髪の毛のハリやボリュームが減ったり、白髪が増えたりといった悩みはありませんか?美しい髪を保つには、トリートメントなど外側からのヘアケアに加え、髪を作るのに必要な栄養素を食べ物から十分に補うことが大切です。この記事では、髪にいい栄養成分や食べ物、食生活のポイントを解説します。
いい髪を作るのに役立つ栄養成分
髪の毛は、毛根の奥にある毛母細胞が必要な栄養素を吸収し、細胞分裂を繰り返すことで作られます。増えた細胞は髪に分化し、少しずつ押し出されることで髪が伸びていきます。
健康的で美しい髪を効率よく作るには、このメカニズムを支える栄養素を食べ物から十分にとることが大切です。ここでは、髪を作るのに関係している栄養素について解説します。
タンパク質
髪の主成分は、「ケラチン」と呼ばれるタンパク質の1種です。食べ物からしっかりとタンパク質をとることは、髪の栄養を補給しいい髪を作るのに役立ちます。
タンパク質の原料であるアミノ酸のうち、シスチンやアルギニンなどが髪を成長させるのに重要といわれています。
n-3系・n-6系脂肪酸
n-3系・n-6系脂肪酸は体内で合成できないため、食べ物からとる必要がある「必須脂肪酸」と呼ばれる種類の脂質です。血行を促進し、いい髪の毛へと成長させるのに必要な栄養素を毛母細胞へ届けるのに役立ちます。
これらが不足すると、脱毛や髪の構造異常などを引き起こす原因になります。
鉄
鉄は毛母細胞の増殖に関係し、いい髪に成長させるために欠かせない栄養素です。鉄の不足は、脱毛や若白髪の原因になることが知られています。
食べ物から摂取した鉄の吸収を高めるために、ビタミンCもあわせてとることが大切です。
亜鉛
亜鉛は頭皮の健康維持や、いい髪の毛の成長に必要な栄養素の1つです。不足すると毛が抜ける、髪がもろくなる、白髪になるなど、さまざまな髪のトラブルにつながります。
ビタミンA
ビタミンAは細胞の増殖や成長、皮膚の健康を保つために必要な栄養素です。毛根の細胞も活性化させ、いい毛髪の成長を促す役割があります。
ただし、ビタミンAはとりすぎにも注意が必要です。ビタミンAの過剰症の1つに、脱毛があります。その他、頭痛や食欲不振や肝障害なども引き起こす恐れがあるため、適量を食べ物から摂取することが大切です。
ビタミンB群
ビタミンB12、葉酸、ビオチンの不足が脱毛の原因になると考えられています。ビタミンB12と葉酸はDNAの増殖に関わり、毛母細胞の細胞分裂を促す栄養素です。また、ビオチンも毛母細胞の働きに関係し、いい髪を作るのを助けます。
ビタミンD
ビタミンDも毛根に働きかけ、いい髪を作る栄養素の1つです。髪の原材料であるケラチンを作り、髪の毛を成長させる働きに関係しているため、欠乏すると脱毛や薄毛、白髪につながります。
ポリフェノール
お茶に含まれるポリフェノールの1種であるカテキン類は、髪の毛の成長を促進する働きがあります。また、大豆に含まれるイソフラボンにも、脱毛や薄毛を改善する働きが期待されています。
髪にいいおすすめの食材
髪にいい栄養素はたくさんありますが、効率よくとるにはどんな食品を選んだらいいのでしょうか?ここでは、髪にいい栄養素を多く含む食材を紹介します。
魚介類
魚介類は良質なタンパク質が豊富に含まれるほか、n-3系脂肪酸の1種であるDHAやEPAの摂取源にもなる食べ物です。また、髪にいいビタミンDも多く含まれています。
かつおやまぐろといった赤身魚からは鉄も多くとれるので、積極的に食事に取り入れるといいでしょう。
レバー
レバーには、鉄やタンパク質が含まれます。また、ビタミンAや亜鉛も豊富に含むおすすめの食べ物です。
ただし、ビタミンAは過剰症もみられるため食べすぎには注意が必要です。1食にレバー串1本程度であっても、長期間にわたって毎日食べ続けると過剰症を発症するリスクがあります。そのため、食べるのは週1回程度にとどめることをおすすめします。
大豆製品
大豆も良質なタンパク質源となる、髪にいい食べ物です。また、n-6系脂肪酸や鉄、亜鉛などもまとめて摂取できます。さらに、大豆特有の成分としてポリフェノールの1種であるイソフラボンも多く含まれます。
イソフラボンは、体内で女性ホルモンに似た働きをする成分です。女性ホルモンのバランスの乱れも薄毛の原因となるため、イソフラボンをとることで予防に役立つと考えられています。
緑黄色野菜
緑黄色野菜は、β-カロテンが多く含まれる食べ物です。β-カロテンは、体内で必要な分だけビタミンAに変換されて働く成分です。レバーなどに含まれるビタミンAと異なり、過剰症はみられないため安心して摂取できます。
緑黄色野菜の中でも、小松菜やほうれん草、水菜、春菊などの葉物野菜は髪にいい鉄や葉酸も多く含まれます。ビタミンCも含まれるため、鉄の吸収を高めるのにも役立つおすすめの食べ物です。
きのこ類
きのこ類にはエルゴステロールという成分が多く含まれており、この成分を摂取後に太陽の光を浴びると、皮膚でビタミンDに変換されます。
特に、きくらげやまいたけに多く含まれます。うま味が強くどんな献立にも合うので、いい髪を作るためには、まずきのこを取り入れるといいでしょう。
きのこを日光に当てることでもビタミンDに変換されるため、生より干したものを選ぶのがおすすめです。
ナッツ類
ナッツ類は、タンパク質や亜鉛、鉄、n-6系脂肪酸の補給に役立つ食べ物です。くるみには、n-3系脂肪酸の1種であるα-リノレン酸も多く含まれます。
