2024.08.08

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生理中の辛い貧血を解消したい。おすすめの食べ物を取り入れて症状を緩和させよう

生理中の辛い貧血を解消したい。おすすめの食べ物を取り入れて症状を緩和させよう

生理中のめまいやふらつき、立ちくらみに悩む人は多いのではないでしょうか?これらの不調を解消するには、日頃の食生活で対策することが大切です。この記事では、生理による貧血に効果的な栄養素やおすすめの食べ物、食事への取り入れ方を解説します。

生理による「貧血」は2種類ある

めまいがする、フラフラするなどの「貧血」と呼ばれる症状には、大きく2つの原因があります。原因によって対策が異なるため、それぞれの症状などの特徴を把握しておきましょう。

血液中の鉄分が減る「鉄欠乏性貧血」

一つ目の原因は、生理の血とともに鉄分が失われることで起こる「鉄欠乏性貧血」です。鉄分は赤血球に含まれるヘモグロビンの材料のひとつで、全身に酸素を送り届ける役割を担っています。鉄分が不足し全身が酸欠状態に陥ることで、めまいや息切れなどの不調がみられます。

その他の症状は、集中力の低下や頭痛、食欲不振、筋力低下、疲労感、氷を好んで食べる「氷食症」などです。女性の場合、血液中のヘモグロビン値が12.0g/L以下で「貧血」とされ、この数値であれば生理中に限らず症状がみられます。

脳に届く血液量が減る「脳貧血」

もう一つの原因は「脳貧血」です。生理前は女性ホルモンの影響で水分を体にため込みやすくなっていますが、生理が始まるとその水分が一気に抜け、全身の血液量が少なくなります。そのため脳へ届く酸素が不足し、めまいや立ちくらみなどの症状につながります。

生理中だけ不調がみられる、フラフラしやすいといった場合は、脳貧血を起こしている可能性があります。特定の栄養素による影響はありませんが、規則正しい生活を送り、自律神経を整えることが大切です。また、急に起き上がるなどの動きで脳の血流を減らさないよう注意しましょう。

脳貧血の症状がみられた場合は、楽な姿勢を取って症状を緩和させましょう。横になって足を頭より高くするか、座って膝を抱える姿勢がおすすめです。また、体が冷えていたら毛布や上着などで温めたり、温かい食べ物や飲み物をとったりすると回復しやすくなります。

生理による貧血の改善に役立つ栄養素

女性は生理によって毎月鉄分が失われることから、鉄欠乏性貧血を起こしやすい状態にあります。ここでは、鉄欠乏性貧血の解消に役立つ栄養素を5つ紹介します。

鉄分

鉄分は、鉄欠乏性貧血の予防や改善に最も大切な栄養素です。体に含まれる鉄分は、生理以外にも体の代謝によって毎日少しずつ失われています。失われた分の鉄分は、食べ物から補いましょう。

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、生理のある女性では、1日あたり10.5mgの鉄分摂取が推奨されています。

出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

食べ物からとれる鉄分には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があります。ヘム鉄は魚や肉などに、非ヘム鉄は緑黄色野菜などに多く含まれている成分です。ヘム鉄の方が体内への吸収率が高いことが知られています。

タンパク質

タンパク質は赤血球に含まれるヘモグロビンの材料となるため、血液を作るのに欠かせない栄養素です。また、動物性のタンパク質は鉄分の吸収率を高める働きもあります。

タンパク質が多い食べ物には、鉄分も多く含まれる傾向があります。タンパク質の摂取を心がけることは、鉄分摂取のためにも有効です。

ビタミンC

ビタミンCは、鉄分の吸収を高める効果があります。ヘム鉄に比べて吸収率の悪い非ヘム鉄も、ビタミンCを合わせてとることで体内に取り入れやすくなります。

葉酸

葉酸は水溶性ビタミンの一種で、赤血球の産生を助けている栄養素です。その名の通り、葉物野菜などの緑黄色野菜に多く含まれています。

ビタミンB12

ビタミンB12は、葉酸とともに赤血球の産生に関わっています。魚介類やレバーなどに多く含まれ、野菜などの植物性の食べ物にはほとんど含まれていないのが特徴です。

生理による貧血対策におすすめの食べ物

鉄欠乏性貧血を予防・改善するには、鉄分をはじめとした貧血予防に役立つ栄養素を食べ物から十分にとる必要があります。これらは生理中だけでなく、日頃の食事から意識して取り入れることが大切です。ここでは、貧血対策に取り入れたいおすすめの食べ物を紹介します。

