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研究所について

ABOUT THE FISH PROTEIN LABORATORY

魚肉たんぱく研究所では、伝統的職人技の原理解明、原料魚種の特性解明、かまぼこの品質向上・安定化、未利用資源の有効活用、魚肉タンパク質新規シーズ開発、魚肉タンパク質・ペプチドの健康機能性解明など様々なテーマで基礎研究を行っています。製造現場に入って職人と共に最適な製造条件を模索したり、原料に適した魚を探して世界各国の漁港や市場へ現地調査に行ったりと、活動内容は多岐にわたります。世の中に30,000種以上存在する魚のポテンシャルを最大限に引き出してお客様が感動する品質を維持し続け、魚・かまぼこの素晴らしさ、面白さを広く世の中に伝えていくことも我々の大きな目的の一つです。

魚肉たんぱく研究

RESEARCH ON FISH PROTEIN

魚の摂取量が多いほど心臓病の発症や死亡リスク、認知症のリスクが低下するなど、魚の健康機能性に関する研究成果は数多く知られており、魚食が健康に良いという概念は一般的です。魚の機能性成分として、高度不飽和脂肪酸やアスタキサンチン、アンセリンなどが良く注目されますが、我々は魚の水分以外の成分中で大半を占める魚肉タンパク質の機能性にも着目しています。最近では多くの研究者たちが魚肉タンパク質やその分解産物であるペプチドの基礎研究を進めており、新たな健康機能性が次々と発見されてきています。このようなお客様の健康増進につながる研究推進も我々の重要な使命だと考え、大学など外部の研究機関とも共同研究を実施しています。

伝統を科学する

SCIENCE OF TRADITIONAL TECHNIQUES

鈴廣では1865年の創業以来、お客様が感動する品質を追求し続け、歴代の職人たちが150年以上にもわたり、かまぼこ作りの技術に磨きをかけてきました。日々変化する原料魚の状態に合わせて、塩を入れるタイミングや擂り方を変えたり、数秒、0.5℃単位で加熱条件を微調整して最高の食感を導き出したりなど、数多くの製造ノウハウが生み出され、蓄積されてきました。しかし、経験則を基にした伝統的職人技の詳細な原理については未解明の部分も残されています。魚肉たんぱく研究所では、科学的な手法を用いて長年受け継がれてきたかまぼこの製造原理を明らかにし、これらの暗黙知を形式知化することで製造技術をさらに発展させ、幅広い製品の品質向上を目指しています。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan/85/5/85_WA2652/_article/-char/ja/

資料室

RESOURCES

魚肉ペプチドの安全性や健康機能性に関する大学などとの共同研究や、かまぼこの健康機能性に関する日本かまぼこ協会(旧全国蒲鉾水産加工業協同組合連合会)助成研究の成果を格納しています。今後はこれまで世に出してこなかった魚肉たんぱく研究所の基礎研究の成果についても少しずつ公開していく予定です。

研究実績/受賞歴

〔原著論文〕
Yoko Matsuoka, Jianrong Wan, Hideki Ushio and Shugo Watabe. Thermal gelation properties of white croaker, walleye pollack and deepsea bonefish surimi after suwari treatment at various temperatures. Fish. Sci. 79, 715–724, 2013

Nobuhiko Ueki, Jianrong Wan, and Shugo Watabe. The pepsin digestibility of thermal gel products made from white croaker (Pennahia argentata) muscle in associating with myosin polymerization levels. J. Food Sci. 79, C2427–33, 2014.

Nobuhiko Ueki, Jianrong Wan, and Shugo Watabe. Deterioration of white croaker (Pennahia argentata) meat thermally-induced gel products caused by proteolytic enzymes in the contaminated intestine and kidney. Food Chem. 199, 416–422, 2016.

Nobuhiko Ueki, Jianrong Wan, and Shugo Watabe. Proteolytic profiles of walleye pollack (Theragra calcogramma) and white croaker (Pennahia argentata) meats in the presence of intestinal extracts from their own or different fish species. Food Sci. Technol. Res. 22, 787–792, 2016.

Nobuhiko Ueki, Yoko Matsuoka, Jianrong Wan, and Shugo Watabe. The effects of endogenous proteases within abdominal muscle parts on the rheological properties of thermally induced gels from white croaker (Pennahia argentata). Food Chem. 268, 498–503, 2018.

Nobuhiko Ueki, Yoko Matsuoka, Jianrong Wan, and Shugo Watabe. Quality improvement of thermally induced surimi gels by extensive washing for dressed white croaker to remove contamination by body surface mucus proteases. Fish. Sci. 85, 883–893, 2019.

