2023.01.07

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必須アミノ酸をバランスよく含む食品とは。効果的な摂取タイミングや量を理解しよう

必須アミノ酸をバランスよく含む食品とは。効果的な摂取タイミングや量を理解しよう

体を構成する20種類のアミノ酸の中でも、体内で合成できない、あるいは合成スピードが遅くて十分な量を合成できない9種類は「必須アミノ酸」と呼ばれ、人体の健康維持に欠かすことができません。 今回は、必須アミノ酸の役割や不足症状について解説するとともに、必須アミノ酸を多く含む食品や、効率良い摂取方法などについて紹介していきます。

必須アミノ酸について

健康維持など、さまざまな働きをもつタンパク質。そのタンパク質は、20種類のアミノ酸の組み合わせによって構成されていることはご存じでしょうか。アミノ酸は9種類の必須アミノ酸と11種類の非必須アミノ酸に分類され、それぞれが体内に欠かせない働きや役割を担っています。

必須アミノ酸とは

必須アミノ酸とは、体を構成する20種類のアミノ酸の中でも、体内で合成できない、あるいは合成スピードが遅くて十分な量を合成できない9種類のアミノ酸のことを指します。それ以外の11種は非必須アミノ酸と呼ばれます。
必須アミノ酸は人間の体内で合成することができません。しかし、人体の成長や健康・栄養状態の維持には欠かせないものなので、十分な量を食品から摂取する必要があります。

20種類のアミノ酸分類

必須アミノ酸
(9種類)
非必須アミノ酸
(11種類)
フェニルアラニン チロシン
ロイシン システイン
イソロイシン アスパラギン酸
メチオニン アスパラギン
リジン セリン
スレオニン グルタミン酸
トリプトファン グルタミン
バリン プロリン
ヒスチジン グリシン
アラニン
アルギニン

食品には、上記のアミノ酸の含有量やバランスを数値化して評価した「アミノ酸スコア」というものが設定されています。アミノ酸スコアが高い食品ほど、バランス良く必須アミノ酸が含まれていることを表すので、アミノ酸スコアが高い食品を組み合わせて摂取することがおすすめです。

中でも、複数の非必須アミノ酸の合成に関与するグルタミン酸に関して、それらを多く含む海藻や魚介類などの食品を普段の食事に組み合わせることがおすすめです。

必須アミノ酸を摂取するメリットについて

ここからは必須アミノ酸を摂取するメリットや重要性について解説していきます。しっかり理解して、必須アミノ酸を含む食品の摂取を心がけましょう。

必須アミノ酸は健康や体の維持に不可欠

必須アミノ酸を含むアミノ酸が、人体の健康維持に不可欠と言われる理由は、アミノ酸によって構成される栄養素の存在にあります。その栄養素とは、ズバリ「タンパク質」です。

多くの食品に含まれ、エネルギー産生栄養素(三大栄養素)の一つとしても知られるタンパク質。このタンパク質を構成する成分こそがアミノ酸です。タンパク質不足は、以下のような影響をもたらします。

タンパク質の不足で起きる主な症状

  • 肌や髪の毛の健康状態の低下
  • 筋力の低下
  • 免疫力の低下

 

タンパク質不足による症状は、「アミノ酸の不足によって引き起こされている」と解釈することもできます。このような症状を引き起こさないために、アミノ酸を含む食品の摂取は必要不可欠です。必須アミノ酸を食品から摂取してタンパク質を合成することは、体の健康維持にも役立ちます。

運動習慣がある人は特に重要

必須アミノ酸を含む20種類のアミノ酸の中には、筋組織の再生や筋力の増強、持久力の向上などの効果をもつアミノ酸もあります。

長時間の運動やトレーニングは、体内のエネルギーを著しく消費し、疲労の蓄積や怪我の原因になります。そのため、疲労の軽減や筋肉の修復速度を高めて筋肉痛の症状緩和などの効果をもたらすアミノ酸類は、運動をする人には特に重要な成分と言えるでしょう。

特に、BCAA(分岐鎖アミノ酸)と呼ばれる「バリン・ロイシン・イソロイシン」という3種類の必須アミノ酸は、運動時に筋肉のエネルギー源となることから、筋トレや運動時のパフォーマンスをキープするために使用しているアスリートも多くいます。

これらのアミノ酸類は手軽に摂取できるようサプリメントとしても発売されているので、普段の食事やプロテインと組み合わせながら、運動の前後などに摂取するとよいでしょう。

