2021.12.16

魚肉たんぱく研究所資料室 > 【亜急性毒性】ラットを用いた魚肉ペプチドの経口投与毒性試験(亜急性毒性試験)

【亜急性毒性】ラットを用いた魚肉ペプチドの経口投与毒性試験(亜急性毒性試験)

魚肉ペプチドに亜急性毒性はない

目的

魚肉ペプチド(FP)の単回投与急性毒性評価試験の結果から、Wisterラットに対するFPの毒性は10,000mg/kgでさえも確認できなかったことから、3ヶ月の反復投与試験を行うことにした。

方法

■ラットの種類と個体数

4週齢のWister系雌雄ラット各群10匹(標準餌料で1週間予備飼育)

■投与飼料と量

FFP投与群 :AIN93G標準餌料を改変した試験餌料(10,000mg/kg相当のFPを1日で摂取可能なもの窒素含量2.8g/100g、脂質含量は7.0g/100g)
対照群 :AIN93G標準餌料(窒素含量・脂質含量は上記と同様)

■観察・測定

毎日餌料摂取量測定、毎週体重測定、13週間後に剖検、血液生化学検査

結果

データ一例として表1に雄ラットの体重および解剖結果を示した。

■死亡状況

いずれの群にも死亡、異常が認められなかった

■観察・検査

状況以下の変化が認められた以外、差異は認められなかった。

1、肝臓重量の低下(肝臓中性脂肪の減少のため)
2、白色脂肪組織の減少・褐色脂肪組織の増加
3、血清総脂質の低下(清中性脂肪およびコレステロールの減少による)

これらは、脂質代謝系に及ぼす、好ましい現象の発現と捉えることができる。

<参照>
ラット脂質代謝系に及ぼすFP給餌の影響1
ラット脂質代謝系に及ぼすFP給餌の影響2
ラット脂質代謝系に及ぼすFP給餌の影響3

 

表1. 魚肉ペプチド(FP)単回投与雄Wistarラットの体重変化および14日後各種臓器重量

C群 雄 魚肉ペプチド(FP)群 雄
初体重(g) 141.6± 2.4 142.7± 2.6
終体重(g) 354.8± 7.2 345± 8.6
肝臓(g) 13.42± 0.41 12.12± 0.54
腎臓(g) 2.31± 0.03 2.32± 0.04
心臓(g) 1.15± 0.02 1.18± 0.02
脳(g) 1.94± 0.01 1.93± 0.01
胸腺(g) 0.41± 0.02 0.4± 0.02
脾臓(g) 0.63± 0.03 0.63± 0.02
肺(g) 1.4± 0.03 1.38± 0.03
大腸(結腸+直腸)(g) 1.69± 0.15 1.63± 0.18
小腸(g) 6.13± 0.73 6.26± 0.71
盲腸(+内容物)(g) 3.22± 0.42 3.12± 0.46
白色脂肪組織(g) 8.38± 0.52 6.04± 0.39 **
褐色脂肪組織(g) 2.36± 0.12 2.77± 0.14 **
精巣(g) 3.27± 0.08 3.32± 0.14
貯精嚢(g) 1.52± 0.17 1.43± 0.11
前立腺(g) 1.03± 0.04 1.07± 0.03

平均値±標準偏差  n=10   *p<0.05、**p<0.01

まとめ

FPの反復投与では、90日後のラットでは好ましい変化以外の死亡例や異常は認められないことから、FPに亜急性毒性はないことがわかった。

実験協力&データ提供:関西大学 化学生命工学部 生命・生物工学科 福永健治教授

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