タンパク質とは、体づくりに欠かせない栄養素のひとつです。タンパク質が不足すると、体の不調が起こりやすくなります。この記事は、健康が気になる人に向けて、タンパク質不足について解説します。タンパク質不足で起こりやすい体の不調、不足する理由、1日の摂取量の目安や対策方法も解説しているので、参考にしてください。
そもそもタンパク質とは
タンパク質とは、健康的な体をつくる基本成分です。ここでは、栄養素としてのタンパク質について解説します。
タンパク質は、体を構成する重要な栄養素で、炭水化物・脂質と並ぶ三大栄養素のひとつです。
筋肉・内臓・血液・肌・ホルモン・免疫体などをつくるため、私たちの健康維持に欠かせません。タンパク質は、多数のアミノ酸によって構成されています。筋肉・肌など、部位にあわせて数十〜数千個結合することで、10万種類ものタンパク質に形を変えます。
タンパク質不足が原因で起こる症状
タンパク質は、体の多くの部分をつくるため、不足すると全身に影響が出ます。筋力低下や肩こり・腰痛など、日常生活で感じる体の不調は、タンパク質不足が原因かもしれません。ここでは、タンパク質不足により起こりやすい症状について解説します。
筋力が低下する
タンパク質の多くは、筋肉に蓄えられています。体づくりに必要なタンパク質が不足すると、筋肉内のタンパク質を使わざるを得ません。エネルギー源が筋肉になるため、結果的に筋肉量や筋力の低下につながります。運動機能や活動量が低下し、階段の登り降りがきつい、食べ物を噛む力が弱まるなど、日常生活にも支障が出る恐れがあります。
太りやすくなる
筋肉量が低下すると基礎代謝が低下します。基礎代謝とは、生命活動を維持するためのエネルギーです。呼吸や体温維持、内臓を動かすなど、生きているだけでエネルギーは消費されます。タンパク質不足で筋力が低下すると、効率よくエネルギーが消費されず、太りやすい体質になります。
一方、筋肉量が多い人の特徴として、基礎代謝が高いことがあげられます。基礎代謝が高いほど1日に消費するエネルギーが大きいため、痩せやすくなります。
肩こり・腰痛になる
筋力が低下して正しい姿勢が保てなくなると、血行不良が起こります。また、筋肉は毎日、古いものから新しいものへと作り替えられますが、タンパク質が足りないと、古い筋肉がそのまま体を動かすことになります。老廃物が溜まり、筋肉の質が悪くなるのも肩こり・腰痛の原因です。マッサージや整体を施しても改善しない場合は、栄養素不足の可能性があります。
肌や髪の若々しさが失われる
肌に弾力を与える役割をもつコラーゲンは、タンパク質からつくられます。タンパク質が不足すると、コラーゲンの生成が減り、肌のハリやツヤが失われます。また、シワ・たるみ・むくみなども起こりやすくなります。
髪の毛は、ケラチンというタンパク質からつくられます。タンパク質不足は、枝毛・切れ毛・うねり・艶がないなどの髪のトラブルを引き起こします。薄毛の原因にもなるため、注意しましょう。
疲れやすく集中しづらい
神経伝達物質のドーパミン、セロトニンは、脳内でタンパク質を原料につくられます。ドーパミンは意欲や学習能力をつかさどり、セロトニンは精神を安定させる役割があります。不足すると、これらの神経伝達物質が生成できなくなり、脳の働きが鈍くなります。
その結果として、心が不安定になり、集中力や思考力が低下します。具体的には疲れやすい、集中できない、無意識のうちにぼんやりしている、やる気が出ない、イライラするなどの症状が起こりやすくなります。
体調を崩しやすくなる
タンパク質不足により、体の機能が低下して体調を崩しやすくなります。たとえば、貧血、むくみ、免疫力の低下などの不調です。
とくに免疫力低下は、感染リスクが高まるため注意が必要です。免疫力とは、病原菌から体を守る働きです。タンパク質を原料とする免疫細胞をつくれなくなり、粘膜や皮膚の働きを弱めるため、免疫力低下に直結します。風邪やインフルエンザなどのウイルス、細菌・花粉などの異物が侵入しやすくなります。
とくに高齢者のタンパク質不足には注意が必要
若年層だけでなく、高齢者のタンパク質不足が話題となっています。高齢者のタンパク質不足について解説します。
