胃の痛みや胃もたれの不調があるときには、胃に優しい食事をとり体調を回復させることが大切です。胃に負担をかけないためには、どのような点に気をつけたら良いのでしょうか?この記事では、胃に優しい食事のポイント、おすすめのメニューやレシピを紹介します。
胃に優しい食事とは
食べすぎや飲みすぎ、疲労、ストレスなどの要因によって胃酸の分泌が過剰になったり、胃の働きが低下したりします。それによりみられる症状が、胃痛や胃もたれ、胸やけなどの胃の不調です。
原因となっている生活習慣を改善するとともに、食事で胃腸に負担がかからないよう、胃に優しい食事をとる必要があります。胃に優しい食事には、どのような特徴があるのでしょうか?大きく2つに分けて解説します。
消化が早い食事
短時間で消化される食事は胃内に留まっている時間が短いため、胃にかかる負担が少なく済みます。胃に長く滞留しやすいのは脂質や食物繊維が多い食品、硬い食品です。これらの食品を避け、軟らかい食べ物を選びましょう。
特に油は胃の中に留まる時間が長く、消化に悪い食品です。胃に優しい食事のポイントとして、植物油やバターなどの油を多く使った食品や料理を避けることも大切です。
刺激が少ない食事
食事による刺激は胃液の分泌を促進し、胃の粘膜を傷つける原因のひとつです。味が濃すぎる食事、熱すぎる・冷たすぎる食事は胃への刺激が強いため、胃腸が弱い人や胃に症状があるときは避けましょう。
胃に優しい食べ物とメニュー例
胃の不調があるときは食事が億劫になりますが、回復のためには必要な栄養素を十分にとることが大切です。1日3食、規則正しくバランスの良い食事をとるのが基本となります。
胃に負担をかけずに必要な栄養を食事からとるためには、主食・主菜・副菜・汁物を組み合わせるのがおすすめです。それぞれについて、おすすめの食べ物や料理を紹介します。
主食
胃に優しい主食は、軟らかく炊いたご飯やおかゆ、煮込んだうどんや温かいそうめんがおすすめです。玄米は食物繊維が多く、消化に負担をかけるため、胃に痛みなど症状があるときには避けましょう。
パンの中では、食パンがおすすめです。胃に留まる時間が短くて消化が早いためです。また、フランスパンも脂質の少ないパンなので、主食に良いでしょう。軟らかくするためスープに入れて煮込み、パン粥にすると胃に優しい食事になります。
脂質の多いクロワッサンやデニッシュ、蒸しパンなどは避けるようにしましょう。
おすすめの胃に優しい主食
- 軟らかめのご飯
- おかゆ
- 煮込みうどん
- 温かいそうめん(にゅうめん)
- 食パン
- フランスパンのパン粥
主菜
主菜は、魚・肉・卵・大豆製品をメインに使ったおかずで、タンパク質の主な摂取源になります。タンパク質は胃粘膜を作るためにも重要であるため、胃の調子が悪いときでも十分に取り入れたい栄養素です。
魚は、肉に比べて繊維が短く軟らかくなりやすいため、胃の調子が悪いときにおすすめです。たらやかれい、ひらめなどの脂質の少ない白身魚を選びましょう。
肉類を食べる場合は、鶏肉を選ぶと脂質の摂取を抑えられます。牛肉や豚肉は部位によって脂質の量が異なるため、低脂質なもも肉やヒレ肉を選びましょう。
揚げ物や炒め物など油の多い調理法は避け、煮る・蒸す・焼く・ゆでるなどの調理法がおすすめです。肉類は焼きすぎると硬くなるため、加熱のしすぎにも注意しましょう。
おすすめの胃に優しい主菜
- かまぼこ
- たらのみぞれ煮
- かれいの酒蒸し
- 蒸し鶏
- 鳥だんご鍋
- 豚しゃぶ鍋
- 湯豆腐
