忙しくて食べる時間がない、お腹が空かないなどの理由で朝ごはんを抜いていませんか?筋トレで筋肉を効率よく増やすには、朝ごはんが欠かせません。また、食べる内容やタイミングも重要です。この記事では、筋トレ時の朝ごはんにおすすめのタイミングや食べ方、簡単に用意できるメニューを紹介します。
筋トレをする人に朝ごはんが必要な理由
筋トレによって効率よく筋肉を合成するには、朝ごはんが欠かせません。その理由を詳しく紹介します。
筋肉の分解を防ぐため
筋肉は常に分解と合成を繰り返し、新しい筋肉に作り替えられています。食後は分解より合成が多く行われるため、筋肉量が増えます。反対に、空腹時は合成より分解される量が上回るため、朝ごはん抜きでは筋肉の分解が進む時間が長くなってしまうのです。
特に早朝など午前中に筋トレを行う場合、筋肉を分解して得たエネルギーでトレーニングを行うことになるため、かえって逆効果になりかねません。
筋肉の分解を防ぎ、活動に必要なエネルギーを十分に確保するためにも、筋トレ時にはきちんと朝ごはんを食べましょう。
1日に必要なタンパク質を十分に摂取するため
タンパク質は筋肉の主な原料です。筋トレによって筋肉を増やすには、タンパク質の十分な摂取が必要です。1日に必要なタンパク質量を昼・夕の2食で補うのは難しいため、朝ごはんからタンパク質を補給しましょう。
筋トレ後24時間以内のタンパク質摂取が大事
筋トレの刺激によって、タンパク質の合成作用が高まります。この働きは筋トレから24時間持続することが分かっています。筋トレ前後だけでなく、翌日の朝ごはんを含めた1日の食事で、タンパク質の必要量をしっかりとることが大切です。
1日に必要なタンパク質の量
厚生労働省の定めた「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1日のタンパク質の摂取推奨量を成人男性(64歳まで)では65g、成人女性では50gと設定しています。1食20gとよくいわれるのは、この値が理由です。
ただし、これは体のタンパク質量を維持するための量です。筋トレで筋肉を増やしたい人は、さらに多くのタンパク質を摂取する必要があります。
必要量は筋トレの強度によって異なりますが、1日に体重1kg当たりタンパク質約1.6gまでは摂取量に応じて筋肉が増えるとされています。このことから、自分の体重に1.6gをかけた量をひとつのタンパク質摂取の目安とするとよいでしょう。
朝のタンパク質摂取が筋トレ効果を高めるため
タンパク質は摂取量だけでなく、摂取する時間帯によっても筋肉の合成量が変わることをご存じでしょうか?
1日で同じ量のタンパク質を摂取した場合でも、夕食で多くのタンパク質をとるより、3食で均等にタンパク質をとったほうが筋肉量が増加するといわれています。朝ごはんはついタンパク質が少なくなりがちなので、意識してとることが筋肉を増やすためには重要です。
この働きは、体に備わっている体内時計のシステムが影響していると考えられています。体内時計によって、体の機能は24時間周期で変動します。夜に眠くなり、朝に目が覚めて活動を始めるサイクルがその代表です。
栄養素の消化や吸収、代謝機能も時間帯によって効率が異なるので、筋トレ時は食事をとるタイミングや内容にも気を配りましょう。
筋トレの効果を高める朝ごはんのポイント
筋トレの効果を高めるためには、朝ごはんの内容やタイミングにも工夫が必要です。何をどのように食べれば筋肉合成を効率よく行えるのでしょうか?ここでは、筋トレ時の朝ごはんのポイントを解説します。
良質なタンパク質をとる
筋タンパク質の合成を促進するには、良質なタンパク質の摂取が必要です。タンパク質を構成する20種類のアミノ酸のうち、体内で合成できず食事から摂取しなければならない「必須アミノ酸」が9種類存在します。
