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小田原の未来を見据え行政とも掛け合う喫茶店オーナー

「ケントスコーヒー」代表 平井丈夫さんに聴く

2022.08.30
小田原の未来を見据え行政とも掛け合う喫茶店オーナー

御幸の浜のほとりで喫茶店を営む平井丈夫さん。喫茶店のオーナーという立場に留まらず、小田原に住むひとりとして、まちのために積極的に提案を重ねている彼の内面に迫る。

いまに至るまでの道のり

「興味や好奇心の赴くまま、『喫茶店』に関わり続けた40余年です」

「喫茶店に関わるきっかけとなったのは、僕が高校3年生の頃でした。百貨店で販売員のアルバイトをしていた時に、他店舗にとてもオシャレな憧れの先輩がいて、その人が『ミッシェル』という喫茶店をはじめると言い出したんです。

で、『ぜひ一緒に働かせてほしい』と申し出てアルバイトとして働きはじめたことがすべてのはじまりでした。大学卒業後は某ホテルに就職し、一度喫茶店を離れましたが、結局『ミッシェル』のメンバーと独立して、『小田原珈琲館』という新しい喫茶店を開業したんです。

オイルショックの就職難の時期だったこともあり、せっかく手にした職を手放すことに当然、親は反対しましたがやりたいことの為にとにかく頭を下げて説得しました。

当時の僕は23歳。創業メンバーのみんなで喫茶店の場所決めから店内で流す音楽、内装の図面なんかを話し合って決め、自分たちだけのお店をつくっていったわけですが、それはもう本当に楽しかったですよ。

お店をオープンしてからは店内でライブをやったり、スキーツアーを催したりと、様々なイベントを企画しました。このときに『やりたいことは、できるんだ』と学んだんですよね。結局「小田原珈琲館」では10年間働き、その後に独立して「ケントスコーヒー」を設立して今に至るんですが、これまでの40年はとにかく濃密な喫茶店人生でしたね」

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客観的に見て、自身はどんなヒトなのか?

「とにかく人が好きなんです。
コミュニケーションが生まれる場を常につくってきた人生かなと」

「今思えば『ミッシェル』に参加したのは仲間と何かを成し遂げたい、という気持ちがあったからだと思うんです。それがいつしか、喫茶店という仕事を続けるうちに、ヒトが集まってワイワイできる場所を提供したいという側にまわって今にいたる。

つまり、単純に僕はヒトが好きなんでしょうね。かれこれ40年以上喫茶店を続けている理由に最近になって気づきはじめたんですよね。

というのも実は僕、喫茶店以外にも仕事というか、活動をしていまして。自分のお店にまったく関係ないことだったとしても、街自体に人が集まってくるようなプロジェクトがあれば、なるべく顔を突っ込むようにしているんです。

たとえばいままでに「商店街づくり」や国登録有形文化財の「清閑亭」のリフォーム、そして小田原市民や観光客向けの憩いの場である「なりわい交流館」の設立提案など、さまざまなことに携わってきました。

よく、なぜそんなことをしているのかと聞かれるのですが、つまるところそういうことなんじゃないかなと」

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喫茶店オーナーとして最も大事にしていること

「目指すのはコミュニケーションを育む、街の喫茶店ですね」

「お客様とのコミュニケーションを大切にする喫茶店にしたいと思っています。ケントスコーヒーに訪れるお客様はそうですが、小田原に訪れた方とのコミュニケーションを育む場所にしていきたいんです。

たとえば、僕は『てくてく小田原まち歩き』という企画を運営していまして、小田原の魅力や歴史に触れながら、観光にいらした方や移住を考えている方を集めて一緒に散策するんです。地元に住む僕だから見える視点を共有しながら、写真や動画で見るもの以上の魅力を伝える。そうやって小田原に訪れる方々に魅力を伝えられるバショにしていきたいなと思っているんです。

元々僕は誰かとつながることが好きなので、これからも小田原での長い喫茶店人生で感じた僕の思う小田原の良さを伝えるため、コミュニケーションを大事にしていけたらと思います」

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これからの展望

「やりたいことは実現できることを知っているので、これからも続けていきたいですね」

「もちろん喫茶店は継続していきたいです。御幸の浜を臨むこのバショで、小田原の魅力を発信しつづけたいですね。

そしてもうひとつは、やはり『まちづくり』です。これまでも小田原のための数々の提案をしてきましたが、新しく実現したいものもあります。たとえば御幸の浜にハイウェイオアシスを建設するような提案などですね。小田原市街へのアクセスを簡易化する目的もありますが、海を一望できる物見櫓を設置したり、新しい駐車場を新設したりと、小田原に来る人たちが楽しめるような夢のある提案です。

すでに市には案を提出していますが、実現するにはまだ時間がかかるでしょうね。けれどきっと、今までと同じように『やりたいことは実現できる』と信じていきたいと思っています」

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ヒトに伝えたい小田原の魅力

「ほどほどにバランスのよい街であること、そしてヒトのよさ。
この一言に尽きます」

「小田原に来る方々がみんな言っていることと僕の思うことは結局一緒で、小田原は『バランス』がいいんです。海があり山があり川があり、気候も温暖で交通の便もよい。それでいて都会的な部分もありながら、田舎的な部分も内包している。車で15分も走れば箱根の温泉があって、電車で30分程度で東京までいけちゃう。このように程々にバランスのいい街だと思うんです。ないものと言えば飛行場くらいじゃない?(笑)

けど結局同じような魅力を持つ土地って、全国を見ればどこにでもあるんですよね。名所旧跡の観光スポットって全国をみれば小田原だけに限った話じゃないんです。だから土地の魅力って結局、そこに住むヒトの魅力だと思うんです。いかにその土地の人たちと関係をつくることができるか、そしてそのヒトたちの魅力で『あの人に会いにこう』となれるかが、とても大事だと思うんです。

そして僕自身もそういったヒトになれれば幸いですね。これからも小田原に住むひとりとして好きなこと、やりたいことを実現する日々を送れればと思います。」

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まとめ

かまぼこ通りの近くを通る度に『平井さん、いるかな?』とケントスコーヒーを覗いてしまう筆者。それは、また話がしてみたい、と素直に思える魅力が平井さんにあるからだろう。
小田原の本当の魅力に触れるひとときを、ケントスコーヒーで過ごされてはいかがだろうか。

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