魚肉ペプチド摂取により、低栄養状態の改善が期待
目的
近年、高齢者の低タンパク質による栄養障害が問題となっている。これは、摂食量自体の低下と加齢による生理機能の低下が原因であるといわれている。このような社会的背景の中、高吸収率かつ高タンパク質を含有する魚肉ペプチド(FP)は高齢者の低栄養状態の改善に効果があると期待されている。その効果を実証するため、特別養護老人ホームにて血液中の血清アルブミンの変化を観察した。
方法
対象者:低栄養障害後期高齢者(75歳以上)20名
介入群(FP摂取) 1日にFPを6g、みそ汁に混ぜるなどして2ヵ月間摂取
対照群(FP非摂取) FP非添加の通常食を2ヶ月間摂取
両群間で男女比、年齢比、身体状況に偏りがないようにした。また、食事摂取量にも差はなかった。
試験項目血液検査により、血清アルブミン値の測定を行った。
※血中のアルブミンは栄養不足や消化吸収力の低下により減少するため、栄養状態の指標として用いられ、基準値は3.8~5.3g/dlである
結果
BMI(*)18.5以上の一般群では、対照群の血清アルブミン値が下がったのに対し、FPを摂取した介入群ではアルブミン値が増加した。BMI 18.5未満のやせすぎ群では、介入群は対照群と比較するとアルブミン値の低下が抑制された。介入群は対照群と比較するとアルブミン値の低下が抑制された。
BMI(Body Mass Index)=体重(kg)/身長2(M2)
まとめ
FP摂取によって一般群では栄養状態が改善され、やせすぎ群でもアルブミン値の減少抑制効果が認められた。
今回は短期間の実験であり、低栄養障害の後期高齢者を対象としていたため、やせすぎ群では減少抑制効果にとどまったが、長期間の摂取では栄養改善効果が期待できると考えられる。
実験協力&データ提供:介護食オフィス椎野