必須アミノ酸のうち1種類でも不足すると、筋タンパク質は効率よく合成できません。このことから、9種類すべての必須アミノ酸をバランスよく含むタンパク質が、筋肉合成に役立つ「良質なタンパク質」といえます。
タンパク質の質を表す指標は、必須アミノ酸のバランスを示す「アミノ酸スコア」です。魚や肉、卵、大豆や牛乳は、いずれもアミノ酸スコアが満点の100で、良質なタンパク質を含む食材です。これらの食品を筋トレ時の朝ごはんに取り入れ、筋肉合成に役立てましょう。
最近では、新しいタンパク質の評価指標として「DIAAS(消化性必須アミノ酸スコア)」が用いられています。DIAASは必須アミノ酸の消化吸収率を考慮して求められているため、アミノ酸スコアより正確にタンパク質の栄養価を比較できます。
タンパク質と糖質を組み合わせる
朝ごはんは、タンパク質だけでなく糖質も合わせてとりましょう。活動のエネルギーを糖質から確保することで、筋肉の分解や筋トレによる損傷を防げます。また、タンパク質と糖質を合わせてとることで、体内時計の時刻を合わせる効果が高まることもおすすめする理由のひとつです。
タンパク質源となる食材に、ごはんやパン、麺などの糖質源を組み合わせてとりましょう。具体例は後ほど説明します。
起床後1時間以内にとる
1日のリズムを刻む体内時計は周期が24時間よりやや長いため、毎日時刻合わせを行う必要があります。朝起きて太陽の光を浴びることで毎朝時刻合わせがされ、さらに朝ごはんをとることで時計の時刻が全身の臓器に伝わり、正常なリズムで機能するようになります。
この時刻の同期を正しく行うには、起床後時間を空けずに朝ごはんを食べることが大切です。目安として起床後1時間以内にとるとよいでしょう。
筋トレ直前の朝ごはんは消化のよいものをとる
朝ごはんを食べた直後に運動すると、筋肉へ血液が集中し胃腸への血流が減少することで消化不良になる恐れがあります。そのため、可能であれば筋トレの約2時間前までに朝ごはんを済ませておくのが理想です。
時間の都合で筋トレの直前に朝ごはんを食べる場合は、消化によいものを食べましょう。脂質が少ないものや温かいもの、軟らかく煮たものがおすすめです。
朝ごはんにおすすめの簡単メニュー
筋トレで忙しい朝でもタイミングを逃さずに朝ごはんを食べるには、具体的に何を選ぶとよいのでしょうか?タンパク質と糖質を合わせてとれる食材を組み合わせた、簡単なメニューを紹介します。
家で作れる簡単メニュー
家で火を使わずに作れる、筋トレ時におすすめの朝ごはんメニューを3つ紹介します。
サバのみそ煮うどん
冷凍うどんを使えば、朝から簡単にうどんが食べられます。電子レンジで解凍した後、サバのみそ煮缶を汁ごとかけ、めんつゆを少量加えるだけで完成です。市販のカットサラダを載せサラダうどんにすると、栄養価がよりアップし筋トレ効果が高まります。
卵かけ納豆ごはん
卵と納豆は、そのまますぐに食べられる便利な食材の代表です。どちらも筋トレに嬉しいタンパク質を豊富に含んでいます。ごはんからは主に糖質がとれ、活動のエネルギーと筋肉の材料をしっかりと補えるでしょう。
白米に玄米や雑穀を混ぜたものにすると、ビタミンやミネラル、食物繊維など他の栄養素も補えます。
ツナチーズトースト
ツナ缶などの魚の缶詰も、手軽に活用できるタンパク質食材です。缶詰のツナをマヨネーズで和え、チーズを載せてトースターで焼きます。筋トレとダイエットの両方を考えて低カロリーに抑えたい方は、ツナはオイル漬けではなく水煮のものを選ぶのがおすすめです。
余力があればトマトソースを塗る、スライスした玉ねぎをトッピングするなど、アレンジしてもおいしく食べられます。
コンビニで買える組み合わせ例
早朝から深夜までいつでも買えるコンビニは、忙しくても筋トレの効果を高めたい人の強い味方です。前の日の夜や、出勤前などに買って手軽に朝ごはんを食べましょう。何を組み合わせたらよいか、おすすめのメニューを3種類紹介します。
