魚肉ペプチドには血圧上昇抑制効果がある
目的
近年、食品タンパク質由来ペプチドが血圧降下作用や代謝促進、疲労回復効果など様々な生体調節機能を有することが明らかとなってきた。本研究では魚肉タンパク質を酵素分解して得られる魚肉ペプチド(FP) の血圧上昇抑制効果について検証した。
1) FP摂取による高血圧自然発症ラット(SHR)の血圧変化
【方法】
高血圧自然発症ラット(SHR)を用い、通常の餌を摂取する群(Control)とFPまたは大豆ペプチド(SP)を通常の餌に加えて日常サプリメントとして摂取する群に分け、約3ヶ月間実験した。
【結果】
コントロールやSP摂取群と比較して、SHRの血圧上昇が抑制された(図1)。
2) FP摂取によるヒトの血圧変化
【方法】
生活習慣病予備軍として収縮期血圧135mmHg以上、もしくは拡張期血圧85mmHg以上の成人14名を選び、日常の生活制限なしにFP1日3gを継続摂取した。血圧は家庭用血圧計によりほぼ同時刻に測定した。
【結果】
被験者の血圧が収縮期・拡張期ともに有意に低下した(図2)。
まとめ
高血圧自然発症ラットにFPおよびSPを含む餌料を8週間与えた。その結果、FP摂取ラットでは血圧の上昇が抑制されることがわかった。また、(血圧が高めの生活習慣病予備軍)被験者14人に1日3gずつFPを2ヶ月間摂取してもらった。その結果、被験者の血圧は低下することがわかった。これらの研究から、FPはラットだけでなくヒトにおいても血圧上昇抑制効果を示すことがわかった。
実験協力&データ提供:神奈川歯科大学 生体管理医学講座 薬理学分野・ESR研究室 李昌一教授