必須アミノ酸が不足した時に起こるデメリットについて

ここからは、必須アミノ酸が不足することによるデメリットについて解説していきます。一つの必須アミノ酸が不足すると、健康状態の悪化を招いてしまう事もあるので、必須アミノ酸の不足には注意しましょう。

食欲が低下し、栄養不足の悪循環に

必須アミノ酸の中でも、BCAA(分岐鎖アミノ酸)は筋肉や身体の成長に効果を発揮します。不足すると筋肉量が低下し、代謝が下がってエネルギー消費量が減少するので、食欲が減退して食品からの栄養摂取量が減り、栄養不足に陥る危険性があります。

栄養不足は更なる健康状態の悪化を引き起こすので、そういった悪循環を招かないためにも、必須アミノ酸が不足しないような食品を組み合わせた食事をする必要があります。

疲れやストレスが溜まりやすくなる

必須アミノ酸の中でも、「フェニルアラニン・トリプトファン」の2種類は、神経伝達物質であるドーパミンやセロトニンの材料となるため、集中力の維持や免疫関係にも重要な効果をもたらします。これらが不足することによって引き起こされる症状は以下の通り。

ドーパミンの不足症状

  • 不眠
  • 思考力・集中力の低下
  • 疲労がたまりやすくなる

セロトニンの不足症状

  • ストレスや疲労の蓄積
  • 鬱症状
  • 不眠

 

神経伝達物質や、その材料となるフェニルアラニンやトリプトファンといった必須アミノ酸の不足による上記のような症状が、更なるストレスにつながり、偏食や暴食を誘発してさらに健康状態が悪化するという悪循環を招く可能性もある為、注意が必要です。

また、神経伝達物質であるセロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれ、心と身体の健康を安定させる役割を持っています。ストレスを感じやすいときには、セロトニンの材料であるトリプトファンを多く含む魚介類やレバーなどの食品を食事に組み合わせることがおすすめです。

貧血を引き起こす可能性も

必須アミノ酸の中には、血圧の調整やヘモグロビンの合成に関与するものも存在します。

必須アミノ酸であるトリプトファンによって体内で作られるセロトニンというホルモンには、免疫系に働きかけることで血圧を上昇させる役割があり、低血圧の予防にも効果的と言われています。

また、イソロイシンは血管を拡張して血流をスムーズにする役割をもち、ヒスチジンはヘモグロビンの構成にも利用されるアミノ酸なので、不足するとヘモグロビンの合成数が減少し、貧血を引き起こすことがあります。

一方で、同じく必須アミノ酸であるフェニルアラニンは、血圧を上昇させる働きをもちます。食品からの摂取であれば基本的に問題ありませんが、サプリメントでの過剰摂取や特定の疾患など、一定の条件下でのみ高血圧を引き起こす可能性があります。血圧のコントロールや貧血の改善に有用な働きをもつ必須アミノ酸ばかりではないことも理解して、食品選びをするようにしましょう。

必須アミノ酸がバランスよく含まれている食品について

健康維持に欠かすことのできない必須アミノ酸。それらをバランスよく含む食品は、「アミノ酸スコア」という指標によって判別ができます。ここでは、アミノ酸スコアが高い食品を紹介していきますので、食品選びの参考にしてみてください。

アミノ酸スコアの高い食品1「魚介類」

魚介類には、良質なタンパク質を含む食品が多くあります。魚介類だけを食べていればいいわけではないですが、健康維持に欠かせない必須アミノ酸をバランスよく摂取できます。食品スーパーでも販売されている、手軽に摂取できる食品であるかまぼこのアミノ酸スコアが高いのは魅力です。
 
アミノ酸スコアの高い魚介類とそのスコア

食品名 スコア
あじ 100
かつお 100
まぐろ 100
ぶり 100
かまぼこ 100

アミノ酸スコアの高い食品2「肉類」

肉類も、アミノ酸スコアの高い食品です。普段何気なく摂取している鶏肉や豚肉も、アミノ酸スコアは100。アミノ酸をバランスよく効率的に摂取するために、動物性の食品も適していると言えます。
 
アミノ酸スコアの高い肉類とそのスコア

食品名 スコア
鶏肉 100
豚肉 100
馬肉 100

アミノ酸スコアの高い食品3「乳製品」

乳製品もアミノ酸スコアが高い食品で、その中でも、腸内環境の改善に作用する善玉菌が含まれているヨーグルトが特におすすめの食品です。
 
アミノ酸スコアの高い乳製品とそのスコア

食品名 スコア
牛乳 100
ヨーグルト 100
生クリーム 100

アミノ酸スコアの高い食品4「卵」

卵も動物性の食品であり、アミノ酸スコアは非常に高いです。必須アミノ酸を豊富に含み、ビタミンCと食物繊維以外の栄養素を含むことから、「完全栄養食品」と呼ばれる食品です。
 
