2022.02.22

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タンパク質を分解する消化酵素を解説。種類や働きを理解して摂取すべき食物を考えよう

タンパク質を分解する消化酵素を解説。種類や働きを理解して摂取すべき食物を考えよう

消化酵素は食物の消化に重要な働きをしますが、この消化酵素の作用を助ける酵素を持つ食べ物を知っていますか。この記事では、タンパク質の消化・吸収を中心に、消化酵素の働きや栄養素の分解を助ける酵素を持つ食べ物などについて解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

タンパク質の働き

「エネルギー産生栄養素」として働く栄養素のひとつがタンパク質です。

エネルギー産生栄養素は、その名のとおり体にとって不可欠なエネルギー(カロリー)を作り出す栄養素のことを指し、「タンパク質」のほか「炭水化物」「脂質」がエネルギー産生栄養素に該当します。

タンパク質はエネルギー源となる以外にも、筋肉や皮膚などを構成している成分としても知られているほか、身体の機能を調整する栄養素としても重要です。

私たちは通常、肉や魚、卵、穀類、豆類などの食品から、タンパク質を適切に摂取できていると考えられています。

しかし、何らかの原因によりタンパク質が適切に摂取されず不足してしまうと、筋力の低下を招いたり肌のトラブルを引き起こしたりする可能性があります。タンパク質は身体機能の調整や免疫力にも関わる栄養素であるため、不足すると体調不良の原因となってしまう恐れもあるのです。

タンパク質が不足するとどんな影響があるのか詳しく知りたい方は、こちらのタンパク質不足で起こる不調をまとめた記事をご覧ください。

タンパク質を分解する「消化酵素」とは

私たちは食物を消化し、そこに含まれているタンパク質や炭水化物、脂質などを吸収することで栄養成分として利用しています。

この「消化」の過程で働くのが「消化酵素」です。ここでは、タンパク質を分解する消化酵素を中心に、消化酵素の働きや種類などについて詳しく解説していきます。

胃などから分泌され食物の消化吸収に必須の成分

食物から摂取するタンパク質などを体内に取り込むために不可欠な成分が「消化酵素」です。食物に含まれる栄養素は、胃や膵臓、小腸などの消化器官から分泌されるさまざまな種類の消化酵素によって、吸収可能なレベルになるまで分解されます。

消化酵素は「タンパク質分解に関わる酵素」「デンプン分解に関わる酵素」「脂肪分解に関わる酵素」に大別され、なかでもタンパク質を分解する酵素の総称が「プロテアーゼ」です。プロテアーゼには「ペプシン」や「トリプシン」「ペプチダーゼ」などの種類があります。

※参考
○タンパク質分解酵素以外の消化酵素
デンプン分解酵素として、唾液や膵液に含まれる「アミラーゼ(ジアスダーゼ)」、脂肪分解酵素としては膵液に含まれる「リパーゼ」など、いろいろな種類の消化酵素があります。

タンパク質をアミノ酸に分解する

タンパク質は20種類の「アミノ酸」によって構成されています(※1)。

「ペプチド」はアミノ酸同士が「ペプチド結合」 によりつながったものです。一般的にアミノ酸が2〜数十個つながったものをペプチド、それ以上結合したものをタンパク質と呼ぶことが多いようです。(※2)(※3)

タンパク質は栄養素として利用されますが、そのままの形では分子サイズが大きすぎて直接体内へは吸収されません。そこで活躍するのがタンパク質を構成するアミノ酸同士の結合を切断する消化酵素です。

消化酵素の働きによりタンパク質が分子サイズの小さいペプチドやアミノ酸にまで分解され、小腸から吸収されます。

(※1)アミノ酸|魚肉たんぱく研究所

(※2)タンパク質とは|魚肉たんぱく研究所

(※3)ペプチド|魚肉たんぱく研究所

タンパク質の代謝経路

食物から取り込まれたタンパク質は、体の中でどのように消化・吸収されていくのでしょうか。ここでは、タンパク質の消化・吸収について詳しく解説します。

【胃】ペプシンの作用によりサイズの小さいタンパク質やペプチドに分解される

タンパク質を含んだ食物が口の中で噛み砕かれて胃に送られてくると、胃の内壁から分泌される「ペプシノーゲン」が胃酸により活性化されて消化酵素に変化します。これが 「ペプシン」です。

多くのアミノ酸がつながったタンパク質は、胃で分泌されたペプシンの作用によりペプチド結合が切断され、サイズが小さくなります。(※4)

(※4)アミノ酸やペプチドってどんなもの?|公益財団法人 日本食肉消費センター

【十二指腸】トリプシンなどの作用によりさらに分解される

次に十二指腸に送られた食物は、消化酵素の働きによりさらに吸収されやすい形に分解されます。

膵臓から分泌された「トリプシノーゲン」や「キモトリプシノーゲン」が十二指腸に流れ込むと、それぞれ「トリプシン」と「キモトリプシン」という消化酵素に変化します。このトリプシンやキモトリプシンの作用により、さらにペプチド結合が切断され、アミノ酸のつながりが短くなっていきます。

【小腸】ペプチダーゼの作用を受けアミノ酸となり吸収される

十二指腸から小腸へと進んだタンパク質(ペプチド)は、小腸粘膜の上皮細胞から分泌されるアミノペプチダーゼやジペプチダーゼの作用を受け、さらに小さいサイズのペプチドもしくはアミノ酸まで分解されると同時に吸収されていきます。

