特筆すべきは「音楽色の強さ」。海外から訪れた旅人から集めたレコードの数々が部屋には置かれており、これは宿泊時にCDやレコードを寄贈すると500円ディスカウントされる独自のサービスによって受け取ったものだ。
中には普通のレコードショップでは見られないような、かなりニッチな海外バンドのCDなどを受け取ることもあるといい、音楽鑑賞と共にゲストがそのCDを持ってきた経緯や思い出話などを聞くのもおもしろい。
この音楽色の強さは、オーナーのコアゼさんが学生時代から励んできたバンド活動にルーツがある。それは彼が青年時代から通い続けたという地元のレコードショップがなくなったことがきっかけで、「自分以外の人はもう、私のようにレコードとの出会いの場がなくなってしまうのだろうか」と思い、そこから誰もが音楽と隣り合える場所をつくりたいと思ったことがはじまりだという。
そんなコンセプトのTipyは観光に訪れたあらゆる人に新しい音楽との出会いを提供している。
思わず写真に収めたくなる、コンセプトが光る部屋
Tipyは複数の形態でゲストハウスを展開しており、今回紹介する「Tipy records inn」はキッチン、トイレ、お風呂が共用の一軒家個室タイプの部屋を提供している。
「natural(ナチュラル)」、「retro(レトロ)」「vintage(ヴィンテージ)」「tatami(タタミ)」のまったく異なるテイストの4部屋が1棟に連っており、ゲストはプライベートの時間をそれぞれの個室で、共用のキッチンでは他の旅人たちとのコミュニケーションを過ごすことができる。
「natural(ナチュラル)」の部屋は全体的に自然を感じることのできるインテリアの数々が特徴だ。廃材を利用してつくったというテーブルや、壁掛けのドライフラワーのリースなど、それぞれのインテリアからは自然のやさしさを感じられる。
「tatami(タタミ)」の部屋はダークグリーンの壁紙とシックな木材の色調が全体的に落ち着いた雰囲気をもたらす。布団3枚を横に敷いて眠ることができる空間は、日本人ならどことなく馴染みやすく、海外からのゲストからも特に人気の高い一室だ。
いずれの部屋に「古材」を使っているのも、心安らぐ空間を作りたいというコアゼさんの想いが表れている。より身近な日本らしさを感じてもらいたいと、どことなくなじみやすさを感じる材木をつかうことにコアゼさんは注力したのだ。
部屋を貸すだけに留まらず、地域の良さを「足」で伝える活動も
Tipyは小田原市との協力の元、「お試し移住体験」も実施している。小田原への移住を検討している方に2泊3日で小田原ならではの暮らしを知ってもらう企画だ。コアゼさんが住人こそ知りえるローカル情報を、街中を歩きながら伝えていく。これまでにこのサービスを利用した50組の中で、17組以上のゲストが移住を決めているというから驚きだ。
なかでもサービスの滞在中に家を購入する方もいたというほどで、小田原に移住したいと思っているものの、現地の様子を詳しく知りたいと迷っている方にはぜひお勧めしたいサービスだ。
とはいっても、移住を決断することは難しいことだとコアゼさんは話す。少しでも小田原の移住を考える方の不安を取り除き、前向きに移住を決断できるようになってもらうために、お試しの機会を提供し続けたいという。
目指すのは、訪れる誰もが小田原を好きになってくれること
観光や移住を考えるあらゆる人たちに向けて、様々なサービスを展開しながら、過ごしやすい部屋を提供するゲストハウス、Tipy records inn。誰もが小田原を好きになれるように日々邁進するコアゼさんだからこその提案がTipyにはあり、その多くの提案を許してくれるこの地域のヒトの良さが、小田原の最大の魅力なのだという。
この地域のあらゆる魅力をゲストにつたえるため、これからも活動を続けるTipyにぜひ訪れてみてはいかがだろうか。
Tipy records inn
〒250-0011
神奈川県小田原市栄町 2-4-13
電話:050-3627-9927
https://tipyrecordsinn.com/