おにぎり+サラダチキン
おにぎりからは主に糖質、サラダチキンからはタンパク質がとれます。スティック状のサラダチキンバーを選ぶと、時間がない朝でも食べやすいでしょう。サラダチキン以外にも、かまぼこバーや豆腐バーなども筋トレ前の朝ごはんにおすすめです。
おにぎり+おかずサラダ
筋トレ前に朝ごはんを食べる時間がしっかりとれる場合は、鶏肉やツナなどの入ったおかずサラダをおにぎりと組み合わせるのもおすすめです。野菜に含まれるビタミンやミネラルは、筋肉を動かす助けになります。
ミックスサンドイッチ+ギリシャヨーグルト+バナナ
朝はパン派の人におすすめの組み合わせです。サンドイッチのツナやハム、卵からタンパク質がとれますが、これだけでは不足するので高タンパクヨーグルトから補いましょう。サンドイッチに脂質が多く含まれるため、ヨーグルトは低脂質のものを選び低カロリーに抑えます。
朝ごはんを食べるための工夫
筋トレに朝ごはんが大事と分かっていても、時間がない、お腹が空かないなどの理由で食べられていない人もいるでしょう。食べられるようにするには、何から始めたらよいのでしょうか?ここでは、朝ごはんを食べるための簡単な対策を3つ紹介します。
夕食を軽めにする
夕食の時間が遅い、量が多い、または消化に悪いものを食べた場合、翌日の朝まで消化が進まずお腹が空いていない可能性があります。また、遅い時間帯の食事は体脂肪になりやすいため、夕食の量とカロリーを控えることは筋トレだけでなくダイエットにも役立ちます。
夕食は脂質の少ない消化によいものを選び、食べ過ぎを控えましょう。夕食を少し残して朝ごはんに回すのもおすすめです。
まずは飲み物から始める
朝からお腹が空かずに食事をとれない場合は、飲み物を飲むことから始めましょう。
タンパク質を含む牛乳や豆乳、プロテイン飲料、アミノ酸入りのゼリー飲料などがおすすめです。特に牛乳は、筋タンパク質の分解を抑制する作用や、筋肉痛を軽減し筋トレ後の筋力を早く回復させる働きがあります。
体内時計のリズムが正常であれば、朝ごはんを食べる前から胃腸が動き出すため空腹を感じます。しかし、長年朝ごはんを食べていないと体内時計が乱れており、朝に空腹を感じにくい体になっているのです。
朝に何かしら飲食をする習慣をつけ、体内時計のリズムを整えると、お腹が空いて朝ごはんを食べられるようになります。まずは飲み物から始め、少しずつ食べる量を増やしていくとよいでしょう。
すぐに食べられるものを準備しておく
朝から料理をする時間がない場合は、すぐに食べられるものを準備しておきましょう。前日の夜におにぎりを作る、サンドイッチを買っておく、サラダチキンを買い置きするなど、無理なくできることを探してみましょう。さっと摂取できて便利なサプリメントを用意しておくのもひとつの手です。
タンパク質を手軽にとるには、鈴廣かまぼこのFPB(フィッシュプロテインバー)もおすすめです。
また、朝ごはんに一品小鉢をプラスしてタンパク質を補う方法もあります。栄養豊富な美味しいかまぼこを、毎日手軽に取り入れるのもよいでしょう。
朝ごはんでタンパク質をとり、筋トレの効果を高めよう
朝ごはんは身体活動のエネルギーを補給し、筋肉の分解を防ぐために大切です。また、3食から均等にタンパク質をとることで、筋肉の合成量を高めることもできます。筋トレと合わせて、朝ごはんでタンパク質と糖質を補給することが筋肉作りに役立ちます。
何をどのように組み合わせて食べればよいかを知り、今回紹介したメニューを参考に、コンビニも活用して筋トレ時に朝ごはんを手軽に取り入れましょう。
朝ごはんが食べられない場合は、それぞれの理由に合わせた対策が大切です。時間がない場合は簡単に食べられるものを準備しておく、お腹が空かない場合は前日の夕食を調整する、まずは飲み物だけでもとるなど、少しでも食べられるよう工夫してみましょう。