主菜におすすめの、消化に良い食べ物のひとつがかまぼこです。胃を労わりながらタンパク質を補うのに役立ちます。そのまま食べても良いですが、うどんなどの麺類や鍋、スープに入れるなどして、温めるとさらに胃腸に優しい食事になります。
副菜
副菜は、野菜・海藻・きのこ類を使ったおかずです。胃の調子が悪いときは、繊維が多く消化に時間のかかる海藻やきのこは控えましょう。野菜も繊維質のものは避け、実や葉の部分を食べる野菜を選ぶのがおすすめです。
中でもキャベツに含まれるビタミンUは、胃酸の分泌を抑制し胃粘膜を保護する作用が知られています。また、大根には消化酵素が含まれており、食べ物の消化吸収を助ける働きがあります。酵素は熱に弱いため、大根おろしなど生で食べるのがおすすめです。
これらの栄養成分の力も活用し、胃に優しい食事を目指しましょう。
おすすめの胃に優しい副菜
- ほうれん草のおひたし
- 小松菜のおろし和え
- 蒸しキャベツのみそ和え
- かぼちゃの煮物
汁物(飲み物)
みそ汁やスープなどの汁物は、胃を温め、胃の運動を助けるのに役立ちます。また具を良く煮込むことで、消化の良い料理になります。
魚や肉、卵や豆腐などを入れれば主菜として、野菜を入れれば副菜としても食べられる料理です。胃腸の不調が続き料理が面倒なときは、スープに具をたくさん入れ、主菜と副菜を兼ねた一品にすると手軽に食事のバランスを整えるのに役立ちます。
飲み物で水分を補給する場合は、白湯や温めた麦茶、ルイボスティーなど、カフェインの含まれていない温かい飲み物がおすすめです。
おすすめの胃に優しい汁物
- かまぼこと卵のトマトスープ
- 豆腐と野菜のみそ汁
- ささみとキャベツの中華スープ
- ほうれん草の豆乳スープ
- かぼちゃのポタージュ
【おすすめレシピ】かまぼことふんわり卵のトマトスープ
消化に良いかまぼこを活用した、胃腸に優しいスープのレシピを紹介します。具だくさんのスープでしっかり栄養をとり、免疫力もアップさせましょう。
材料(4人分)
- かまぼこ…5切れ
- ダイストマト…200g
- 玉ねぎ…1/4個
- キャベツ…1枚
- 固形コンソメ…1個
- 水…200cc
- 卵…1個
- 塩…少々
- こしょう…少々
作り方
- かまぼこを厚さ5mmに切り、縦半分にする。
- 玉ねぎをみじん切りにする。
- キャベツを2cm角に切る。
- 鍋に水と2・3を入れ、3分ほど加熱した後、ダイストマトを入れる。
- 沸騰したら、あくを取り、固形コンソメ、塩、こしょうで調味する。
- 1を加え、再び沸騰したら、溶き卵を回し入れる。
出典:クックパッド(鈴廣かまぼこ)「かまぼことふんわり卵のトマトスープ」
胃に優しい食べ方のポイント
食べ物以外に、胃に負担をかけないために注意したい食べ方のポイントがあります。ここでは胃に優しい食事や食べ方のコツを5つ解説します。
温かくして食べる
冷たい食べ物や飲み物は胃の運動を抑制し、消化の妨げになる恐れがあります。胃の動きを助けるため、冷たいものよりも温かいものを取り入れるのがおすすめです。
ただし、熱すぎる食べ物は胃や食道の粘膜を刺激するため、かえって逆効果になります。熱すぎる場合は適度に冷ましてから食べると良いでしょう。
軟らかく煮て食べる
長時間加熱することで食材が軟らかくなり、消化吸収しやすくなります。胃に優しい食材を選び、よく煮る・ゆでる調理法がおすすめです。
ただし、肉類は加熱しすぎると硬くなり、かえって消化に悪くなります。食材によって加熱時間を変え、軟らかい状態で食べられるように工夫すると良いでしょう。