魚介類

魚介類は良質なタンパク質源になるほか、ビタミンB12の主な摂取源でもあります。いわしやかつおなどの赤身の魚や、かき・あさりなどの貝類には、鉄分も多く含まれます。

鉄分を多く含む魚介類(100gあたりの鉄分量)

  • いわし:2.1mg
  • かつお:1.9mg
  • さんま:1.4mg
  • ぶり:1.3mg
  • さば:1.2mg
  • あさり:2.2mg
  • かき:2.1mg

出典:文部科学省「食品成分データベース」

レバー

鉄分が豊富に含まれる食べ物の代表格です。タンパク質や葉酸も多く含まれています。

ただし、過剰摂取すると健康障害を引き起こすビタミンAも多く含まれているため、食べすぎには注意が必要です。レバーの摂取は、1週間に1回程度に留めるのがよいでしょう。

レバーに含まれる鉄分の量(100gあたり)

  • 豚レバー:13.0mg
  • 鶏レバー:9.0mg
  • 牛レバー:4.0mg

出典:文部科学省「食品成分データベース」

牛肉

肉類の中では、牛肉に多く鉄分が含まれます。脂身よりもヒレやモモといった赤身肉に多く含まれているため、迷ったら赤身の部位を選びましょう。また、牛肉はタンパク質源としても有用です。

牛肉に含まれる鉄分の量(100gあたり)

  • かた肉:2.1mg
  • モモ肉:1.4mg
  • ばら肉:1.4mg

出典:文部科学省「食品成分データベース」

大豆製品

納豆などの大豆製品にも、鉄分とタンパク質が多く含まれます。大豆製品に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンに似た働きをすることから、生理中には積極的に摂取するのがよいといわれています。

大豆製品に含まれる鉄分の量(100gあたり)

  • 納豆:3.3mg
  • 木綿豆腐:1.5mg
  • 絹ごし豆腐:1.2mg
  • 厚揚げ:2.6mg

出典:文部科学省「食品成分データベース」

緑黄色野菜

野菜の中でも、内側まで色の濃いものを緑黄色野菜といいます。緑黄色野菜には鉄分や葉酸が多く含まれており、代表的な食べ物はほうれん草や小松菜、ブロッコリーです。

野菜に含まれる鉄分は吸収率の悪い非ヘム鉄ですが、野菜からはビタミンCも合わせてとれるため吸収率を高められます。ビタミンCが特に多い緑黄色野菜は、ピーマンやパプリカ、ブロッコリーなどです。

野菜に含まれる鉄分の量(100gあたり)

  • 小松菜:2.8mg
  • 枝豆:2.7mg
  • 水菜:2.1mg
  • ほうれん草:2.0mg
  • 春菊:1.7mg
  • ブロッコリー:1.3mg
  • チンゲン菜:1.1mg

出典:文部科学省「食品成分データベース」

果物

果物は主にビタミンCの摂取源になり、非ヘム鉄の吸収をサポートします。特にビタミンCの多い果物は、キウイフルーツやいちご、オレンジなどです。

ひじき

鉄分の多いイメージのあるひじきですが、実はひじき自体に鉄分が多く含まれているわけではありません。市販されている干しひじきは、ひじきを釜で煮てから乾燥させて作られています。

ひじきに含まれる鉄分は、煮るのに使っている鉄釜由来の鉄分が多くを占めています。最近はステンレス釜で煮た、鉄分の少ないひじきも多く出回っています。鉄分補給を目的にひじきを食べるなら、鉄釜製のものを選ぶのがおすすめです。

ひじきに含まれる鉄分の量(干しひじきをゆでたもの100gあたり)