老化を早める原因になる
一般的に、人は加齢にともなって60歳以上で筋肉量の減少が加速します。とくに高齢者は、タンパク質不足で筋肉が衰えて運動機能が低下しやすくなるため、注意が必要です。
そのほか、皮膚が弱くなり傷ができやすくなる、免疫力が弱くなり風邪を引きやすくなる、口やのどの筋力が弱まり食べづらくなるといった弊害が出る場合があります。これらの弊害により、体の機能が低下して老化が早まります。日頃から十分なタンパク質摂取を心がけましょう。
1日に摂取したいタンパク質の量
厚生労働省による、1日のタンパク質の食事摂取基準
男性 15〜64歳が65g、65歳以上が60g
女性 12〜17歳が55g、18歳以上は50g
たとえば、各食材の100gあたりのタンパク質の含有量をみると、サケが22.3g、鶏もも肉が16.2g、木綿豆腐が6.6g、牛乳が3.3gです。1日複数回の食事の中で、複数の食品を組み合わせると、無理なく摂れることがわかります。
※参考:日本人の食事摂取基準(2020年版)|厚生労働省
タンパク質・脂質・炭水化物を摂取するバランスも大切
食事は、タンパク質・脂質・炭水化物の摂取比率のバランスが大切です。
これら3つは三大栄養素と呼ばれ、健康的な体づくりに欠かせません。厚生労働省によると、理想的なバランスは、タンパク質が13〜20%、脂質が20〜30%、炭水化物が50〜65%です。タンパク質が不足しやすい傾向にあるため、タンパク質を意識して摂取することをおすすめします。
※参考:エネルギー産生栄養素バランス|厚生労働省
タンパク質が不足してしまう理由
タンパク質不足には、主に2つの原因があります。ここでは、タンパク質が不足する理由について解説します。
偏った食生活で栄養が不足する
食事量の減少で偏った食生活になることが、タンパク質不足の代表的な原因です。たとえば、ダイエット中で低カロリーを意識している、忙しくて常に簡単な食事で済ましているといった場合、十分に食べているつもりでも、食生活が偏りやすくなります。ストレスで食事量が減った、加齢で食が細くなった場合も注意しましょう。
十分なタンパク質がなければ栄養がいきわたらない
体内でのタンパク質の活用は、内臓や血液、ホルモン、免疫細胞、筋肉の生成など、生命維持活動が優先されます。タンパク質が不足すると、肌・髪・爪といった、外見のパーツを保つことまでタンパク質が使われなくなります。
十分な栄養がいきわたらなくなると、肌がガサガサする、髪のツヤがなくなる、爪が割れるなどの美容面に影響が出やすくなります。これらの部位は、タンパク質不足のサインにしましょう。
タンパク質不足を解消するための対策
タンパク質は、日々の食事と効率のよい摂取方法で不足分を補えます。ここでは、対策方法について解説します。
日々の食事を見直す
栄養の偏りを感じたら、日々の食事を見直しましょう。タンパク質は、複数の食品を組み合わせて何食かに分けると、必要な量を無理なく摂取できます。食事をつくる時間がない場合は、切るだけで簡単に食べられる食事が有効です。たとえば、かまぼこは高タンパクな食品です。低脂肪・低カロリーで、ダイエット中の人にもおすすめです。
サプリやプロテインを利用する
効率よくタンパク質を摂取したい場合は、サプリやプロテインを活用しましょう。忙しくても、手軽にタンパク質の不足分を補えます。「サカナのちから」は鈴廣かまぼこが開発した、魚のアミノ酸サプリです。天然素材でつくられ、アミノ酸をバランスよく配合しています。シニア用は小粒タイプで飲みやすさも工夫されています。
まとめ
タンパク質とは、体に欠かせない栄養素です。不足すると、筋肉量が減る、太りやすくなる、肩こり・腰痛になるなど、体にさまざまな不調が起こりやすくなります。本来タンパク質は、食事から摂取することが大切です。そのためバランスのよい食事をとることをおすすめいたします。サプリ・プロテインは、タンパク質不足を補うために活用しましょう。
「魚肉たんぱく研究所」は、お魚たんぱくで世界を健やかにすることを目指した研究所です。かまぼこの職人技を科学的に理論化し、魚の肉質やタンパク質について研究・発信しています。