吸収されたアミノ酸は肝臓へ運ばれ、主に身体のタンパク質の合成に使われますが、一部のアミノ酸は体内に蓄えられます。

そして、血液に乗って全身へと運ばれ、さまざまな効果を発揮しているのです。

ペプチドでできた「サカナのちから」は吸収が速くベストなタイミングでタンパク質を摂取できる

サカナのちから錠剤
魚肉ペプチドでできたサプリメント「サカナのちから」は、幅広い世代に活用していただけます。私たちにとって不可欠な栄養素であるタンパク質ですが、消化・吸収を経て体内で利用するためには時間がかかります。

「サカナのちから」は、魚のタンパク質を酵素で分解して「ペプチド」と呼ばれる状態にしたサプリメントです。通常、食べた魚は分解されながら体内に吸収されるのに3~4時間かかります。

しかし、魚肉ペプチドならあらかじめ分解してあるので、摂取後30~40分程で吸収することができます。必要なタイミングでより効率よくタンパク質を摂取できるでしょう。

魚肉ペプチドがおすすめな理由を詳しく知りたい方は、魚肉ペプチドに関するインタビュー記事をご覧ください。

タンパク質分解に関わる酵素は食物で補充できる?

体内で分泌される消化酵素の作用により、さまざまな効果を発揮しているタンパク質ですが、実はタンパク質分解に関わる酵素は食物からも摂取できるのです。ここでは、食物に含まれる酵素について解説します。

食物から酵素を上手に取る方法

私たちの健康に関わる酵素には、体内で分泌される消化酵素の他「代謝酵素」や食物に含まれる「食物酵素」があります。

代謝酵素は、消化酵素の働きによって吸収された栄養素を細胞に運ぶことで、生命維持に必要な呼吸や老廃物の排出、新陳代謝などに役立っています。

一方、食物酵素は消化を助けたり代謝酵素をサポートしたりする働きを持つ酵素です。食物酵素は、生野菜や生果物などに含まれていますが、発酵食品にも多く含まれています。

そのため、積極的に食物酵素を摂りたいという方はこれらの食物を食事に取り入れてみると良いでしょう。

 

消化を助ける食物酵素を摂ったほうが良い場合

そもそも消化酵素とは、消化器官から分泌される酵素のことです。

「体の中で分泌される酵素だから、食物から摂る必要はないのでは?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし、実はこの消化酵素の働きを助ける食物酵素を、食物から摂取したほうが良い場合もあるのです。

消化酵素や代謝酵素など、体内で作られる酵素は加齢によって減少していくため、食物酵素で補うことが有効であると考えられています。また、胃腸の機能が低下し上手く消化酵素が分泌されない場合にも、同様のことがいえるでしょう。

消化酵素の分泌量が減少すると食物を摂っても上手く消化されないため、栄養素として吸収されずに排泄されてしまいます。このような状況下では、体重が減少したり体の機能を正常に保てなくなったりしてしまいます。

そのため、食物を消化し栄養素を吸収するためには、適度に食物酵素を取り入れる必要があるのです。

さまざまな栄養素を分解する酵素を持つ食物

食物酵素のうち、消化酵素を助けてくれる酵素を持つ食物の一覧を以下にご紹介します。

タンパク質分解に関わる酵素
(プロテアーゼ)を持つ食物
パイナップル、パパイヤ、
メロン、キウイ、りんご、
生姜、玉ねぎ、まいたけ、
麹を利用した発酵食品など
デンプン分解に関わる酵素
(アミラーゼ)を持つ食物
大根、キャベツ、山芋、生姜、
麹を利用した発酵食品など
脂肪分解に関わる酵素
(リパーゼ)を持つ食物
アボカド、大根、かぶ、山芋、
麹を利用した発酵食品など

栄養素を効率よく吸収するためには、このような食物を意識して取り入れてみると良いでしょう。

タンパク質分解酵素を取り入れる際の注意点

食物に含まれるタンパク質分解酵素をより効率よく活用するためには、適切に摂取する必要があります。ここでは、普段の食事にタンパク質分解酵素を取り入れる際の注意点について解説します。

タンパク質分解酵素は熱に弱い

そもそも酵素はタンパク質です。タンパク質は通常、60℃以上になると「熱変性」を起こすことが多く(※5)、酵素は活性が失われてしまい効果が期待出来なくなります。

※参考
○熱変性とは
タンパク質はアミノ酸が複雑に連なった立体構造をしています。その立体構造が熱によって変化しタンパク質の性質が変化することが「熱変性」です。
酵素が作用しやすい温度は30~50℃であるとされている(※6)ため、タンパク質分解酵素を含む食物を酵素活性を保ったまま摂取するには、加熱しすぎないようにすることがポイントです。

(※5)蛋白質の立体構造と温度依存性|温度生物学ハンドブック|温度生物学(新学術領域研究)

(※6)米麹の利用方法|広島県

食物によってはアレルギーがある

キウイフルーツやパイナップル、マンゴー、メロンなどの果物は、タンパク質分解酵素を比較的手軽に摂取できる食物です。しかし、これらの果物はアレルギー反応を起こしやすい食物でもあるため、アレルギーのある方や小さな子どもは注意するようにしましょう。

タンパク質は消化吸収も重要!消化酵素の知識を深めよう

消化酵素は、食物から摂取したタンパク質などの栄養素を体内で利用するために必須の成分です。

消化器官からはさまざまな種類の消化酵素が分泌されています。この消化酵素は加齢や体調などにより分泌量が低下してしまうこともあるため、食物に含まれる食物酵素を活用することもおすすめです。

消化や吸収に関わる酵素の知識を深め、タンパク質を効率よく摂取することに役立てましょう。そして効率よくタンパク質を摂取したい方は、ぜひ「サカナのちから」を利用することを検討してみてください。

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