魚には栄養価の高いタンパク質が豊富に含まれています。タンパク質は、私たちが日々健康に暮らすために不可欠な栄養素です。本記事ではタンパク質の重要性、魚に含まれるタンパク質のメリット、タンパク質が豊富な魚、効率よく摂取するためのポイントなどを解説します。食事からヘルシーな生活を目指したいという人は、ぜひ参考にしてください。
タンパク質はなぜ大切か
タンパク質は、私たちの心身の健康を保つためには、欠かせない栄養素です。タンパク質は、筋肉・骨・臓器・髪だけでなく、栄養や酵素を体中に届ける血液・リンパ液などを構成する要素になっています。タンパク質が不足すると、筋肉の衰え・肌トラブル・ストレスなど、様々な不調を引き起こします。1日あたりに必要なタンパク質の量は成人男性が65g、成人女性が50gとされています。50代以降は消化吸収率が落ちるので特に注意が必要です。
なお、タンパク質が、消化酵素で分解されるとペプチドになり、さらに分解されるとアミノ酸になります。一般的にアミノ酸が2〜50個未満つながるとペプチド、50個以上結合したものをタンパク質と呼びます。
アミノ酸の役割
前述したように、タンパク質は複数のアミノ酸が結合することで作られています。タンパク質は、体内に吸収されると、分解されてアミノ酸になります。食事により吸収されたアミノ酸は、体内で再度結合し、必要物質を構成するためのタンパク質となります。
タンパク質を構成するアミノ酸は20種類あり、そのうち9種類は体内で生成できないため、食べ物から摂取する必要があります。アミノ酸は、タンパク質の素となる以外に、エネルギー源、新陳代謝、免疫力、集中力、ストレス回避など、体内における重要な役割を果たしています。
魚は良質なタンパク質の宝庫
魚には、良質なタンパク質が多く含くまれており、タンパク質の宝庫とも呼ばれています。魚に含まれるタンパク質の優れている点を3つ紹介します。
アミノ酸スコアが高い
魚のタンパク質は、アミノ酸スコアが100と高く、良質で体内に吸収されやすいことがわかっています。アミノ酸スコアとは、タンパク質の栄養価を表す指標です。タンパク質に含まれる、9種類のアミノ酸の含有率を数値化したものです。これらの9種類のアミノ酸は、必須アミノ酸とよばれ、体内では作り出せません。必須アミノ酸がバランスよく含まれているほど、アミノ酸スコアは高くなります。
※参考:食品たんぱく質の栄養価としての「アミノ酸スコア」|日本食品分析センター
脂質が少なくヘルシー
魚に含まれるタンパク質には、脂質が少なく、とてもヘルシーです。肉・卵は、高タンパク質ですが、脂質が多く含まれるため、食べ過ぎると肥満と生活習慣病を引き起こしやすいです。魚の脂質には、DHA・EPAなど、オメガ3脂肪酸とよばれる良質の脂肪酸が豊富に含まれています。
認知症や高血圧を抑制する効果も
魚のタンパク質には、認知症・アルツハイマー・高血圧を抑制する効果も期待できます。青魚に多く含まれるDHAやEPAなどの不飽和脂肪酸が、認知症の原因となるアミロイドβの蓄積を防止することが分かっています。また、魚のタンパク質の分解途中に生成されるペプチドには、高圧効果があることもわかっています。このほか、がん・糖尿病・脂質異常症の予防・改善の効果もあることが報告されています。
健康維持におすすめ!高タンパクな魚5選
タンパク質を摂取し、健康を維持するためにおすすめの、高タンパクな魚を5種類紹介します。なお、「1食分の目安」は、1食あたり15~20gのタンパク質摂取を想定して算出しています。
まぐろ
まぐろは、タンパク質が多く含まれているうえに、ビタミンも豊富な魚です。赤身には貧血を予防できる鉄分・ビタミンB12 、トロには血液をサラサラにしてくれるEPAとビタミンA・D・Eが多く含まれています。タンパク質含有量と1食あたりの目安は以下の通りです。
- 100gあたりのタンパク質含有量:26.4g
- 1食分の目安:70g
カツオ
カツオは、タンパク質が豊富で脂質が少なく、ヘルシーな魚です。春のカツオは、秋よりもわずかにタンパク質量が多いと言われています。タンパク質のほか、脳を活性化するDHA、肝機能をサポートするタウリンなどが多く含まれています。タンパク質含有量と1食あたりの目安は以下の通りです。
- 100gあたりのタンパク質含有量:25.8g
- 1食分の摂取量目安:70g
さけ