  • 鉄釜製:2.7mg
  • ステンレス釜製:0.3mg

出典:文部科学省「食品成分データベース」

生理中の辛い症状を防ぐ食事のポイント

これらの食べ物を上手に食事に取り入れて貧血を解消するには、どのような点に注意したらよいのでしょうか?ここでは、生理中の貧血症状を解消するために食事でできる対策を7つ解説します。

朝食をとる

まずは、朝食を抜かずにとりましょう。1日の食事の回数が不足すると、必要な栄養素もその分不足しがちになります。

また、朝食には体に備わる体内時計をリセットする効果があります。体内時計は1日のリズムに合わせ、代謝や消化といった体の働きを正常に保っている仕組みです。朝食は自律神経のバランスを整え、脳貧血の予防や症状の緩和にもつながるでしょう。

朝食をほぼ毎日とっている人では、週2~3日しか食べていない人に比べて生理痛が軽かったという調査結果もあります。生理期間の不調を減らすために、普段から朝食をとる習慣をつけましょう。

出典:日経BP(2021)細川モモ著「生理で知っておくべきこと」

タンパク質がとれる食べ物を毎食とる

タンパク質をしっかりとることで、鉄分も同時に摂取できます。タンパク質が多く含まれる魚介類・肉類・卵・大豆製品を、毎食手のひらサイズ分とるのが目安です。

特に鉄分が多く含まれる赤身の魚や貝類、牛肉、大豆製品を意識して取り入れましょう。タンパク質源の種類によって、その他に含まれる栄養素の種類が異なるため、食事ごとに種類を変えるとバランスがよくなります。

調理が面倒な場合は、そのまま食べられる加工食品を使うのも手です。切るだけで食べられる手軽なタンパク質源として、板かまぼこの活用がおすすめです。
 

野菜のおかずを食べる

メインのおかずに加えて、野菜を含むおかずを小鉢1~2皿分取り入れましょう。特に、鉄分やビタミンCが多く含まれる緑黄色野菜を中心に使うのがおすすめです。

ほうれん草には鉄分、ブロッコリーにはビタミンCが多く含まれます。冷凍野菜なら、いつでも簡単に必要な分だけ食べられるので、上手に活用してみましょう。

酸っぱい食べ物や調味料を取り入れる

酸味のある食べ物は胃の中を酸性に保ち、消化・吸収を助ける効果があります。鉄分やビタミン類などの栄養素の吸収率を上げることで、貧血の解消に役立ちます。

また、食欲増進の効果もあるため、食が細く栄養の摂取量が不足しやすい人にもおすすめです。

柑橘類を食後のデザートにする、酢やレモン汁を味つけに使うなどの工夫がおすすめです。ただし、胃が弱い人には刺激が強いこともあるため、使い過ぎに注意しましょう。

お菓子の代わりに果物をとる

鉄分の吸収に役立つビタミンCを補給するために、お菓子の代わりに果物を間食として取り入れましょう。

砂糖の摂取が多い人は生理痛が重くなる傾向も知られているため、果物を取り入れてお菓子を減らすのは貧血と生理痛の両方を改善するのに効果的といえます。

よく噛んで食べる

よく噛むことで食べ物を細かくし、その後の消化・吸収を助けます。また、よく噛むほど食べ物を分解する唾液や胃液が多く出てきます。鉄分などの栄養素をしっかり吸収するため、食事はよく噛んで食べることを心がけましょう。

食事中はコーヒーや濃い緑茶を避ける

コーヒーや濃い緑茶には、鉄分の吸収を妨げる「タンニン」が多く含まれます。食事前後や食事中は、これらの摂取を控えるよう注意しましょう。緑茶は薄めるか、水や麦茶などに変えるのがおすすめです。

貧血を予防する食べ物を取り入れて生理中も快適に過ごそう

生理中の「貧血」と呼ばれるめまいや立ちくらみなどの原因は、鉄欠乏性貧血と脳貧血の2種類があり、それぞれ対策が異なります。生理のある女性は鉄欠乏性貧血になりやすいため、血液を作るのに必要な鉄などの栄養素を日頃からバランスよく取り入れましょう。

また、脳貧血の改善のためにも規則正しい生活は大切です。食事などの生活習慣を見直すことで生理中の貧血による不調を解消し、快適に過ごしましょう。

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