タンパク質は様々な食品に含まれます。そのなかに「良質なタンパク質」を多く含む食品があります。良質なタンパク質は体にうれしい効果が期待できるため、意識して摂ることが大切です。今回は良質なタンパク質がどのようなものか、どんな食材に含まれるのかについてご紹介します。
タンパク質の働き
タンパク質はエネルギー産生栄養素(三大栄養素)の一つであり、人間が生きていくうえで必要不可欠な栄養素です。ここでは、具体的にタンパク質がどんな働きをするのかについて解説します。
身体の構成成分
タンパク質は体を作る栄養素と呼ばれており、筋肉や臓器、皮膚、毛髪などの構成成分です。しっかりと体の基礎を作って健康を維持するために、タンパク質は欠かせない栄養素です。
不足すると代謝が落ちる
タンパク質が不足すると筋力などが衰え、代謝も低下します。代謝が低下すると体の中のエネルギー代謝も低下し、消費されなかったエネルギーが皮下脂肪に蓄積されるので、太りやすくなります。代謝を低下させないためにも、しっかりタンパク質を食材から補給することが大切です。
免疫にも関わる
タンパク質が不足して皮膚や血管の弾力が低下すると、細菌やウイルスが体内に入り込みやすくなり、体力や免疫力の低下につながります。健康な体を保つためにも、タンパク質をしっかり摂取しましょう。
タンパク質とはそもそもどんなものなのか、より詳しく知りたい方は、基礎講座「タンパク質とは」をご覧ください。
良質なタンパク質とは
タンパク質のなかに「良質なタンパク質」と呼ばれるものがあります。ここでは良質なタンパク質がどのようなものかについて解説します。
必須アミノ酸
タンパク質は、アミノ酸が様々な形で結合することによって構成されています。自然界に多数存在するアミノ酸のうち、タンパク質を構成するアミノ酸は20種類です。
そのうち9種類のアミノ酸は体内で合成できないため、食物から摂る必要があり、この9種類のアミノ酸を「必須アミノ酸」と呼びます。また、それ以外の11種類のアミノ酸を「非必須アミノ酸」と呼び、これらは体内で合成することができます。
この9種類の必須アミノ酸をバランス良く含んだタンパク質が「良質なタンパク質」と呼ばれます。
さらに、必須アミノ酸はそれぞれ働きが異なります。例えば、バリン・ロイシン・イソロイシン(通称BCAA)という必須アミノ酸は筋肉の合成や傷の修復に効果的で、運動をしている人には欠かせません。
また、最近はBCAAなどの必須アミノ酸を摂取できる健康食品やサプリメントが多く販売されているため、普段の食事からだけではなく、健康食品・サプリメントからも補給できます。
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必須アミノ酸の種類と働き一覧
必須アミノ酸 | 働き |
---|---|
イソロイシン | 筋肉強化、成長促進 |
ロイシン | 筋力強化、肝機能を高める |
リジン | 代謝促進、成長促進 |
メチオニン | かゆみ・痛み改善 |
フェニルアラニン | 鎮痛作用、うつ症状改善 |
スレオニン | 脂肪肝予防、成長促進 |
トリプトファン | 筋肉強化、成長促進 |
バリン | 筋肉強化、成長促進 |
ヒスチジン | 神経機能補助、成長促進 |
アミノ酸スコア
必須アミノ酸がバランス良く含まれているかを評価する指標の一つが「アミノ酸スコア」です。スコアが100に近いほど、良質なタンパク質であることを示します。
つまり、9種類全ての必須アミノ酸がバランス良く含まれ、アミノ酸スコアが100に近い食品が、良質なタンパク質を含む食材です。食材ごとの具体的なアミノ酸スコアについては、後ほど解説します。
食材の組み合わせで良質なタンパク質に
良質なタンパク質を摂取することは大切ですが、全ての食材にバランス良く必須アミノ酸が含まれるとは限りません。
例えば、お米は他の必須アミノ酸と比較し、リシンというアミノ酸の含まれる量が少ない食材です。一方、納豆にはリシンがとても多く含まれています。
そのため、ごはんと納豆を一緒に組み合わせて食べることで、足りないアミノ酸を補うことができます。
このように一つの食材からではなく、さまざま食材を上手に組み合わせて、良質なタンパク質を摂れるように工夫することが大切です。
タンパク質量を意識することも大切
良質なタンパク質を摂取することは大切ですが、1日に必要なタンパク質量をしっかり摂れていないと、体に不調が起こりやすくなります。
いわゆる主菜に分類されるメインのおかずには、良質なタンパク質が多く含まれます。例えば肉・魚・卵・大豆製品などの食材です。また、植物性タンパク質が多く含まれる食材よりも、動物性タンパク質が多く含まれる食材のほうがタンパク質量は多いです。
良質なタンパク質を量も意識して摂取することで、効率良く健康的な毎日をおくりましょう。
また、魚肉たんぱく研究所コラム「タンパク質100gの目安|食品・食材ごとの含有量や効率的な摂取方法を紹介」もご参考にしてください。
良質なタンパク質を含む食材
良質なタンパク質を含む食材【魚】
魚は良質なタンパク質が豊富に含まれている食材です。魚の種類によって少し異なりますが、アミノ酸スコアが100に近いものが多いため、積極的に摂取したい食材の一つと言えます。
また、魚のタンパク質は動物性タンパク質に分類されるため、タンパク質量も多いです。そのうえ、魚は肉と比べて脂質が低く、消化の負担が少ないため、赤ちゃんや高齢者でも安心して食べることができます。