アミノ酸スコアの高い卵類とそのスコア

食品名 スコア
鶏卵 100
うずら卵 100

アミノ酸スコアの高い食品5「穀類」

穀類はタンパク質よりも糖質が中心なので、動物性食品に比べてアミノ酸スコアは低めです。精米した白米よりも、玄米の栄養価の方が高いです。
 
アミノ酸スコアの高い穀類とそのスコア

食品名 スコア
玄米 100
精白米 93
ビーフン 98

アミノ酸スコアの高い食品6「種実類」

種実類は、主食だけでは足りない分の栄養素を補うのに適した食品で、ビタミンやミネラルなどの不足しがちな栄養素も摂取できます。
 
アミノ酸スコアの高い種実類とそのスコア

食品名 スコア
くり 100
ごま 73
アーモンド 73

必須アミノ酸の効果的な摂取タイミングと量

人体の健康維持に欠かせない必須アミノ酸ですが、必要だからと言って闇雲に摂取すればいいというわけでもありません。ここからは、必須アミノ酸の効率良い摂取タイミングや、過不足を起こさない適切な摂取量について解説します。

トレーニング直後〜1時間後までがゴールデンタイム

必須アミノ酸のうち「バリン・ロイシン・イソロイシン」すなわちBCAA(分岐鎖アミノ酸)のベストな摂取タイミングは、運動から1時間以内です。この時間は「ゴールデンタイム」と呼ばれ、アミノ酸が筋肉に輸送される量が3倍ほどにアップし、効率よくアミノ酸を利用できます。

筋肉には、トレーニングや運動により筋細胞が一度破壊されたのち、回復するときに増強される性質があります。筋肉の修復がピークに達するのは運動の2時間後と言われているので、そのタイミングで体内にアミノ酸の補給ができている状態がベストです。

摂取したアミノ酸が筋肉に吸収され取り込まれるまでの時間も考慮すると、遅くてもトレーニングの1時間後までに摂取することがおすすめです。

たくさん摂取すればいいというわけではない

必須アミノ酸は、ただたくさん摂取すればいいというわけではありません。必須アミノ酸が含まれている栄養素であるタンパク質の過剰摂取には、以下のようなリスクが伴います。

タンパク質の過剰摂取により起こりえるリスク

  • 肝臓や腎臓などの内臓疲労
  • 腸内環境の悪化
  • カロリーオーバーによる生活習慣病

 

過剰摂取には最大限の注意を払いながら、健康維持のために不足しない量を組み合わせながら摂取することが重要です。成人における体重ごとの必須アミノ酸の必要量は以下の表でご確認ください。
健康維持のため、過不足なく適切な量の必須アミノ酸を組み合わせながら摂取するよう心がけましょう。
 

成人における体重ごとの必須アミノ酸必要量(単位:mg/kg/日)

必須アミノ酸 必要量
イソロイシン 20
ロイシン 39
リジン 30
メチオニン+シスチン 15
フェニルアラニン+チロシン 25
スレオニン 15

トリプトファン 4
バリン 26
ヒスチジン 10

新タンパク質評価指標「DIAAS」

従来は、食品に9種類の必須アミノ酸がどれだけ含まれているかという数値として「アミノ酸スコア」という指標が用いられてきました。これは「食品に含まれる必須アミノ酸バランス」だけに着目したもので、体内での消化吸収率などを考慮したものではありませんでした。

しかし近年では、食品を評価する新たな指標として、DIAAS(消化性必須アミノ酸スコア)も用いられています。DIAASとは、食品の必須アミノ酸含有量に加え、摂取した必須アミノ酸が小腸で吸収されるまでの消化吸収率も考慮したうえで割り出された数値のことです。

アミノ酸スコアの最大は100でしたが、DIAASでは消化吸収率を考慮した100%以上のスコア付けをすることで、さらに正確な評価をすることが可能になりました。

アミノ酸スコアが同じ食品でも、消化吸収率やその利用効率は異なります。より良質なタンパク質を含んだ食品を評価できる指標として、存在だけでも知っておくことをおすすめします。
 

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まとめ

健康に不可欠な栄養素でありながら、体内での合成が不可能な必須アミノ酸。食品からの摂取が一番ですが、食事で補いきれない場合にはサプリメントから摂取をするのも一つの手段です。摂取量や摂取のタイミングを意識しながら不足することなく摂取して、体の健康を守りましょう。

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