さけは、実は高タンパクな魚で、和食の定番とも言える魚です。アスタキサンチン、ビタミンC・Eなど抗酸化作用に優れた栄養素が多く含まれ、免疫力向上・美容などの効果が期待できます。アスタキサンチン・ビタミンEは、油とあわせることでより効率的に吸収できるため、ソテーやムニエルにして食べることをおすすめします。タンパク質含有量と1食あたりの目安は以下の通りです。
- 100gあたりのタンパク質含有量:22.3g
- 1食分の摂取量目安:80g
さば
青魚の中で最もタンパク質が豊富なのが、さばです。脳・神経の機能をサポートするDHA、血液をサラサラにしてくれるEPA、カルシウムの吸収を助けるビタミンDを多く含み、高い栄養価を誇ります。缶詰を利用すれば、手軽に食事に取り入れられるのも嬉しいポイントです。タンパク質含有量と1食あたりの目安は以下の通りです。
- 100gあたりのタンパク質含有量:20.6g
- 1食分の摂取量目安:90g
タラ
タラは、高タンパク・低カロリーで、ダイエット中の人にもおすすめの魚です。脂肪分が100g中0.2gと魚の中でも非常に少なく、消化に優しいため高齢の方でも食べやすいです。悪性貧血の予防に有効なビタミンB12も多く含まれています。タンパク質含有量と1食あたりの目安は以下の通りです。
- 100gあたりのタンパク質含有量:17.6g
- 1食分の摂取量目安:100g
その他、主な魚のタンパク質含有量
その他、主な魚のタンパク質含有量、1食あたりの目安を以下の表にまとめました。1食あたりのタンパク質量を15~20gを目安に、算出しています。
魚の種類 | 100gあたりの タンパク質含有量 |
1食分の目安 |
---|---|---|
ぶり | 21.4g | 80g(一切れ) |
まだい | 20.6g | 80g(一切れ) |
さわら | 20.1g | 80g(一切れ) |
ひらめ | 20.0g | 80g(一切れ) |
まあじ | 19.7g | 90g(一尾) |
まいわし | 19.2g | 100g(一尾) |
めかじき | 19.2g | 100g(一切れ) |
さんま | 18.1g | 100g(一尾) |
きんめだい | 17.8g | 100g(一切れ) |
魚タンパクを摂取するときのポイント
魚のタンパク質を、より効率的に摂取するための4つのポイントについて解説します。
朝・昼・晩と均等にとる
一度の食事で、体内に摂取できるタンパク質の量には上限があるため、朝・昼・晩と均等に分けて摂取しましょう。夕食だけで、一日量をすべて摂取しようとするのではなく、朝食・昼食にも、意識的にメニューに取り入れることをおすすめします。かまぼこ・魚肉ソーセージなどを上手に利用することで、忙しい朝でも手軽に魚タンパクが摂取できます。
ビタミンB6と一緒にとる
タンパク質を合成するためには、ビタミンB6が必要になります。魚には、ビタミンB6が豊富に含まれており、魚を食べることで、タンパク質とビタミンB6を同時に摂取できます。
ビタミンB6は、魚以外では、大豆・くるみ・米・バナナ・ごま・にんにくなどに多く含まれています。タンパク質を摂取する際には、一緒にとるように心がけましょう。
いろいろな食品を組み合わせてとる
魚などの動物性タンパク質と大豆製品などの植物性タンパク質・野菜など、いろいろな食品を組み合わせて食べるようにしましょう。動物性のタンパク質と植物性のタンパク質を組み合わせてたべることをダブルタンパクといい、相乗効果が期待できます。野菜を組み合わせれば、ビタミンをいっしょに摂取でき、美肌・筋肉強化・血行促進などの効果が期待できます。
サプリメントなら手軽にとれる
効率的にタンパク質を摂取したい人には、手軽にとれるサプリメントをおすすめします。タンパク質は、毎日きちんと摂取することが大切でが、毎回の食事で摂取するのは大変であったり、脂肪が気になるという人も少なくありません。サプリメントを選ぶ際は、必須アミノ酸がバランスよく含まれているか、安全な成分かなどに注意しましょう。
まとめ
魚には、私たちの身体・エネルギーの素となるタンパク質が豊富に含まれています。魚に含まれるタンパク質には、体内で生成できない必須アミノ酸がバランスよく含まれているほか、認知症や高血圧を予防するなどの健康メリットもたくさんあります。健康維持のために、魚に含まれるタンパク質を、日々の食事で意識的かつ効率的に摂取しましょう。
魚肉たんぱく研究所は、魚タンパクで世界を健やかにすることを目的に、魚タンパクの魅力について様々な発信を行っています。魚のタンパク質を積極的にとることは、筋力維持や健康維持に有効です。普段の生活では不足しやすいため、サプリなども積極的に活用して手軽に摂取しましょう。