お茶
緑茶やウーロン茶、紅茶などのお茶には、いい髪の生成を助けるとされるカテキンが含まれます。特に緑茶に多く含まれています。
いい髪を作るために避けたい食生活
いい髪を作るためには、とりたい栄養素だけでなく避けたい栄養素や食べ物もあります。ここでは、いい髪を作るために避けたい食生活の特徴を2つ解説します。
脂質の多い食事
脱毛のリスクを高める要因の1つに、肥満が挙げられます。脂質が多い食事はカロリーが高く、肥満を引き起こします。また、脂質の多い食事を続けることで毛包へ脂肪が蓄積し、毛を薄くする原因にもつながるのです。
砂糖や甘い飲み物のとりすぎ
砂糖の過剰摂取は、血糖値を下げるインスリンというホルモンの効き目を徐々に悪くし、髪の健康に影響すると考えられています。特に糖分の多い飲み物をよく飲む人では、抜け毛のリスクが高いことが明らかになっています。
薄毛などの髪のトラブルを予防するには、炭酸飲料やジュース、スポーツドリンクや加糖コーヒーの飲みすぎに特に注意が必要です。
参照:MDPI「The Association between Sugar-Sweetened Beverages and Male Pattern Hair Loss in Young Men」
髪にいい食事のポイント
髪にいい食べ物と避けたい食生活が分かったところで、日々の食事をどのように組み立てると効果的なのでしょうか?ここでは、髪にいい食べ物を毎日の食生活に取り入れる方法を解説します。
主食・主菜・副菜を揃える
髪に必要な栄養素をとるために、バランスのいい食事を心がけましょう。食事のバランスを整えるのに効果的な方法は、1食に主食・主菜・副菜を揃える方法です。
主食
主食とは、ご飯やパン、麺などの炭水化物源になるもので、体を動かしたり、体の機能を維持したりするためのエネルギー源として重要です。
髪を作るのには、タンパク質だけでなくエネルギーも必要です。体のエネルギーが不足するとタンパク質がエネルギー源として使われ、体のタンパク質の合成が十分に行われなくなり、いい髪を作る妨げとなってしまいます。
必要なエネルギーは主食から摂取するのが基本です。ご飯であれば握りこぶし1個分を目安にとりましょう。
主菜
主菜とは魚介類や肉類、卵、大豆製品をメインに使った料理です。主にタンパク質の摂取源になります。髪の原料を食べ物からしっかり摂取するため、1食に手のひらサイズのタンパク質源をとりましょう。
特に魚や大豆製品を取り入れることで、いい髪を作るのに大切な必須脂肪酸や鉄、亜鉛などの栄養素がとれます。タンパク質源を肉ばかりに偏らず、さまざまな種類の食べ物をバランスよく取り入れましょう。
料理が面倒でなかなか食べられない場合は、かまぼこなどの加工品を活用する方法もあります。包丁やまな板も汚れにくく、調理のごみも出ないため手軽に取り入れられます。
副菜
副菜とは、野菜・海藻・きのこ類を主に使った料理です。ビタミンやミネラル、食物繊維の摂取源になります。生の状態で、両手1杯分の食材を毎食とるのが理想です。
特に緑黄色野菜を取り入れることで、鉄や亜鉛、β-カロテンなど髪にいい微量栄養素を補給できます。おひたしやスープなどでカサを減らすと、より多くの量を食べられます。
油を使った料理は1食に1つまでにする
揚げ物や炒め物など、油を使った料理を多くとると、脂質やカロリーのとりすぎにつながります。薄毛対策のためにも脂質を控え、肥満を予防しましょう。
脂質の中でも、あまに油やえごま油などにはn-3系脂肪酸が多く含まれますが、カロリーは他の植物油と変わりません。ただし、髪にいい栄養素が含まれるとはいえ、使いすぎは避けましょう。
間食は適量を守る
間食のとりすぎは、砂糖の過剰摂取につながります。間食の目安は1日200kcal以内です。適量を守り、食べすぎを控えましょう。
砂糖の摂取量を減らす方法として、間食を素焼きのナッツに置き換えるのもおすすめです。亜鉛や鉄など、髪にいい栄養素を補給するのにも役立ちます。ただし、食べすぎるとカロリーオーバーにつながるため、手のひらに載る量をよく噛んで食べましょう。
また、間食は日中にとりましょう。夕食後は体脂肪が蓄積されやすいため、間食や食事は避けたい時間帯です。
飲み物は無糖を選ぶ
飲み物に含まれる砂糖も、髪の毛を薄くする原因になります。先ほどの間食の1日の目安200kcalには、飲み物のカロリーも含まれます。水分補給のための飲み物は無糖のものを選び、甘い飲み物は少量に控えましょう。
特に緑茶や紅茶、ウーロン茶からカテキンなどのポリフェノールをとると、髪の健康を維持することが期待できます。ただし、お茶には覚醒作用のあるカフェインが含まれるため、寝る前に大量に飲むのは避けましょう。
さまざまな食材を取り入れ、いい髪を手に入れよう
いい髪を手に入れるには、髪を作る働きに関係するさまざまな栄養素が必要です。魚や大豆製品を主菜に、緑黄色野菜やきのこを使った副菜を組み合わせたバランスのいい食事を心がけましょう。
また、砂糖や脂質のとりすぎや、それによる肥満は脱毛や薄毛の原因になります。間食には適量のナッツを、飲み物は無糖のお茶を選ぶといいでしょう。肥満対策だけでなく、髪を作るのに必要な栄養素を補給するのにも役立ちます。
食べ物から食生活全体を見直し、いい髪づくりを目指しましょう。