よく噛んで食べる
よく噛むと食材が細かくなり、胃で消化液や酵素と混ざりやすくなります。また唾液にも消化酵素が含まれているため、消化を助ける働きがあります。胃での負担を減らすため、一口30回を目安に噛むと良いでしょう。
忙しいと、よく噛まずについ早食いになってしまう人もいるかもしれません。可能な限り食事の時間を確保し、よく噛めるようにしましょう。ひと口の量を減らしてゆっくり食べる、ひと口食べたら箸を置くなどの工夫もおすすめです。
満腹まで食べない
食事量が多いほど消化に時間がかかり、胃液の分泌量も増えるため、胃への負担になります。消化されていない食べ物が胃に残ると、胃もたれの原因にもなります。
「腹八分目」を心がけ、適度な満腹感が得られる量を食べましょう。胃の調子が悪く、1食分の食事が食べきれない場合は、少ない量を何回かに分けてとるのがポイントです。
寝る2時間前までに食べ終える
寝ている間も胃腸は働きますが、起きている間に比べると動きが弱いため、消化が進みにくく負担がかかります。また、遅い時間に夕食をとると、就寝中に胃酸が逆流しやすいことも知られています。
寝る前までにある程度消化が終わるよう、就寝2時間前を目安に食べ終えるようにしましょう。食事が遅くなり、どうしても寝る前に食事をする場合は、低脂質の料理を少量とるのがおすすめです。
胃に優しくない、避けたい食べ物・飲み物
胃腸の調子が悪いときは、胃の粘膜を刺激したり胃酸の分泌を増やしたりする食べ物や飲み物は避けましょう。ここでは、胃に優しくない具体的な食べ物・飲み物を5つ紹介します。
香辛料
唐辛子やカレー粉などの刺激の強い香辛料は、胃液の分泌を促進するといわれています。胃の調子が優れないときはこれらのスパイスの使用を避け、マイルドな味つけにしましょう。
柑橘類
レモンやオレンジなどの柑橘類の酸も、胃に刺激を与え、胸やけ症状を誘発することが知られています。果物を食べるときは柑橘類を避け、バナナやりんごなどの酸味の弱いものを選びましょう。
アルコール
アルコールも胃酸の分泌を増やす作用があるため、過度の飲酒は胃への負担となります。胃に不快な症状がある場合は飲酒を避けましょう。
胃腸の弱い人は、お酒は普段からビール1杯、または日本酒1合程度の適量摂取を心がけ、調子をみながら飲む量を調節しましょう。
コーヒー
コーヒーにはカフェインが多く含まれ、胃酸の分泌を増やす働きがあるといわれています。また、胃の入口を緩め、胃酸を逆流させやすいことも知られています。
胃が荒れているときにコーヒーを飲むのは、できれば避けましょう。どうしても飲みたい場合は、空腹時を避けて少量、あるいはミルクを入れたものを飲むのがおすすめです。
炭酸飲料
サイダーやコーラなどの炭酸飲料も、胃酸の分泌を増大させます。さらにガスが胃を膨らませることで、荒れた胃粘膜を刺激します。胃の不調がみられるときは飲むのを避けましょう。
胃に優しい食事を取り入れて体調を整えよう
胃の痛みやもたれ感などの不調は、食べすぎや飲みすぎ、ストレスなどの要因で胃の粘膜が傷ついたり、胃の動きが悪くなったりすることによって起こります。
消化が早い食事、胃酸が出すぎない胃に優しい食事を心がけ、胃に負担をかけないようにすることが大切です。
脂質や繊維の多い食品を避け、白身魚や脂身の少ない肉、実や葉を食べる野菜などを軟らかく煮込んで食べましょう。
消化を助ける栄養成分が含まれているキャベツや大根を取り入れるのもおすすめです。
胃を刺激する食べ物・飲み物は控え、胃腸の調子を整えることで回復に努めましょう。