中溝量子,中久保泰起,小南友里,中谷操子,岡田 茂,松岡洋子,植木暢彦,万 建栄,渡部終五,潮 秀樹.小田原蒲鉾の伝統原料ギスPterothrissus gissu肉の加熱ゲル形成能.日水誌.85, 494-502, 2019.

Shugo Watabe, Daisuke Ikeda, Takaki Mashiro, Yuko Kagetakubo, Yoshihiro Takahashi, Misaki Uemura, Nanami Mizusawa, Hiroki Koyama, Ko Yasumoto, Mitsuru Jimbo, Nobuhiro Kan-no, Tomohiro Ueda, Yoko Matsuoka, Nobuhiko Ueki and Jianrong Wan. Suitability of Japanese codling as a raw material for surimi-based products revealed by primary sequence analysis of myosin heavy chain and thermal gel properties. Fish. Sci. 86, 711–719, 2020.

Hiroyasu Sakai, Shin-ichiro Torii, Nobuhiko Ueki, Yusuke Iwasaki, Junzo Kamei. Effects of fish meat-derived peptides on fatigue. Jpn. Pharmacol. Ther. 48, 1393-1399, 2020.

Yuri Kominami, Hiroki Nakakubo, Ryoko Nakamizo, Yoko Matsuoka, Nobuhiko Ueki, Jianrong Wan, Shugo Watabe, Hideki Ushio. Peptidomic Analysis of a Disintegrated Surimi Gel from Deep-Sea Bonefish Pterothrissus gissu. J. Agric. Food Chem. 68, 12683-12691, 2020.

二木巨悦,大熊彩,治田弘子,森岡想,高橋美雪,植木暢彦,中村悠乃,八木咲央理,市川理璃子,鈴木博晶,小森哲夫.魚肉ペプチドが栄養改善に及ぼす効果の検証.医療 75, 117–122, 2021.

〔総説〕

植木暢彦.魚肉すり身由来ペプチドの健康機能性と将来展望.冷凍 90 (1049), 145–150, 2015.

植木暢彦・松岡洋子・万建栄.伝統的職人技の科学的解明による水産練り製品の品質向上.日水誌 85, 474–477, 2019.(平成30年度水産学技術賞)

〔寄稿〕

植木暢彦.魚肉ペプチドFP20の疾病予防効果.FOOD Style 21 13 (1), 66–67, 2009.

植木暢彦.相模湾産魚類の水溶性筋肉タンパク質の血圧上昇抑制作用.フードケミカル 376, 41–44, 2016.

〔紀要〕

稲葉佳代子 本堂亜美 松岡洋子 長岡敦子 太田昌子 臼井一茂. 高齢者施設における介護食の研究(1) 介護食調理と介護食製品利用の実態. 小田原短期大学研究紀要 47, 27–36, 2017.

〔ミニシンポジウム記録〕

植木暢彦.食品企業での取り組み事例など ~伝統的な職人技から学ぶ高品質なかまぼこの作り方~.日水誌 83, 90, 2017.

〔シンポジウム記録〕
植木暢彦.今日の水産加工と魚肉タンパク質研究の課題 ~ねり製品の製造現場における品質制御~.日水誌 87, 555, 2021.

〔学会発表〕

Nobuhiko Ueki, Yoko Matsuoka, Ryohei Misaki, Jianrong Wan, and Shugo Watabe. Angiotensin I converting enzyme inhibitory and antioxidative activities of fish peptides derived from surimi by enzymatic hydrolysis. WFC2008 5th World Fisheries Congress October 20–24, 2008 (Kanagawa).

植木暢彦・松岡洋子・三崎良平・万建栄・渡部終五.シログチ水溶性タンパク質のペプシン消化によるACE阻害活性の変化.平成22年度 日本水産学会大会 2010年3月26–30日(神奈川).

植木暢彦・松岡洋子・鈴木大資・万建栄・渡部終五.シログチ魚肉加熱ゲル形成促進によるペプシン消化性への影響.平成24年度 日本水産学会大会 2012年3月26–30日(東京).

植木暢彦・松岡洋子・鈴木大資・万建栄・渡部終五.酢酸ナトリウム添加によるシログチ魚肉加熱ゲルのペプシン消化性への影響. 平成24年度 日本水産学会大会 2012年3月26–30日(東京).

松岡洋子・三崎良平・植木暢彦・鈴木大資・万建栄・渡部終五.練り製品原料ギスの加熱ゲル形成特性について.