特にマグロやかつお・サンマなどにはBCAAが多く含まれるため、成長期の子供や筋肉を付けたい方、高齢者の筋力低下予防のためなど、様々な世代の方の健康のためにおすすめの食材です。
魚をさばいたり、調理をしたりするのが大変という方には加工食品の活用をおすすめします。かまぼこや魚肉ソーセージ、さばの缶詰なども良質なタンパク質の摂取におすすめです。
かまぼこからの摂取を考えている方は、鈴廣オンラインショップから商品を検索できますので、ぜひ購入を検討してみてください。
魚類のタンパク質量とアミノ酸スコア一覧
食品名 | タンパク質量(1食あたり) | アミノ酸スコア |
---|---|---|
まぐろ | 15.8g | 100 |
さんま | 17.7g | 100 |
かまぼこ | 6.0g | 100 |
さけ | 26.8g | 96 |
良質なタンパク質を含む食材【肉】
肉は動物性タンパク質を多く含む食材で、アミノ酸スコアが高く、良質なタンパク質を含む食材といえます。さらに、魚や卵に比べてタンパク質量や不足しがちな鉄が多く含まれているため、効率的に良質なタンパク質を摂りたい場合や貧血予防におすすめです。
ですが、脂肪分も多く含まれるので、ダイエットをしている人などは注意が必要です。植物性タンパク質が多く含まれる大豆製品などは脂肪分が少ない食材も多いので、上手に組み合わせて食事の構成を考えられるとより良いでしょう。
肉類のタンパク質とアミノ酸スコア一覧
食品名 | タンパク質量(1食あたり) | アミノ酸スコア |
---|---|---|
ささみ | 18.4g | 100 |
鶏むね | 18.6g | 100 |
豚もも | 16.4g | 100 |
牛もも | 15.6g | 100 |
良質なタンパク質を含む食材【卵】
卵も良質なタンパク質を含む食材の一つです。卵はアミノ酸スコアが100であることはもちろん、免疫力を高めるビタミンAや新陳代謝を促すビタミンB群なども豊富に含まれます。因みに、ビタミンCがあまり含まれないため、野菜や果物など別の食材からビタミンCを摂るように心がけましょう。
お料理のレパトリーも多く、手に入りやすいため、 簡単に良質なタンパク質が補給できる食材です。
タンパク質とタンパク質以外の栄養素の関係について
糖質をしっかり摂ることも大切
糖質は大切な栄養素であり、良質なタンパク質を体内で使用するためにも必要です。
体内で糖質が不足すると、体を動かすエネルギーが不足してしまいます。その結果、人間の体はタンパク質を分解してエネルギーに変換してしまいます。筋肉はタンパク質で構成されているため、筋肉も分解され筋肉量が減少してしまいます。筋肉トレ目的で良質なタンパク質を摂っている場合、本末転倒な結果になってしまうでしょう。
また、ダイエット目的で良質なタンパク質を摂っている場合も、筋肉が落ちてしまうと代謝が落ち、エネルギーの消費量が減ってしまうので、リバウンドしやすくなります。
糖質とタンパク質とは関係がなさそうな栄養素も、体の代謝の過程で密接に関係してきます。良質なタンパク質だけでなく、1日100g~120g程度の糖質は食材からしっかり補給するようにしましょう。
ビタミンやミネラルも良質なタンパク質を活用するために大切
ビタミンやミネラルは、体の調子を整える役割があります。具体的にはビタミンB6が良質なタンパク質の代謝を補助したり、ビタミンCが良質なタンパク質からコラーゲンを生成したり、様々なところで活躍します。
他にも、マグネシウムや亜鉛などは新陳代謝に関わるため、良質なタンパク質が体内で上手に吸収され、利用されるためのサポートになります。
サポートしてくれる栄養素をしっかり摂らないとタンパク質が上手く身体の中で活用できないため、良質なタンパク質ばかり意識して摂取するのではなく、ビタミンやミネラルが多く含まれる食材もバランス良く摂取しましょう。
野菜や海藻類、果物などの食材を摂るのが難しい場合は、健康食品やサプリメントで摂ることもおすすめです。マルチビタミンやマルチミネラルなどであれば幅広くビタミン・ミネラルを摂ることができます。
バランスの良い食事が大切
良質なタンパク質に限らず、糖質やビタミン・ミネラルをしっかり食材から摂取するためには、食事のバランスを整えることが大切です。主食:主菜:副菜=1:1:2〜3皿の構成にすると、バランスが良くなるといわれています。
良質なタンパク質の補給のために、特に主菜(肉、魚、卵、大豆製品などを主材料とする料理)は必ず摂るようにしましょう。
また、糖質の補給のために少量でも主食は摂ると良いです。加えて、ビタミン・ミネラル補給のために、副菜(ビタミン、ミネラル、食物繊維の供給源となる野菜や海藻を主材料とする料理)も摂ることをおすすめします。
良質なタンパク質だけでなく、必要な栄養素をしっかり食材から摂ることが健康的な生活の秘訣です。
良質なタンパク質と食材の種類を意識しよう!
一言にタンパク質と言っても、食材ごとにタンパク質量や必須アミノ酸の種類なども異なります。良質なタンパク質を摂るためには、必須アミノ酸をバランス良く含む食材を意識することが大切です。
また、良質なタンパク質を効率的に活用するために、タンパク質以外の栄養素もしっかり補給するようにしましょう。