平成24年度 日本水産学会大会 2012年3月26–30日(東京).

植木暢彦・松岡洋子・鈴木大資・万建栄・渡部終五.シログチ腸管および腎臓の水溶性抽出液を添加した魚肉の加熱ゲル物性および色調.平成25年度 日本水産学会大会 2013年3月26–30日(東京).

植木暢彦・松岡洋子・鈴木大資・万建栄・渡部終五.相模湾産魚類の普通筋水溶性タンパク質ペプシン消化物のACE阻害活性.平成25年度 日本水産学会大会 2013年3月26–30日(東京).

松岡洋子・植木暢彦・鈴木大資・万建栄・渡部終五.シログチおよびスケトウダラすり身ゲル形成能に及ぼす加熱温度履歴の影響について.平成25年度 日本水産学会大会 2013年3月26–30日(東京).

Nobuhiko Ueki, Jianrong Wan, and Shugo Watabe. Proteolytic activities in the intestinal extracts from white croaker and walleye pollock. 1st EAFTA Conference November 25, 2013 (Hokkaido).

植木暢彦・松岡洋子・伊藤華子・万建栄・渡部終五.シログチ腹肉の魚肉加熱ゲル物性に及ぼす影響とタンパク質分解活性.平成27年度 日本水産学会大会 2015年3月27–31日(東京).

中溝量子・小南友里・中久保泰起・中谷操子・岡田茂・松岡洋子・植木暢彦・万建栄・渡部終五・潮秀樹.ギス肉の加熱ゲル形成と戻りについてI.平成27年度 日本水産学会大会 2015年9月22–25日(宮城).

小南友里・中久保泰起・中溝量子・中谷操子・岡田茂・松岡洋子・植木暢彦・万建栄・渡部終五・潮秀樹.ギス肉の加熱ゲル形成と戻りについてII.平成27年度 日本水産学会大会 2015年9月22–25日(宮城).

植木暢彦・松岡洋子・髙橋涼馬・万建栄・渡部終五.体表部のタンパク質分解活性および魚洗によるシログチ加熱ゲルの物性向上.平成28年度 日本水産学会大会 2016年9月8–11日(奈良).

中溝量子・小南友里・三根健太郎・中谷操子・岡田茂・松岡洋子・植木暢彦・万建栄・渡部終五・潮秀樹.ギス肉の加熱ゲル形成と戻りについてIII.平成28年度 日本水産学会大会 2016年9月8–11日(奈良).

中溝量子・小南友里・林達也・穂坂秀昭・中谷操子・松岡洋子・植木暢彦・万建栄・渡部終五・潮秀樹.イトヨリダイ肉加熱ゲルの火戻りについて.平成30年度日本水産学会大会 2018年9月15-18日(広島).

中溝量子・小南友里・林達也・中谷操子・岡田茂・松岡洋子・植木暢彦・万建栄・渡部終五・潮秀樹.ギス肉の加熱ゲル形成と戻りについてⅤ.平成30年度 日本水産学会大会 2018年9月15 -18日(広島).

〔講演〕

植木暢彦.美味しいかまぼこを作るための科学.第25回食品ハイドロコロイドシンポジウム 2014年5月23日(東京).

植木暢彦.かまぼこ屋のノウハウを活かして開発した魚肉ペプチドの健康機能性.日本ペプチド学会市民フォーラム2015 2015年11月15日(東京).

植木暢彦.食品企業での取り組み事例など ~伝統的な職人技から学ぶ高品質なかまぼこの作り方~.平成28年度 日本水産学会秋季大会 ミニシンポジウム『水産分野におけるタンパク質研究の現状と展望』 2016年9月8日(奈良).

植木暢彦・松岡洋子・万建栄.伝統的職人技の科学的解明による水産練り製品の品質向上.平成31年度 日本水産学会春季大会 水産学技術賞受賞講演 2019年3月29日(東京).

植木暢彦.魚肉タンパク質および魚肉ペプチドの健康機能性.生活習慣病予防のための機能性食品開発に関する研究会 2021年3月23日(Zoom).

植木暢彦.冷凍すり身と練り製品の品質制御 ~練り製品の製造現場における品質制御~.令和3年度 日本水産学会春季大会 シンポジウム『今日の水産加工と魚肉タンパク質研究の課題』 2021年3月26日(東京(Zoom)).

〔受賞〕

平成30年度日本水産学会水産学技術賞 植木暢彦・松岡洋子・万建栄.『伝統的職人技の科学的解明による水産練り製品の品質向上』

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